フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

生きることか語ることか VIVRE OU RACONTER

2006-02-18 00:38:17 | 哲学

以前にサルトルの嘔吐 La Nausée を読んだ時に気になる対比があった。自分のこれまでの体験からピーンとくるところがあったのだろう、再び飛び出してきた。それは VIVRE OU RACONTER。

自分なりにその対比を考え直すと、「VIVRE 生きる」という中には現実とぶつかりながら生活していてそれで手一杯という状況、と理解してみる。新しいことを始める時、新しい環境に身を置く時はこの状態になる。それに対して 「RACONTER 語る」 の中には、現実に直接絡むことをせず、あるいはこれまでの体験について遠くから観察し、その意味を見出し語る状態と捉えてみた。

そうするとブログを始める前は現実に能動的に向き合い、その中に満足を見出していたように思えてくる。ブログを始め、「我観察する、故に我あり」 と自らを見た時に、今までの自分の位置が心もとないものに感じられた。しかし、この1年余りを RACONTER の時間、それ以前を VIVRE の時間として使ったと考えればそれなりに存在理由があったということになる。VIVRE に身を沈めていた過去もなかなか面白いものに感じられてくる。

VIVRE と RACONTER を同時に進められれば素晴らしいようだが、別の考えも浮かんでくる。人生を長い目で見れば、VIVRE に 100% のエネルギーを注いだ時期を持つ。これは体に記憶を詰め込むと言ってもよいだろう。そしてその後にその記憶を解きほどき RACONTER する、というのも味があるかもしれない。動いている現在を見るよりは、止まった過去を見る方がよく見えてくることがあるので。いずれにせよ、この二つの要素を意識しておくことが重要に感じられる。

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4 コメント

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Unknown (Unknown)
2006-02-20 15:29:23
生きること か 語ることか



私は、 「生きること が 語ること」だと思います。

そんな背中を見せながら生きていけたら、超~かっこ良くないですか?まあ現実は とほほ の日々ではありますが・・・(^_^;)

毎日 楽しく拝見しています。たくさんのエッセンス散りばめられていて世界が拡がります。感謝感謝m(_ _)m

最近よく一致することがらがあるので、勝手に相槌うったりガハハと笑ったりと共鳴している自分を感じます。

まあ、きっと年齢も中の上かと推察申し上げますが、まだ余寒ありますゆえ散歩時もあたたかい格好でお出かけください。

明日も読ませてくださいねー。(^_^)
訪問ありがとうございます (paul-ailleurs)
2006-02-20 22:34:48
仰るように、「語る」を広い意味で理解して、まさに人生を生きることを芸術作品として残すことができれば最高だと思います。今回のお話は少し狭い意味にとっています。私としては、人生を芸術作品に、という考えに非常に近いと思います。年齢が上の下になってきて、ようやくそのような考えに至ったようです。



読んでいる方がいると思うと、語らなければならないとプレッシャーになりますが、そろそろ生きることに集中しようかという思いも出始めています。



またお訪ねください。



Unknown (Unknown)
2006-02-24 10:36:20
風の吹くまま気の向くまま、心が動いた時につづってください。

「・・・なければならない」は、御法度ですよね。(^_^)



お返事は、うれしいものですね。ほんとうに。きままなコメントにちゃんと向き合ってくださるからこそだと思います。ありがとうございます。こうして言葉のキャッチボールができると曖昧なことが

はっきりとした輪郭を持つようになったり、深まったりして、確信に繋がっていったりすることもしばしばです。「また」ということでしたので、素直に「また」お邪魔してしまいました。(^^)

では、また・・・の・・・またです。(^_^)/

再訪ありがとうございます (paul-ailleurs)
2006-02-24 20:45:20
気持ちが楽になるお言葉ありがとうございます。私事になりますが、今いろいろな人にお願いをしているのですが、その返事を見ていて相手の心の中が見えるようでうれしくなっています。心の広い人ばかりだな、という思いです。この広い世界の中で人と触れ合うことは奇跡に近いことですが、その人たちにこういう対応をしてもらっているということ、感謝感謝です。いずれ書いてみたいと思います。

また「言葉のキャッチボール」にお越しください。

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