テレスコ・ステレンキョウ

 

テレスコ・ステレンキョウ

　・・という噺（落語）がある。先代の金馬がよく演った。

 

　　　　　　　　　　　　　　（写真：先代・金馬）

 

　粗筋は……

　名前の分からない魚が釣れた。奉行所がその名前を知っている者には賞金を出すと言って魚拓にして張り紙を出し公募したところ、ある男が名乗り出て「テレスコ」だと言った。誰も知らないのだから、どんな名前でも良いわけだ。「アジャラモクレン」でも「キョロンケツ」でも「スッパラベッチョ」でも、何でもイイわけだ。この男、相当頭がよい。

... 　疑った役人は、その魚を干して再度名前を募集したところ、件の男がまた名乗り出て、今度はその魚を「ステレンキョウ」だと言った。

　「あなここな偽り者め！」ってんで捕まっちゃった。牢へ入れられ、処刑されるときに乳飲み子を抱いた女房に面会を赦され、遺言をするのを許可された。
　その男は女房に向かって「この乳飲み子が成長した後にも、烏賊の干したのを“するめ”とは決して言わすな」と言った。

　その機知で赦されたというお噺。

　●○●●○●●○●●○●●○●●○●●○●●○●●○●●○●●○●●○●

　JR松江駅の近くに『てれすこ』という小割烹がある。数年前に一度訪ねた。ここの大将が、若き日に新宿・末広亭で、先代金馬を良く聴き、こよなく愛した。そこから付けた名称だと、ご本人から、このとき伺った。病膏肓に入るとは、このことだ。　

 

 

　
面白ブログが盛りだくさん「BLOG! TOWON」