パリ出発の朝、ホテル周辺を散策。小さな雑貨屋でフローベール Gustave Flaubert (Rouen, 12 décembre 1821 - Canteleu, au hameau de Croisset, 8 mai 1880) の小説、 "Un cœur simple" (邦題は「純な心」) が目に入る。挿絵も入って、1.5ユーロ。このように直接手にとって気に入るかどうか読むという経験は、ネットではなかなか味わえない。またどんな小さな店でも何かが待っている可能性があると思い知らされる。
日本に着く。小雨が降っている。日本に行ったことのあるパリジャンも言っていたがそこは全く違うところである。自分を支えているエネルギーのベースのレベルが一段下がるように感じる。それはここが自分に近いところのせいなのか。あるいは東洋と西洋の本来持っているエネルギーの違いなのか。
旅とは、違う土地に行って新しいものを見ることだった。これまではそう思っていた。しかし実は、違うところに行って自分の外にあるものに反応する自分を見ながら、頭の中にある過去の記憶の海を歩き回っているに過ぎないのではないかと感じるようになっている。だから旅とは自分に出会うことだと言われてきたのだろう。その意味では、毎日でも場所を変えるということは可能。そして、旅に出ることは目的ではなく、あくまでも手段であることがわかる。新しい自分に会うための。
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(version française)