ひとりごと

30台後半が勉強したことを、とりとめなく、さらしていきます。

薬剤師と分業

2010-03-30 | 日記
昨日の続き。

院外処方の利点は、処方の公開という面であるというのが前回。
それから、採用薬の面だ。
病院にそろえている薬には限りがある。
ジェネリックなんてそろえられるわけねーだろ。
日本のジェネリック医薬品が伸びなかった最大の原因は、本来は、病院側が管理できない、院外の処方に対しても、自己の病院の採用薬と同じ医薬品を使うことを半強制的に行うことだ。
わざわざ、先発不可に全部、チェックしてる病院とかあるんだぜ?
あほか。
「管理したい病」なんだろうな。
まぁ、これをやってるのは、病院の医師ではなく、病院の管理者や薬剤部だったりするんだけど。

まぁ、本来なら、薬の投薬やら、管理やら、押しつけることができるのに、なぜ押し付けないかと言ったら、結局、うさんくせー理由があるってことだよ。

それから某コメントをみると、
薬剤師が、医師のお目付役や、ミスチェックが意義となると、その薬剤師の不正やミスは誰がチェックするのか。
薬剤師は、権利を主張するなら責任をもっととるべき
というコメントがあった。

後者はすでに、責任とらせられている例もあるから反論する必要はない。
薬剤師は、既に「医者のミス」を見逃せば、相応の責任をとる立場にある。

前者については、それは単なるレトリックである。
一職業人の倫理性や能力性に頼る場合と、それが権限分配された場合とでは意味が違う。
さらにいうならば、不正チェックの最大の方法は、情報公開である。自分がどんなサービスや物品を受けて、いくら払うかという最大のチェック者は患者であろう。
よって、患者に、カルテ・レセプト・処方箋を公開することが、最大の不正チェックだ。ミスに関しては、薬剤師は原則として調剤者と監査・投与者は変える。
医者は、ひとりの医者が出した処方箋を誰かがチェックするのかい?
適切な目付役というのは必要なんだ。
別の医師がチェックするほうがより確実だというなら、それはそうだけど、できれば違う職業の人がよい。

話がずれた。
今回の話を、MOT的に話すための前振りの話だったんだが、単なるレトリック勝負をしても意味がない。
本質的に話すためには、そもそも職業・分業という話をしなければならない。

そも、分業とは何か。
何のためにするのか。

分業の最大のメリットは、働く人の仕事が楽になることである。
当たり前だ。
医薬分業に反対する人は、医者が調剤することに賛成なの?
ただでさえ忙しい医者が、調剤するんだ?
仮に、誰か・看護士にでも調剤作業してもらうんだったら、それはその瞬間に立派に「薬剤師」(免許がなくても)である。
土日に、薬剤師がいなくてもなんとかなったからいらないっていうけど、じゃあ平日も看護士がやってくれるのかね?
結局、別の職業人が必要じゃないか。
そして、結局、人を張り付けるってことは、「報酬」が発生する。

分業の最大のメリットは、人材の確保である。
例えば、ある仕事の能力がA能力50、B能力50が必要としよう。
A能力、B能力ともに50を超える人材は、50%であり、探したり、育成するのはそれなりに苦労がある。
ところが、その職業の仕事を分割したとしたら、
分割甲 A能力50 B能力20 存在確率80%
分割乙 A能力20 B能力50 存在確率80%
ということで、人材を確保したい組織、就労したい人材ともメリットがあるわけである。
もうひとつ、付け加えれば、「比較優位」の話もある。
ひょっとしたら、医師は、薬剤師よりもうまく調剤・投薬ができるかもしれないね?だけど、医師が調剤・投薬したら、医療行為に回すべき時間は減るんじゃないの?まぁ、結論はおんなじなんだけど、医師不足の中、医師しかできない仕事をほったらかして、調剤したいかい?
医療行為ができる医師、看護行為ができる看護士を、調剤にまわすメリットはそんなにない。医師は医療に、看護師は看護に専念することに何か問題があるかね?
看護士も足りないんじゃなかったかな?

あとは教育という面である。
簡単に言えば、複数の能力を習熟させるのと、ひとつの能力を習熟させるのは、単純なる掛け算よりも難しい。

すなわち、どういう形にせよ、メディカル(医師)とコ・メディカル(医療人)の協力というのは、当たり前の話である。
現在が適切な協力関係ができていないからという理由で、じゃあそいつらはいらねーよ、というのは、その職業がなくなったらどうなるかという想像がつかないやつらだ。
正しい方向は、良い医療を、人材・コスト的に効率よく行うには、どうしたらいいのか?という視点である。
今回は、よりよい薬剤師システムの話は別ね。

現在、少なくとも医師は足りてないんだから、医師を補助するコ・メディカルの増強と質の強化は図られるべきだろう。

まぁ、あれだ、弁護士が急激に増えたら、行政書士が厳しくなった、歯科医師が増えたら歯科技工士が…のとおんなじように、医師・看護士が足りなくなったら薬剤師はいらねーって話にはなるんじゃねーの(笑)

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