フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

武満 徹

2005-04-14 20:07:30 | 自由人

Toru Takemitsu (1930-1996)。20世紀を代表する作曲家。独学でここまで来る人がいるのだ。芸術の世界は学校教育では如何ともしがたいということか。昨日取り上げた本から、彼に関係のあるところを少しだけ。

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ジョン・ケージには、具体的な、音楽の方法論的な影響よりも、何しろ音楽っていうのは自由なんだ、自由な態度で音楽に接しなきゃいけないってことを学んだと思います。...僕は、彼は作曲家として素晴らしかったと思うし、彼の音楽作品も大好きですけれど、だけど僕自身はジョン・ケージのような音楽は、書かないと思うな。でも、彼から深く影響受けてますよ。あまり物事にとらわれないっていうかね。何に対しても、自由、自由。


もう一人、ルイジ・ノーノも亡くなったんですが、彼はなんていうんだろ、ジョン・ケージとは全く違う人ですけれど、それでも似てるところって言ったら、自分に絶対嘘を言わないってことね。自分の追及するテーマをきちっとやったっていうか・・・・・・。


これからは一人一人が、普通の人間全部が、芸術的な生活をしなければ駄目だと思うな。今までは専門家の芸術家っていうのがいて、市民の上にこう一つ専門のアーティストっていうのがいて、偉そうにやってたけど、そうじゃないと思いますね。


僕はやっぱり自分が音楽をやり始めたときから、音楽というものを、自分のことをいつも考えたいと思ってたから。まあ僕は別に仏教徒でもクリスチャンでもなんでもないし、宗教何もないけれども、でも、もしかしたら非常に宗教的な人間なのかもしれませんよ、ある意味で。


それでも僕は、やはり音楽的な達成っていうか、人間が成した音楽的な達成という意味ではやっぱり、ヨーロッパ音楽が最高だと思いますね、僕は。例えばバッハの『マタイ受難曲』なんか聴くと、あれは本当に人間が音楽の上でした最高の仕事ではないかと思うけどね。あれは、たまたまバッハという人を通して何か大きな力が、神とは言わないけれど、何かやらしたような感じだね。人間を超えているような。

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マリオ・A 『カメラの前のモノローグ 埴谷雄高・猪熊弦一郎・武満徹』 (集英社)より

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