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社長が訊く『NewスーパーマリオブラザーズWii』を読んでみました・後編

2009年11月17日 13時48分17秒 | 【旧】ゲーム関連記事
マリオの原点から生みの親が語る『New スーパーマリオブラザーズWii』社長が訊く
社長が訊く『NewスーパーマリオブラザーズWii』
『NewスーパーマリオブラザーズWii』公式サイト

前編に続き、宮本 茂氏と、岩田社長の対談です。


初心者にもエンディングを
ファミコン生誕20周年の時期に、ゲームボーイアドバンスで「ファミコンミニ」シリーズが発売されたり「ゲームボーイミクロ」が発売されたりとありましたが、あれでいわゆる「ゲーム離れ」をより親密をもって感じることになったそうで…じゃあ、次は昔の横スクロールタイプでマリオを発売かなぁ…というのが、DSの『Newスーパーマリオブラザーズ』開発のきっかけだったそうです。
まあ、結果的に日本でも550万本という絶大な売上を見せ、「ゲームは忘れたけどマリオを忘れられない人たち」を惹きつけられたという意味では大成功だったと思います。
デカマリオは、(当時の)新世代機ならではの1つのアクセントとして考えられたそうです。やはり昔どおりといったところで、新作を作るからにはオリジナリティがなくては商品としての価値がないですし、魅力もないですからね。

また、反省点として「難易度少し易しすぎたかも…」ともおっしゃっていますね。まあ、ここのバランスは非常に難しいものです。難しく作ればゲーム初心者はついてこないですが、簡単すぎるとヘビーユーザーがつまらないと感じる。
じゃあ、簡単なところと難しいところを分ければいいのか?というと、やっぱり人って目標ある限り進みたいと思うわけですから、結局初心者でも最後は全てを完璧にクリアすることを目指したくなるものです。だから、安直に難易度を住み分ければ済む話でもないだろう、と私は思っていますね。

まあ…その行き着いた答えが、最新作となる今作で導入される「おてほんプレイ」なのかもしれません。これは、ルイージがコースを実際に進んでいき、各所の攻略法を見ることができるというもので、しかも最悪、どうしてもクリアできない場合はクリアしたことにしてしまうこともできるそうです。
また、途中まで「おてほんプレイ」で進んでもらい、途中から自分で操作することもできるそうです。どうしてもクリアできない難所だけ飛ばしてしまうとか、難所をむしろ練習するためにそこまでの道のりは自動で進めるとか、いろいろ活用できそうです。
ちなみに、途中からの再開の場合はルイージを操作することになるそうですが、今回、マリオとルイージのジャンプ力は同じだそうです。


うまい人には“勲章”を
「おてほんプレイ」が見れるヒントブロックが最初から出ていると、ヘビーゲーマーはムッとする。という宮本氏の意見もまあ…分かる気がするので、何回か失敗したら出るようにしたそうですが、何回がいいのか?が非常に悩まれたらしく、結局8回失敗で見れるようにしたそうです。
で、もしヒントブロックを出さずにクリアすると、それを示す勲章が表示されるそうです。もちろん、8回失敗すると勲章は消えて、セーブデータを消さないと再び出すことは不可能。そこで、ヘビーゲーマーに火をつけてやろうという企みらしいです。攻略して出るタイプはよくありますが、逆のパターン?みたいで、確かに面白いですね。最初はとりあえず全クリアして、データ消した後今度は勲章コンプリートを目指す、とか。
さらに、「おてほんプレイ」とは逆で、前作同様ステージに存在するスターコインを獲得することで、スーパープレイな「おたからムービー」が見れるそうです。

「おてほんプレイ」という発想から始まり、ここまで1本の線でつながっていますね。
そこには、誰にでも楽しんでもらいたいという強い思いを感じます。


空中に浮くブロックの“不自然”
まず、サブタイトルでなんか納得。よくよく考えたら、不自然ですよね(笑)

この話のまえに、マルチプレイの話が。
マルチプレイでは、Aボタンを押すことでシャボンの中に入り、その間は他に人が進むことで一緒にコースを進むことができるそうです。初心者救済を、やれるところまで徹底的にやりますね。
また、マルチで遊べる「コインバトル」は、なんとE3から帰ってきてから作ったそうで。E3が確か6月?でしたから…12月発売と考えると、そんなに余裕はない話ですね。これもある種、ちゃぶ台返しでしょうか?返してはないか(笑)

その後から、「自然か?不自然か?」という話に。
ファイアボールが陸から水中に落ちても消えないという話。それからブロックの話。ブロックは「奥につながっている」と言ってますが…『スーパーマリオギャラクシー』では完全に浮いてますからね(笑)まあ、その時はそれでいいと判断したんでしょうね。
また、今回から登場するペンギンマリオでは、アイスボールを投げて敵を凍らせることができますが、水中で凍らせた場合はどうなるの?とか、ファイアボールを当てたら溶けるの?とか…自然な形を追い求めると、本当にキリがありません。しかし、当然ながら制作する時間は無限にあるわけではないですし、なんでも自然に作ればいい方向にいくとは限りませんし…その境界線が、すごく難しかったんでしょうね。

自然…という意味では、例えば3Dの世界で人間が走るとき、2Dの時のように動きをごまかすことができないので、どうしても遅くせざるを得ない…。そんな考えがあります。しかし、もちろん移動は遅くなるので、人によってはなんとなくストレスを感じてしまうわけです。
移動が少し遅くなってでも自然な形をとるか?不自然でもいいから移動スピードをとるか?ハイスペックになってきたからこそ、今はこの「自然」と「不自然」の境界線が、より難しくなってきているように思います。


『マリオ』らしい“匂い”を
宮本氏いわく、今作も前作のように、長く売れ続けるロングセラーな作品を目指しているということですが、そもそも1年後も売れ続けているタイトルと、そうでないタイトルは、ナニが違うか?と言うと、いわゆる…空気というより雰囲気というより「匂い」が違うのだ、と言います。
もちろん、分かる人には何となく分かりますよね。この「匂い」って、いわゆるクンクンと鼻で嗅(か)ぐ匂いではなく、あえていうなら…病み付きになる、といったほうが近いかもしれませんね。対談では「手ごたえ」とも表現しそう、とは言っていましたが。
これまで、脳トレや『Wii sports』、最近では『トモダチコレクション』なんかもロングセラー商品となっていますが、これらにもきっと同じことが言えるんでしょうね。「匂い」が違う、と。

ここから、今回から登場するプロペラマリオの、効果音の話について。
どうやら、いわゆるちゃぶ台返しを繰り返していたらしく「カブトムシが飛んでいるような音で」って作ってみると「やっぱりカブトムシは無しで」ってなったりして…なかなか、効果音って、実際に画面と合わせて聞いてみないと、分からないものですよね。
で、試行錯誤を重ね…ちょっと重めな感じのモーター音?みたいな音になったようです。まあ、ヘルメットにプロペラが付いたものというのが、そもそもこれまでにない存在ですからね。たぶん「タケコプター」とも違う印象でしょうね。


アクションゲームの正しい楽しみ方
どうやら今回は、ミスをすると必ず?コースの振り出しに戻るという仕様になっているそうです。いわゆるチェックポイントがない、ということでしょうか?
そこには、「多少自分が上手にできてしまうところも遊ぶから気持ちがいい」という、宮本氏の信条があるとか。人によっては「え~また最初っからかよ…」とか思うかもしれませんが、逆にそれでミスを恐れるので、緊張感が生まれるという利点もあるんですよね。どっちがいいかは、なかなか決め付けられないものです。

そして今回、宮本氏の長年の夢だったという「『マリオ』を使ってマルチプレイを実現させた」ということに手ごたえを感じているとのことで、まあ…ムービーを見させてもらっただけでも、このマルチプレイが面白くないわけがないと分かるわけですが、より期待が高まります。


最後に一言。Bダッシュは、1ボタンになっても、Bダッシュ。
原作での秘話も聞けて、なかなか読み応えのある対談でした。


関連記事:
社長が訊く『NewスーパーマリオブラザーズWii』を読んでみました・前編(2009/11/16)
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