昨日の解放感を引きずりながら、先日ミコ様から教えていただいたこの映画を見てみようという気になり、恵比寿まで出かける。
「パラダイス・ナウ」 "Paradise now"
自爆テロを命じられた二人の幼馴染がテロ実行に至るまでに潜る心の葛藤を描いている。その過程で、組織の一員としてしてしか機能していないかに見えるテロを命じる側の人間の本質をも垣間見せる。迷いながらも最後まで行ったサイードは、おそらくその最後の日にこの世の人たちとの折り合いを彼の心の中でつけることができ、決心したように見えた。希望を失った人間には未来はない。未来がないと感じた人間の取る行為としてはサイードの最後を理解できるところもある。太平洋戦争時の特攻隊にも通じるものかもしれない。最初はむしろ積極的だったハーレドが踏みとどまったのは、どこかに希望を見出だしたからだろう。見終わって、私の中にある 「組織」 に対する不信は強まるばかりであった。
ポールさま
読書を中断してご覧頂いたようで、かえって申しわけなく思います。早速ご感想も有難うございました。
「組織」の掲げる理想と「個人」の葛藤は無くならないものかも知れません。「ブラック・ブック」も同じようなテーマでしたが、ナチの時代とリアルタイムでの切実感はやはり違いました。考えさせる作品は貴重です。
各種映画賞を獲った「パラダイス・ナウ」を上映するまともな劇場がないという日本の「組織」(業界)の硬直性に怒りを覚えます。