"Lune de fiel" という小説をロマン・ポランスキーが映画化した "Bitter Moon" (邦題「赤い航路」) を見る。映画の原題はフランス語の直訳だが、日本のタイトルはどうみても理解に苦しむ。
長期航海に出た結婚7年目のイギリス人夫婦とアメリカ人の夫とフランス人妻のカップルが繰り広げる大人の愛の心理劇とでもいうのだろうか。良識人には最初から受け付けない不快なところもあるだろうが、極端まで行ってしまうと崩れることもあるが不思議な繋がりが生まれる可能性もあるようだ。人間の結びつきについて考えさせられた。
アメリカ映画なのだが、ポランスキーの手に掛かるとヨーロッパの精神が表れるのだろう、少し複雑になる。しかし純ヨーロッパのものとは明らかに違って見える。二人が出会った96番のバス(モンパルナス Gare Montparnasse からポート・デ・リラ Porte des Lilas)などパリの生活を感じる景色が撮られているが、どうしても外国人が撮っているものに見えるのはどうしてだろうか。
ポランスキーの奥さんでもあるエマニュエル・セニエ Emmanuelle Seigner がいつもながら予測不能な野性味を出していてなかなかよい。