作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

歴史・エッセイ・小説・時事ニュース・・・なんでもござれのブログです。どうぞよろしく。

【 不毛地帯(14) 】

2010-03-12 11:23:07 | 02 華麗な生活

石油公団に明らかな差別を受けつつ、
イランの鉱区で油兆なく心労を重ねる壱岐。
大門社長は綿花の売り時をミスして膨大な
投機損失を抱え込み、冷静さを失っている。

こんな会社に籍をおくものは、皆が暗い気持ちで
業務に励むことになるが、こんな重苦しいドラマは
疲れてしまう。

そんな思いで見たのだが、始まってすぐ【最終回】
のテロップが現れ、驚くやら安堵するやら、
脚本家も失敗と悟って終結を急いだのであろう。

話の筋なら、公式ブログに出るだろう。

商社マン経験者としての見方を述べる。
「キミにすべてを任せる」。
なんと格好よいセリフだろう。
だが、そんな言葉で一切の責任を押しつけられる
部下の思いを、どうしてくれる。
一見格好良いが、ただそれだけ。

あの場面では下の句が必要である。
「たとえ最悪の事態が生じても、キミは果敢に挑戦した。
キミを決して敗戦投手にはしない。
今回の勇気ある挑戦は必ず将来への試金石として
立派な果実を得る」
ぐらいは、言ってやるべきである。

話は暗く重苦しくなって、いっきに結末を迎える形に。
そうとなれば、筋は読める。突如石油が出る。バンザイ。
壱岐は一挙英雄に。だが壱岐はその高い評価を社長に
譲る。驚く大門社長。
サラリーマン上がりの社長が16年も一つの会社に
君臨するのは異例である。

これを機に勇退を迫る壱岐は、自らも辞表提出。
これからの会社は組織で動くのだと。

そうはいかない。組織なんかで会社は動かない。
それが人間集団の有機体であり、会社の実相である。

会社には総司令官が必須である。
あれからドラマの中の商社はどうなるか。

それにつけ、鮫島は最後まで嫌な男を演じ続けさせられた。
遠藤という俳優に同情した。現実にあんな男は商社に
限らずすべての実業界にいない。


                 パパゲーノ

ブログランキング・にほんブログ村へ  Banner_04_3 ←クリックお願いします。


                      「華麗な生活」目次へ≫ 

                                   総目次≫