【 絶妙の天麩羅「新太呂」】

「与太呂」には高麗橋の本店の他に、「堂島本店」
を名乗る店もあり、今ではこちらの方が有名かも
知れません。

戦前に「堂島本店」の方で修行を積んだ、小豆島
出身の職人さんが、戦後自力で開いたのが「新太呂」。

与太呂で修行したから、新の字をつけたそうで、
『鯛めし』こそ出ないが、天麩羅のメニューは与太呂
の両店とほぼ同じ。

ボクの舌は、『新太呂』に最高点をつけます。
つまり東京の名店の数々、大阪の名代の店の数々を
凌いで、『新太呂』こそが最高の天麩羅店と思う次第。

カウンターだけで、十二名ぐらいで満席になるが、
場所柄弁護士さんが多く来店し、正午過ぎあたりは
なかなか席が取れない。

ここで出す、海老のすり身を挟んで上げたサンドイッチ
は、実はボクのオフクロの味で、多分女学生時代に
どちらかの与太呂に祖父に連れられた亡き母が、この
美味さに感動し、缶詰の鮭の身をほぐし食パンに挟み
揚げた一品は、忘れられない幼少時代のボクの思い出の味。

場所は御堂筋を少し東に入る。目の前に堂島川が流れ
ている。大阪市役所から歩いて５分と申し上げておきましょう。

追記です。

２０年ぐらい前のことだけど、女優の吉沢京子と席を
並べて天麩羅料理を食べているところを、大阪朝日放送
でＴＶ放映されたことがあります。新地のママやチーママが、
ヒルは結構このテレビ番組を見ていたようで、
「ご飯のお代わりしてた」なんていわれました。



　　　

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【 藤岡琢也を悼む 】

慢性腎不全だったと報じられた。

同病だったんです。

この人のTVデビューを知っています。

当時の人気番組の筆頭ともいえた、

NHKの連続ドラマ「事件記者」。

まだ収録じゃなく全部ナマ放送の時代。

いくつかの新聞社が特ダネ争いをする物語。

一人の記者（役者）が、その日のドラマの終わりしな、

「あばよ」と顔を大写しにして手を振って去った。

カレはその夜自殺した。

TVを通して誰かに、大勢だったか一人だったか、

別れを告げたのだった。

その役柄を埋めるため、脚本家は一人の記者を

大阪から転勤させた。

そうして登場したのがヒゲを生やした藤岡琢也。

「渡る世間は鬼ばかり」という橋田寿賀子の作品に

娘５人の父親で、自宅を料亭にした男を演じていた。

心なしか終わりごろ生気がなくなり、番組を降りた。

透析してたんですね、貴方も。ご冥福を祈ります。


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