フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

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ニーチェとナチ NIETZSCHE, INSPIRATEUR DES NAZIS ?

2006-08-27 01:21:53 | 哲学

今日は Le Point のニーチェ特集からナチとの関係について。ニーチェの死後、彼の思想は彼の妹エリザベート Elisabeth によって国民社会主義者 (nationales-socialistes) のために歪曲されていった。

ヒットラーからムッソリーニへの贈り物は革で製本されたニーチェ全集であった。ナチによってニーチェは偉大な先祖 (grand ancêtre)、ドイツ人の天才の礼賛者 (chantre du génie allmand)、浄化のための暴力の預言者 (prophète de la violence purificatrice) に変質させられるが、その過程でエリザベートの果たした役割は決定的であった。

彼女は1884年に当時 「ドイツで最も代表的なユダヤ人ハンター」 といわれていたベルンハルト・フェルスター Bernhard Förster と結婚し、夫に従ってアーリア人のコロニーを作るためにパラグアイに向かう。しかしその試みは完全な失敗に終わり、ベルンハルトは自殺する。この辛い経験からエリザベートは復讐の気持ちも手伝い、ニーチェが植物状態になるや彼の全作品を押さえ、自伝となる 「この人を見よ (Ecce Homo)」 や手紙類を削除したり、ナチのイデオロギーに合うように文章を改ざんしたりしていたようだ。

その手紙には、ニーチェの人種差別、反ユダヤ主義に対する立場がはっきりと書かれている。例えば、こんな具合である。

エリザベートに宛てた1887年12月26日の手紙では、彼の名前を利用するだけの政党に虫唾が走ること、フェルスターとの関係や彼の前の出版社が反ユダヤ主義であったことなどから、彼が不快な政党の一員であると信じられていること、さらにこれが如何に彼を今まで傷つけ、今も傷つけ続けているのか、お前はわからないだろうと書いている。彼が反ユダヤ主義に対してはっきりとした嫌悪 (répulsion envers l'antisémitisme) を抱いていたことがわかる。

また広く人種差別全般に対しても確固とした曖昧さのない態度をとっている。

« Maxime : ne fréquenter personne qui participe à la mensongère escroquerie raciale. »
「箴言:人種的な嘘偽りに組する人とは付き合わない」

« Qui hait le sang étranger ou le méprise n'es pas encore un individu, mais une sorte de protoplasme humain. »
「外国の血を忌み嫌ったり軽蔑するものはまだ一個の人間になっていない、一種の人間の原形質にしか過ぎない」

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