さて、今回の対談しますお相手は「任天堂タイムス」の管理人フォックスさんです。毎日任天堂関連の情報をどっさり扱っており、また小売店で働いていらっしゃったということで、ショップ側の視点も垣間見える対談となりました。
テーマは本来２つですが、今回はちょっと訳ありで３つ取り上げます。存分にご覧ください。
共通テーマ：『ゲーム機のネットワークについて』
対談のお相手：フォックスさん（「任天堂タイムス」管理人）
対談日時：2007/11/24
●やはり誰もが感じる「対戦」という敷居
partygame ： フォックスさんはあまりご自身のゲームについてはブログで話されていないので、普段どういったゲームをプレイしているかあまり予想がつかなかったりするんですが…。
フォックスさん ： そうですね。確かに私は普段それほどゲームはプレイしないんですね。サイト更新や他の仕事などで時間がいっぱいですので。
partygame ： ゲーム機でネットワークとかは利用されていますか？
フォックスさん ： WiiやDSでWi-Fiを使ったりする程度です。ごく最近では、やはりWiiのチャンネルくらいですね。直接ゲームをプレイするときにWi-Fiを使うといったことはかなり少ないです。
partygame ： それは時間がないということと、あとは人と直接ネットワークでつながるというのが苦手というのはあったりしますか？
フォックスさん ： うーんそうですね。時間がないというのは一つの理由ですが、直接つながるのが嫌というほどではないですね。ただ、WiiやDSではフレンド登録しないと通信が出来ないことがあるため、必然的に利用機会が減ってしまうことは確かですね。あとは、そういった「オンラインゲーム」といったもののプレイ経験がないのもあるのかもしれません。
partygame ： なるほど。例えばDSでいいますと、フレンド交換が必要ないフリー対戦とかはどうでしょうか？
フォックスさん ： 「スターフォックス コマンド」ではそういったフリー対戦をプレイしたことがありますが、やはり強い人と弱い人との差で、逆にあまり面白いとは感じられませんでしたね。
●ユーザーを「待たせない」ことも大事
フォックスさん ： それに、どうしてもマッチングまでの待ち時間が出来てしまう。プレイステーション全盛時にニンテンドウ64（以下、N64）をプレイしていたため、どうしても待ち時間が気になってしまうんですね。「大乱闘！スマッシュブラザーズＸ（以下、スマブラＸ）」ではマッチング中にサンドバッグくんで練習できるというのを用意していますが、ああいったものというのは意外に用意されていないゲームが多いですよね。
partygame ： そうですね。最近になってようやく増え始めているという感じですね。
フォックスさん ： 昔の任天堂ではないですが、自身がアンチディスクだったような。
partygame ： いや、しかしローディングでユーザーにストレスを与えないと言うことは大事だと思います。ローディングでイライラさせてしまうと、ゲーム内容とは関係の無いところでマイナス点が付いてしまうわけですから、そんなの開発者だって嬉しくありません。
フォックスさん ： N64当時は雑誌に載っていた山内前社長のコメントなどにうんうん頷いていたりしたほど、そういった意味で自身がN64のゲームに対する快適性を支持していたんだなぁと、今振り返って思ってみたり…。
partygame ： 今の次世代機、特にPS3あたりがロードに１分かかったりするソフトがあるなんてこと、フォックスさんには想像もつかないんでしょうね。
フォックスさん ： PS3は高性能だからこそ、逆に読み込みが早くなければいけないでしょうね。それでこそあの高性能が活きるのに、読み込みが遅いのでは何のための性能だろう…といった感じです。
partygame ： 別の部分に性能を費やしている、ということでしょうね。
●ネットワークサービスに提供のあるXbox360
partygame ： さて、ちょっとロードの話に偏っちゃいましたが…ともかくそのマッチングの待ち時間を含め、ネットワークの対戦というのはやはり敷居が高いものだと思われますね。
フォックスさん ： 「おいでよ どうぶつの森」がフレンド限定にしたのは荒らし対策としては分かるものの、どうしてもまるで「クラスでチームを作るときに1人はぐれてしまう」ような、そういった層ができてしまうような。気持ちは分かるし理に適っている。ただ、その一方で別の層にとって敷居の高いものになってしまっていますね。
partygame ： そうですね。どちらを目指しても結果として敷居が高いことに変わりはないですね。
フォックスさん ： そういった意味で、ネットワーク対戦では完全に敷居の高さを解消するのは、意外に難しいですよね。
partygame ： どうしても日本人という人種そのものが、そういう敷居にたいして非常に敬遠しているところがありますからね。逆に海外、特に米国なんかで言いましたら、Xboxが売れていたりXbox Liveの内容を見る限りではそういったことに対してあまり抵抗を感じていないように思います。
フォックスさん ： 国内と海外の市場は、近年になってかなり違いが出てきましたよね。
partygame ： おそらくXboxが登場したあたりから、変化は始まっていたと思います。Xboxというのがまあ他の機種に比べるとなんか「パソコンっぽくなった」というのが、米国にとってはもしかしたら大きかったのかもしれませんね。
フォックスさん ： そうですね。ただ、Xbox360は魅力的ですが、実際手を出すかどうかには行きづらい。そういう人は国内には少なくないと思いますね。ネットでの盛り上がり感は、おそらくWiiやプレステ3以上かもしれないのに…。
partygame ： 私も含め、周りにもけっこうそういう人はいるんですよね。魅力的なんだけど、こう…今一歩手が出ないという。
フォックスさん ： Xboxは良くも悪くもマイクロソフトらしさが出ていますからね。私は、ソフト以外で一式揃ってWiiと同価格なら、かなり気持ちが揺れます。ただ、コアシステムはHDDが別だったりして、そのHDDも高いのではちょっと…となってしまうんです。
partygame ： まあ、やはり通常版を買うことをお勧めしますね。
フォックスさん ： 私もXbox360を買うなら通常版が無難だと思っていますね。ただ、まだ通常版の価格が3万円台ですからね。Wiiと同価格帯になれば検討するところまで降りてくるんですけど。入っているものを考えますとギリギリのところなのは分かるんですが…、PS3もそうだったように、中身がコストがかかっていても、多くの人は「高い」と思ってしまう。
partygame ： 確かにそうですが、それを言い続けていくとキリがない気もしますけどね。それこそWiiを高いと感じる人もたくさんいるわけですから。
フォックスさん ： そう考えると、価格というのは重要なファクターの一つで、良くも悪くもイメージを決めてしまいますよね。PS3も、599USD！（＝ドル）と平井氏が発表した瞬間、多くの人が高いと感じてしまった悪影響を今も引きずっていますし。
●今だからこそ大事で危険な「広告展開（アピール）」
フォックスさん ： Wiiは、実は最初「高い」と思ったんですよ。
partygame ： ほう。それは何故ですか？
フォックスさん ： 他にもD端子ケーブルやクラシックコントローラを買えば、結局3万円になってしまうからですね。
partygame ： まあ確かにそうですね。考えようによっては、Xbox360のソフト同梱パックのほうが安く付くかもしれないですし。
では、Wiiを「高い」と感じなくなった理由は何でしょう？
フォックスさん ： 後々、その価格に準じたサービスが揃い始めたところからですね。バーチャルコンソールでプレイしたいソフトが出始めたのも大きいです。DSから始まった、任天堂のメディア戦略によるアピールが奏功していますよね。
partygame ： なるほど。まあバーチャルコンソールにしてもその他のサービスにしても、Wiiではしっかり「見える部分」でアピールできていたことが大きかったかもしれませんね。PS3とかはどうしてもスペックを押し出すことになるので、CPUがどうたらこうたら言われたところで、そんな理解しにくいところを押し出されても魅力を感じませんしね。
フォックスさん ： それらは、ゲームユーザーの話のネタにしかならない。多くの人は、このゲーム機にどんな楽しさがあるのかを知りたいということが、DSやWiiのヒットによって分かりましたしね。
partygame ： 任天堂はとにかく今はゲーム人口拡大をメインに掲げているので、ゆえにそういう戦略が大事だということが分かっていたんだと思います。そしてそれは、ネットワークサービスにおいてもそうだと思うんです。
フォックスさん ： ネットワークサービスにおいても、それでどんな楽しさが味わえるかが実感できないと、なかなか難しいですよね。
partygame ： そういう意味では、Wiiチャンネルなんかは、その楽しさが理解しやすいからこその人気なのかもしれませんね。
フォックスさん ： ニュースや天気がすぐ分かる…というだけでも、かなり大きいですしね。その点では「スーパーマリオギャラクシー」も、初心者でも楽しさを味わえることをもっとアピールできていたら、ここまでの苦戦はなかったかもしれませんね。
partygame ： 確かに…どうしてもＣＭなどを見ている人には「難しそう」「酔いそう」というイメージが先に強く表れて、それで購入意欲を大きく下げてしまっている可能性がありますね。
フォックスさん ：あのCMを見た瞬間、私は任天堂はやっちゃったな…と思いました。
partygame ： victorさんとの対談でもＣＭの話題が出てきましたが、ＣＭで本来伝えるべきことは何なのか？というのを、任天堂も少し忘れている気がします。「ゲーム人口拡大」に意識をとられるあまりに。
フォックスさん ： それは一理あると思いますね。あのCMは、どう初心者でも熟練者でも楽しめるのかということを、ほぼ全く使えていなかった。それにあのCMはゲームキューブで最も苦しんでいた時の、あのテイストそのままのように感じましたね。
partygame ： なるほど。
フォックスさん ： ゲーム人口拡大としての「Wii Fit」などのCMは上手いものの、マリオなどのCMでは未だに昔のところから変わりきれていない感じがするんですね。
partygame ： ゲームの魅力を正しく伝えないことには売り上げ云々以前に興味も示してもらえなくなるので、やっぱり広告というのは今だからこそ大事だと思いますね。
フォックスさん ： CMでマリオのゲーム画面を頻繁に流しても、それはゲームをプレイすれば皆さんが見られる。よってCMで伝えるべきは、やはり先ほど出たような初心者でも楽しめるポイントや、本質ということなのではと思います。
partygame ： 最近多い、ただゲーム画面を垂れ流しているプロモーションムービーなんかもそうですね。
フォックスさん ： そういったCMを見るたびに「それはゲームをやれば見られることじゃないの？」と思ったりしますね。そういう意味では、あのマリオのCMも、ムービーを流すだけのCMとベクトルとしては変わらないような感じがします。
●「Wiiウェア」は『サードメーカー殺し』
フォックスさん ： ネットワークサービスによって、中小メーカーでもアピールできるという考えもあるようですが、私は逆に今より厳しくなると思いますね。現に、バーチャルコンソールも任天堂タイトルが上位を占めていますし。
partygame ： 「Wiiウェア」がようやくサービス開始に向けて動き始めましたが、あれも結局アピールできるのはゲーム情報を進んで調べるであろうゲーマーがほとんどで、いわゆる「ゲーム人口の拡大」にはつながりにくいと思いますね。
フォックスさん ： 私はWiiウェアは、過激ですが『サードメーカー殺し』だと見ていますね。
partygame ： こ、殺しちゃいますか（笑）
フォックスさん ： 中小でも気軽に参入できると踏んで、実はより大手との格差を生んで厳しくなるんじゃと思っています。理由は、以前partygameさんが挙げておられた「小さな王様と約束の国・FFCC」が低価格だという点ですね。
partygame ： 確かに配信型ソフトになっても、全体的な規模は変わりますがそういった格差だとか、価格帯による現実というのは変わりありませんからね…。
フォックスさん ： 結局「質の高いソフト」を「的確にアピール（宣伝）」しなければ売れないですからね。かといって、逆に低価格帯の勝負になれば、より大手が有利になりますしね。ですので、Wiiウェアを知った時、「任天堂はこういったところは狡猾だなぁ」と変な意味で感心したりしました（笑）
partygame ： そう考えると…日本においてのゲーム機でのネットワークというのは、現時点では特に巨大なメリットを生むことは難しいのかもしれませんね。むしろデメリットのほうが多いのかもしれません。
フォックスさん ： 小売店などのこともありますので、今後もパッケージ販売が主流なのは変わらないでしょうね。現に、私が昔バイトしていた地元の某ショップが最近つぶれましたし（笑）
partygame ： それはそれは…。
フォックスさん ： でも、そこでの経験は今結構活きていますね。特に今の任天堂に対して、小売店から相当嫌われている側面があることを実を持って知り得たのは、とても大きかったですね。
partygame ： このテーマに対しての全体的な結論としてはどうでしょう？
フォックスさん ： そうですね。やはりネットワーク関連はまだ黎明期（れいめいき＝新しい時代が起ころうとしている時期）な位置にあるのではと思うので、これからどうなっていくかはまだまだ明確には見えてこないでしょうね。それだけに、スマブラXでWi-Fiプレイ人口が増えることは１つの転換点になるのではと思っています。Wiiにとってもネットワークにおいても、今度のスマブラXはかなり大きな意味を持ってきそうですね。
partygame ： そこに期待したいですね。
vol.3-2「任天堂の風頼みの現状」に続きます
テーマは本来２つですが、今回はちょっと訳ありで３つ取り上げます。存分にご覧ください。
共通テーマ：『ゲーム機のネットワークについて』
対談のお相手：フォックスさん（「任天堂タイムス」管理人）
対談日時：2007/11/24
●やはり誰もが感じる「対戦」という敷居
partygame ： フォックスさんはあまりご自身のゲームについてはブログで話されていないので、普段どういったゲームをプレイしているかあまり予想がつかなかったりするんですが…。
フォックスさん ： そうですね。確かに私は普段それほどゲームはプレイしないんですね。サイト更新や他の仕事などで時間がいっぱいですので。
partygame ： ゲーム機でネットワークとかは利用されていますか？
フォックスさん ： WiiやDSでWi-Fiを使ったりする程度です。ごく最近では、やはりWiiのチャンネルくらいですね。直接ゲームをプレイするときにWi-Fiを使うといったことはかなり少ないです。
partygame ： それは時間がないということと、あとは人と直接ネットワークでつながるというのが苦手というのはあったりしますか？
フォックスさん ： うーんそうですね。時間がないというのは一つの理由ですが、直接つながるのが嫌というほどではないですね。ただ、WiiやDSではフレンド登録しないと通信が出来ないことがあるため、必然的に利用機会が減ってしまうことは確かですね。あとは、そういった「オンラインゲーム」といったもののプレイ経験がないのもあるのかもしれません。
partygame ： なるほど。例えばDSでいいますと、フレンド交換が必要ないフリー対戦とかはどうでしょうか？
フォックスさん ： 「スターフォックス コマンド」ではそういったフリー対戦をプレイしたことがありますが、やはり強い人と弱い人との差で、逆にあまり面白いとは感じられませんでしたね。
●ユーザーを「待たせない」ことも大事
フォックスさん ： それに、どうしてもマッチングまでの待ち時間が出来てしまう。プレイステーション全盛時にニンテンドウ64（以下、N64）をプレイしていたため、どうしても待ち時間が気になってしまうんですね。「大乱闘！スマッシュブラザーズＸ（以下、スマブラＸ）」ではマッチング中にサンドバッグくんで練習できるというのを用意していますが、ああいったものというのは意外に用意されていないゲームが多いですよね。
partygame ： そうですね。最近になってようやく増え始めているという感じですね。
フォックスさん ： 昔の任天堂ではないですが、自身がアンチディスクだったような。
partygame ： いや、しかしローディングでユーザーにストレスを与えないと言うことは大事だと思います。ローディングでイライラさせてしまうと、ゲーム内容とは関係の無いところでマイナス点が付いてしまうわけですから、そんなの開発者だって嬉しくありません。
フォックスさん ： N64当時は雑誌に載っていた山内前社長のコメントなどにうんうん頷いていたりしたほど、そういった意味で自身がN64のゲームに対する快適性を支持していたんだなぁと、今振り返って思ってみたり…。
partygame ： 今の次世代機、特にPS3あたりがロードに１分かかったりするソフトがあるなんてこと、フォックスさんには想像もつかないんでしょうね。
フォックスさん ： PS3は高性能だからこそ、逆に読み込みが早くなければいけないでしょうね。それでこそあの高性能が活きるのに、読み込みが遅いのでは何のための性能だろう…といった感じです。
partygame ： 別の部分に性能を費やしている、ということでしょうね。
●ネットワークサービスに提供のあるXbox360
partygame ： さて、ちょっとロードの話に偏っちゃいましたが…ともかくそのマッチングの待ち時間を含め、ネットワークの対戦というのはやはり敷居が高いものだと思われますね。
フォックスさん ： 「おいでよ どうぶつの森」がフレンド限定にしたのは荒らし対策としては分かるものの、どうしてもまるで「クラスでチームを作るときに1人はぐれてしまう」ような、そういった層ができてしまうような。気持ちは分かるし理に適っている。ただ、その一方で別の層にとって敷居の高いものになってしまっていますね。
partygame ： そうですね。どちらを目指しても結果として敷居が高いことに変わりはないですね。
フォックスさん ： そういった意味で、ネットワーク対戦では完全に敷居の高さを解消するのは、意外に難しいですよね。
partygame ： どうしても日本人という人種そのものが、そういう敷居にたいして非常に敬遠しているところがありますからね。逆に海外、特に米国なんかで言いましたら、Xboxが売れていたりXbox Liveの内容を見る限りではそういったことに対してあまり抵抗を感じていないように思います。
フォックスさん ： 国内と海外の市場は、近年になってかなり違いが出てきましたよね。
partygame ： おそらくXboxが登場したあたりから、変化は始まっていたと思います。Xboxというのがまあ他の機種に比べるとなんか「パソコンっぽくなった」というのが、米国にとってはもしかしたら大きかったのかもしれませんね。
フォックスさん ： そうですね。ただ、Xbox360は魅力的ですが、実際手を出すかどうかには行きづらい。そういう人は国内には少なくないと思いますね。ネットでの盛り上がり感は、おそらくWiiやプレステ3以上かもしれないのに…。
partygame ： 私も含め、周りにもけっこうそういう人はいるんですよね。魅力的なんだけど、こう…今一歩手が出ないという。
フォックスさん ： Xboxは良くも悪くもマイクロソフトらしさが出ていますからね。私は、ソフト以外で一式揃ってWiiと同価格なら、かなり気持ちが揺れます。ただ、コアシステムはHDDが別だったりして、そのHDDも高いのではちょっと…となってしまうんです。
partygame ： まあ、やはり通常版を買うことをお勧めしますね。
フォックスさん ： 私もXbox360を買うなら通常版が無難だと思っていますね。ただ、まだ通常版の価格が3万円台ですからね。Wiiと同価格帯になれば検討するところまで降りてくるんですけど。入っているものを考えますとギリギリのところなのは分かるんですが…、PS3もそうだったように、中身がコストがかかっていても、多くの人は「高い」と思ってしまう。
partygame ： 確かにそうですが、それを言い続けていくとキリがない気もしますけどね。それこそWiiを高いと感じる人もたくさんいるわけですから。
フォックスさん ： そう考えると、価格というのは重要なファクターの一つで、良くも悪くもイメージを決めてしまいますよね。PS3も、599USD！（＝ドル）と平井氏が発表した瞬間、多くの人が高いと感じてしまった悪影響を今も引きずっていますし。
●今だからこそ大事で危険な「広告展開（アピール）」
フォックスさん ： Wiiは、実は最初「高い」と思ったんですよ。
partygame ： ほう。それは何故ですか？
フォックスさん ： 他にもD端子ケーブルやクラシックコントローラを買えば、結局3万円になってしまうからですね。
partygame ： まあ確かにそうですね。考えようによっては、Xbox360のソフト同梱パックのほうが安く付くかもしれないですし。
では、Wiiを「高い」と感じなくなった理由は何でしょう？
フォックスさん ： 後々、その価格に準じたサービスが揃い始めたところからですね。バーチャルコンソールでプレイしたいソフトが出始めたのも大きいです。DSから始まった、任天堂のメディア戦略によるアピールが奏功していますよね。
partygame ： なるほど。まあバーチャルコンソールにしてもその他のサービスにしても、Wiiではしっかり「見える部分」でアピールできていたことが大きかったかもしれませんね。PS3とかはどうしてもスペックを押し出すことになるので、CPUがどうたらこうたら言われたところで、そんな理解しにくいところを押し出されても魅力を感じませんしね。
フォックスさん ： それらは、ゲームユーザーの話のネタにしかならない。多くの人は、このゲーム機にどんな楽しさがあるのかを知りたいということが、DSやWiiのヒットによって分かりましたしね。
partygame ： 任天堂はとにかく今はゲーム人口拡大をメインに掲げているので、ゆえにそういう戦略が大事だということが分かっていたんだと思います。そしてそれは、ネットワークサービスにおいてもそうだと思うんです。
フォックスさん ： ネットワークサービスにおいても、それでどんな楽しさが味わえるかが実感できないと、なかなか難しいですよね。
partygame ： そういう意味では、Wiiチャンネルなんかは、その楽しさが理解しやすいからこその人気なのかもしれませんね。
フォックスさん ： ニュースや天気がすぐ分かる…というだけでも、かなり大きいですしね。その点では「スーパーマリオギャラクシー」も、初心者でも楽しさを味わえることをもっとアピールできていたら、ここまでの苦戦はなかったかもしれませんね。
partygame ： 確かに…どうしてもＣＭなどを見ている人には「難しそう」「酔いそう」というイメージが先に強く表れて、それで購入意欲を大きく下げてしまっている可能性がありますね。
フォックスさん ：あのCMを見た瞬間、私は任天堂はやっちゃったな…と思いました。
partygame ： victorさんとの対談でもＣＭの話題が出てきましたが、ＣＭで本来伝えるべきことは何なのか？というのを、任天堂も少し忘れている気がします。「ゲーム人口拡大」に意識をとられるあまりに。
フォックスさん ： それは一理あると思いますね。あのCMは、どう初心者でも熟練者でも楽しめるのかということを、ほぼ全く使えていなかった。それにあのCMはゲームキューブで最も苦しんでいた時の、あのテイストそのままのように感じましたね。
partygame ： なるほど。
フォックスさん ： ゲーム人口拡大としての「Wii Fit」などのCMは上手いものの、マリオなどのCMでは未だに昔のところから変わりきれていない感じがするんですね。
partygame ： ゲームの魅力を正しく伝えないことには売り上げ云々以前に興味も示してもらえなくなるので、やっぱり広告というのは今だからこそ大事だと思いますね。
フォックスさん ： CMでマリオのゲーム画面を頻繁に流しても、それはゲームをプレイすれば皆さんが見られる。よってCMで伝えるべきは、やはり先ほど出たような初心者でも楽しめるポイントや、本質ということなのではと思います。
partygame ： 最近多い、ただゲーム画面を垂れ流しているプロモーションムービーなんかもそうですね。
フォックスさん ： そういったCMを見るたびに「それはゲームをやれば見られることじゃないの？」と思ったりしますね。そういう意味では、あのマリオのCMも、ムービーを流すだけのCMとベクトルとしては変わらないような感じがします。
●「Wiiウェア」は『サードメーカー殺し』
フォックスさん ： ネットワークサービスによって、中小メーカーでもアピールできるという考えもあるようですが、私は逆に今より厳しくなると思いますね。現に、バーチャルコンソールも任天堂タイトルが上位を占めていますし。
partygame ： 「Wiiウェア」がようやくサービス開始に向けて動き始めましたが、あれも結局アピールできるのはゲーム情報を進んで調べるであろうゲーマーがほとんどで、いわゆる「ゲーム人口の拡大」にはつながりにくいと思いますね。
フォックスさん ： 私はWiiウェアは、過激ですが『サードメーカー殺し』だと見ていますね。
partygame ： こ、殺しちゃいますか（笑）
フォックスさん ： 中小でも気軽に参入できると踏んで、実はより大手との格差を生んで厳しくなるんじゃと思っています。理由は、以前partygameさんが挙げておられた「小さな王様と約束の国・FFCC」が低価格だという点ですね。
partygame ： 確かに配信型ソフトになっても、全体的な規模は変わりますがそういった格差だとか、価格帯による現実というのは変わりありませんからね…。
フォックスさん ： 結局「質の高いソフト」を「的確にアピール（宣伝）」しなければ売れないですからね。かといって、逆に低価格帯の勝負になれば、より大手が有利になりますしね。ですので、Wiiウェアを知った時、「任天堂はこういったところは狡猾だなぁ」と変な意味で感心したりしました（笑）
partygame ： そう考えると…日本においてのゲーム機でのネットワークというのは、現時点では特に巨大なメリットを生むことは難しいのかもしれませんね。むしろデメリットのほうが多いのかもしれません。
フォックスさん ： 小売店などのこともありますので、今後もパッケージ販売が主流なのは変わらないでしょうね。現に、私が昔バイトしていた地元の某ショップが最近つぶれましたし（笑）
partygame ： それはそれは…。
フォックスさん ： でも、そこでの経験は今結構活きていますね。特に今の任天堂に対して、小売店から相当嫌われている側面があることを実を持って知り得たのは、とても大きかったですね。
partygame ： このテーマに対しての全体的な結論としてはどうでしょう？
フォックスさん ： そうですね。やはりネットワーク関連はまだ黎明期（れいめいき＝新しい時代が起ころうとしている時期）な位置にあるのではと思うので、これからどうなっていくかはまだまだ明確には見えてこないでしょうね。それだけに、スマブラXでWi-Fiプレイ人口が増えることは１つの転換点になるのではと思っています。Wiiにとってもネットワークにおいても、今度のスマブラXはかなり大きな意味を持ってきそうですね。
partygame ： そこに期待したいですね。
vol.3-2「任天堂の風頼みの現状」に続きます
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