基本製図操作 スタイルブックから 2


<よくある質問>

パタピッ は、製図解説付きの スタイルブック からは引けないの?

今回は パンツ製図 についてお話します。

前回同様、問題点と改善策を例題を元に進めていきます。

手書きでパンツ製図を引いて、パンツを作ったことのある方は、きっと感じたことがあるのではないかと思いますが、パンツ製図というのは難しいものです。洋裁を楽しむ一般の方から製図を本業にしているプロの方など、製図経験を重ねた方でも「パンツは難しい!」が本音のようです。

近頃はパンツ流行りで、若い方からご年配の方までパンツスタイルが大変増えました。
・・・目にする機会が増えれば増えるほど、着用する機会が増えれば増えるほど、「あれが格好良くて、これはいやだ!」「あれは着易いけど、これは着心地が悪い!」と比較対比し、目は肥え好みもうるさくなります。
たとえ自分で作るパンツであっても最高級を求めたいというのは当然の流れでしょう。
こうなるとますますパンツ製図は難しくなります。

既製服業界やオーダー事業などでは、この製図の如何が商品の明暗を分けます。
仮に趣味の領域でも 格好が良くて着心地の良いパンツを作りたいですね。

前回の解説で「製図は繊細です」と説明しましたが、パンツに関しては他のジャンル以上に繊細です。

パタピッ ソフトの開発では、人間の曲線(凹凸)をいかに美しく表現し製図化するかの研究を積み上げてきましたので、手書きでは困難な計算をいたる所でさせています。ユーザーはウエストやヒップ等を打ち込むだけですが、実行ボタンを押した後、画面に製図が現れる数秒の間に内部では複雑な計算をします。パタピッ はその数秒間に、内部プログラムを見ると気が遠くなるようなとんでもなくたくさんの計算をして懸命に働いているのです。
パタピッ ソフトで引いたパンツは「格好いい」「着易い」と多くのユーザーから感想を聞きますが、それは見ても理解し難い複雑怪奇な計算があってのことです。
(パンツソフトに限らず、他のどのソフトでも同様です。人間という立体をいかに美しく製図化するかを細部に渡って計算させています。)

余談になりますが、パソコンの優れたところはどんなに複雑な計算でもプログラムに組み込んでしまうと一瞬で計算してしまうところです。このスピードは、当然ですが到底パソコンにはかないません。人間がプログラムすることですから、人にも計算できますが、多分パンツ一つをとっても、同じことを人が電卓片手に計算し製図するとしたら、たっぷり半日はかかるでしょう。それをパタピッ は数秒で行います。毎回毎回製図の度に時間をかけて疲れはてるより、ここは機械を利用するのが賢明でしょう。




右はパンツの囲み製図です。少しだけ裾が広がったブーツカットです。前回のスカート製図と同様同じ問題点が見つかります。 ・・・ 見つけられますか?

そうです。ダーツの幅や本数、ゆとりなどなど・・・。スカートと同様、各人に合った計算式を表示したら、製図は面倒で難しくなりますので、敢えて一定の数値で表現しています。出版側も苦肉の策なのでしょう。

膝回りの幅や裾回りの幅も同様です。太い人もやせた人も表示数値は一つですから、このまま作成すると、細過ぎたり、太すぎるという人も出てきます。

このパンツもヒップのゆとりを見ますとご年配向きです。着用しているモデルさんは20代の様ですが、若い方には大きすぎて好まれないでしょう。

さて、ダーツ幅や裾幅、ヒップのゆとりなどは、少し製図の知識がある方でしたら自分で修正して直してしまいます。
そこまでは洋裁経験が豊富であれば修正可能です。

ここまではスカートと同じような問題点ですが、パンツ製図は股ぐりのカーブラインが加わります。ここがパンツ製図の難所です。

当然のことですがヒップの厚みと深く関係します。その目安になるのが赤丸で抜き出しました左部分の数値です。「4」と指示がある部分です。後ろパンツではさらに4cmを追加する指示になっています。

さてこの数値ですが、スタイルブックに載っているどのパンツも、この股の厚みの数値は決められた数字を表示しています。ここでもやはり複雑な計算式を省略して読者に引きやすい製図にしています。

この寸法は、いわゆる股に沿ってお尻を包み込む寸法です。お尻が大きな人と小さな人とでは当然数値は異なります。寸法が足りないと股に食い込んで突っ張りじわが現れます。逆に、やせた人ですと、たるみじわとなって現れます。
つっぱりじわが目立つパンツは、返ってお尻が大きいことを強調してしまいます。逆にたるみじわは、お尻が貧弱なことを強調してしまいます。

ここの数値決定はとても難しいものです。体型とも関係しますし、仮に着用者が同じでもデザインや素材によって変化します。「私は○○センチだ」という決定値はありません。

・・・様々な箇所でパンツは難しいですね。



もう一つの難題は・・・ やはり 「製図全体のバランス」です。

スタンディングスタイルも美しく、ウォーキングスタイルもきれいに・・・は、パンツに限らずスカートやワンピース、その他どの衣類でも理想とするところです。
パンツは特にヒップと脚に程よくフィットした上で、布が地面に向かってきれいにまっすぐ落ちる・・・という姿が美しいものです。

製図に詳しい方でも、この点は度々頭を抱える難題です。体型による難しさはもちろんですが、仮に標準サイズでも、ワイドパンツからスリムパンツまで様々なパンツデザインがあり、全てにバランスをとりながら製図を仕上げるのは、先に説明した様に複雑な計算の元に成り立つことで、この繊細な計算を無視しては叶いません。

パタピッ が無ければ多分素人の腕ではパンツ製図はお手上げでしょう。

素人に限らず、既製服でもオーダーで仕立ててもらう服でも、お客様が満足するパンツというのは意外と少ないものです。本業と言えども満足な製図が引ける人材は思いの外少ないものですよ。

やはり頼れるのはパタピッ です。上のパンツスタイルは、基本の操作ででき上がります。着用者の「ウエスト(ベルトサイズ)」「ヒップ」「股上」「パンツ丈」を入力します。このデザインはジャストウエストで履くパンツの様ですが、近頃はローライズパンツが流行っています。股上数値を浅くして、ウエスト入力は腰まわりの数値を入力し実行ボタンを押すとでき上がります。もちろん全てバランスや股の厚みなどはパタピッ が計算しますから、素人でも「格好の良い」パンツ製図ができ上がります。

体型的に特徴のある方の場合は、補正が必要なこともありますが、僅かで済むでしょう。手書き製図でその類の方の補正をするとなると、あちこち直したり、その補正分量も多く、当然のことですが多くを補正すればバランスは崩れていきます。補正は極力少ない方が良いのです。

裾の幅や膝回りについては、着用者の脚にメジャーを巻いて数値を決定する方法がありますが、もし手元にシルエットの気に入ったパンツがあれば、その裾幅や膝周りを計ってパタピッ に入力すると、ずばりそのパンツの幅にでき上がります。ついでに もも回りのでき上がり寸法も測ると良いですよ。でき上がったパタピッ 製図を計って寸法が足りない(または多い)場合は、股の点を外側(または内側)に移動することで もも周りの幅も調節することができます。

手元にお気に入りのパンツがあれば、さらに後ろ股ぐりや前股ぐりの傾斜や寸法も確認すると良いです。無地のパンツですと傾斜具合は分かり難いですが、ストライプやチェックですとよく分かります。傾斜を変えることでお気に入りのパンツに限りなく近づきます。特に近頃のローライズパンツは、前も後ろもかなり傾斜しています。

パタピッ は自動計算で画面に製図ができ上がりますが、その後の傾斜の変更や長さの調節は、CADを使うのなら股ぐり線を「回転」機能で倒したり起こしたり、長さを変えるのなら「点移動」機能や「伸縮」機能を使用します。CADを持たないユーザーは、印刷後の製図ラインに鉛筆で修正しましょう。
これらのデザイン修正は、マニュアルでも説明していますので、そちらも合わせてご覧ください。

最近のローライズパンツでは、前中心を落としているものも見られます。既製服のパンツをよ~く観察してみましょう。脇より前中心が下がっているパンツを見かけます。今流行のベルトを見せたいという狙いがあるようです。パタピッ ででき上がった基本製図の前中心を「点移動」で下に降ろすと同じデザインができ上がります。CADが無い場合は、鉛筆書きで前ウエストラインを修正しましょう。

流行がどんなに変化しても、パタピッ の基本製図を元にすれば、いつの時代の服も引くことができます。

デザイン応用については、多分最初は「あれ、ここはどうするの?」とか応用内容によっては難しい場合もありますが、これも何着か作る内に次第に上手になります。パタピッ Magazineも参考にしてください。

何しろバランスが整う製図がパタピッ操作で手に入るのですから、後は感性をつぎ込むだけです。



何が良くて何が悪いかが分かれば、これからたくさんのデザインを製図する際にも役に立つでしょう。そこで、基本的な解説をもう少し続けます。

右も囲み製図です。ウエストはゴムのパンツで 作るのも簡単そうです。
ヒップの数値を計算すると、ヒップのでき上がり寸法は118cmです。M寸の製図ですから30cmのゆとり分量です。部屋着やパジャマでしたらゆったりも良いでしょう。でもパジャマでもM寸でしたら20cmそこそこのゆとりに納めたいものです。

この製図を例に挙げたのは、ゆとりの分量の良し悪しではなくパンツの中心線を説明するために選んだものです。

上の製図には中心線(前後パンツの中心を走る縦の点線)がありますが、このパンツにはその表示がありません。部屋着やパジャマでは格好の良し悪しは問いませんので、製図が簡単に引けるのであれば右製図も良しとしますが、外出着では中心線は大変重要です。

中心線の大事な働きは、着用した時に布目が歪まずきれいにまっすぐ地面に落ちる流れを作る働きです。例えば、右の製図で縦ストライプの布を使いパンツを作ったとしたら、ストライプの線は歪みます。外出するにはちょっと格好悪いですね。

パタピッ 製図は必ず中心線が製図ラインに出ます。ゴムパンツでもそれは大事なことです。部屋着でも、中心線を考慮して引けばくつろいだ姿も格好がよく、尚素敵でしょう。


同じ理由から、右のパンツ製図を評価してみましょう。脇縫いを省略したパンツです。
手書き製図で服を作る場合、難しいものはついつい避けて、簡単に引けそうな製図を選択してしまいがちですが、右の製図はさらに「脇を縫わなくてもいい!」という、縫う点でも楽そうなのでつい作ってみようかなと思ってしまいます。そこが落とし穴です。

今までの説明で大分お分かりいただけたと思いますが、脇の傾斜を無視して、中心線も無視した右の製図は「格好いいパンツ」からは程遠いものです。


さて、先の二つのパンツ製図は「前パンツ」と「後ろパンツ」の製図は引き方が異なります。右の製図も前と後ろの股ぐりの傾斜や高さなど異なります。
さらにひどい製図で、前後の型紙が同じものを時折見かけます。一枚の製図で前も後ろも兼ねてしまうものです。
これは、もっての外です。人間の身体は前と後ろでは明らかに違います。その違いを無視して作ると非常に履き心地の悪いパンツになりますから、くれぐれも気をつけてくださいね。

余談ですが、身頃でもそのような製図を時々見かけます。ニットソーイングに多く、編み物製図でも結構前後を無視しています。伸びるからいいのだという発想ですが、作った経験のある方は「なんだか格好が悪いし、着心地悪いし・・・」と満足には思わないようです。

パタピッ ソフトの「ブラウス用身頃頃」はニット製図も引けます。もちろん前後のバランスを整えて引きます。機械編みや手編みの製図でも、このパタピッ で引くくユーザーはとても多いです。明らかに格好が良いです。伸びる素材であっても製図を繊細に扱うかどうかででき上がりは明らかに違います。




< まとめ >


前回のスカートやワンピースの解説と同様、パンツ製図も 基本的にはパタピッ に任せた方が失敗は少ないようです。スタイルブックの製図は数値が表示されていますから引くには迷いはありませんが、ほとんどの製図に問題箇所が見られます。

人は一度習慣になってしまったことを変えるというのはなかなかスムーズにはいきませんが、数着パタピッ で作ると「あれッ?」・・・と何か変化を感じます。最初は何が違うのか分からないのですが、「なんかカッコいいし、なんだか着易い!」 この違いこそが「繊細な製図の動き」によるものなのです。

体型的な特徴による補正はマニュアルで学んでくださいね。身体の構造面から原因や対策を分かりやすく詳しく説明しています。広げたり移動したりの補正ですが、自分に適した補正方法が見つかれば、他のデザインでも使えます。


ソフトの何を呼び出すかの選択や数値の操作はユーザーに委ねられますので、寸法が表示されている本の製図と比較すると迷いが多いでしょう。でも、それだけ自由に、ユーザーの思いを自在に表現することも可能なのです。

パタピッ の動きを理解し、操作に慣れてしまえば その自由な想像力はぐんぐんと伸びていきます。基本はマニュアルでまず覚え、応用操作はパタピッ Magazine が参考になります。

じゃあ 「スタイルブックの製図はパタピッ で引けないの?」
スタイルブックにはでき上がった服の写真が載っています。切り替え線の位置やポケットの形や大きさなど、ベースの製図以外の部分では、迷った時の参考になります。

パタピッ は、写真からフィット具合やシルエットを確認し、適合するソフトを操作して製図を楽しんでいただきたいソフトです。適合するソフトの正確な選択と数値操作をまず覚えてください。
その基本がクリアできれば、デザインの創造は際限なく広がっていきます。


今までの製図方法からちょっと離れて、新たな一歩を踏み出してください。




パタピッ 製図で ステキなファッションの創造を楽しみましょう。

詳細は
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