はざまでゆれる

幻/想/楽/団So/undH/orizon、創作中心絵文サイト
BL,MLあり
公式とは一切関係ありません

年越し

2008-12-31 01:28:06 | 小話
「ねぇねぇすこぴーなにしてんのー」
オリオンがからんできた。酒臭い。誰だ未成年に酒を飲ませたのは。
リビングに目をやるとそこは無法地帯だった。ミーシャと父上が呑み比べをする傍らエレウとレオン、それにポリュデウケスが紅白を見ながら女性アイドルの衣裳にケチを付けている。昨夜寝ていないらしいカストルは初日の出に備えてか爆睡…酒瓶を抱えているところを見るとこれは酔い潰れただけなのだろうか。

「ねぇー、すこぴーってばあ」
オリオンの存在を忘れていた。
「年越し蕎麦の支度だ。そろそろ兄上も帰ってくるだろうし、ちょうどいい頃合いだろう」
「蕎麦ー?俺サクラエビのかき揚げがいいなー」
「……自分で買ってきただろう。何を言っている酔っ払いが」
これだから酔っ払いは。
ため息を吐いたところでオリオンが手伝いを申し出た。果てしない不安を抱きながらとりあえずかき揚げをトースターであたためなおさせる。これはしっかりできたようで安心だ。次に台所を見回して、特に無いことに気付き、しばらく放置した、


ら。


ふと気付くと、奴は洗い桶に顔を突っ込んだまま寝ていた。

中国旅行記5

2008-12-28 01:27:03 | 小話
スコピー視点の買い物話


ポリュデウケスと買い物に行った。
中国人ガイドが傍にいない。と言うか、黒い笑顔のミーシャと困惑気味のエレウと一緒に値切っている。いきいきと楽しそうなマシンガントークだ。
困った。
ガイドが言うには、こういった場所のものはすべてがぼったくりである。
つまり、値切っておかなければ損なのだが生憎わたしは中国語など喋れない。
さて、どうしよう。
値段を打ち込まれた電卓とポリュデウケスの顔を交互に見る。
すると奴は行動に出た。

「えくすぺんしぶえくすぺんしぶ」

思いっきり平仮名英語の上、こういったところの店員は英語も分からない。
無意味だろうと思ったその時。

店員が、値下げに応じた。

中国旅行記4-4

2008-12-26 01:25:40 | 小話
朝、今から祖父上のところへ行くというミーシャにエレベータで遭遇した。何やら叔父上と昨日りんごをもらったらしい。まったく、とことん叔父上に甘い人だ。
しかし今ミーシャは笑い転げている。それはなぜか。
エレベータ内の広告が諸悪の根源だろう。
何の変哲もない、ホテルのレストランで出しているらしい上海ガニの広告。サイズが4種類あるらしく、小蟹、中蟹、大蟹と書かれたその下。
そこには、でかでかと書かれていた。

蟹王

かに玉ではない。
蟹王

特大蟹でもなく、蟹王

蟹王、だとぉ……!!

私が愕然としている間に、エレベータは目的の階に着いた。ミーシャは未だ床で痙攣している。
しょうがない。
ため息を一つついてから、私は放置された皿を手にとってエレベータを降りた。


ぴんぽーん
チャイムを鳴らす。昨日オリオンがエレウを引きずりながら尋ねてきたときも思ったのだが、この何やらドアホンのような音のセレクトはいかがなものだろう。まあ分かりやすいといったら分かりやすいのだが。

ぴんぽーん
ミーシャは笑い終えたろうか。放置した私が言うのもなんだが、一般客に見られたら黄色い救急車を呼ばれそうだ。

ぴんぽーん
それにしてもこのホテルは静かだ。そういえば昨日だったかマリッサの異様な高笑いが響いてきた。壁が薄いわけではないのだろうがどういう訳だろう。今も目の前のドアからはシャワーのような水音が響いて………

ん……?
シャワーのような水音……?

あわててドア、正確にはその横のシャワールームの辺りに耳を近付ける。
間違いない。シャワー音だ。
まさか、
まさかまさか、

朝シャン………!?

注意深く耳を澄ましながらチャイムを鳴らす。
水音が弱まった。気付いたか?
このすきに、ともう一度チャイムを押した。
ぴんぽーん

……

水音が、強まった。このやろう。
念のためもう一度押してみる。
変化はまったく無く、鼻歌が聞こえてきただけだった。

中国旅行記4-3

2008-12-21 01:22:17 | 小話
「マイスィートスゥよ!よくきた…な…?なんだ、アルテミシアではないか」
チャイムを鳴らして2秒、異様な早さでドアを開け放つとともに父上は叫んだ。ドアの前に立っていたミーシャが目をぱちくりさせている。
「お祖父様、叔父様はあっち」
「ん?おぉスゥよ!さぁ中へ入りたまえ」
招かれて踏み込むと、だいぶ…うん、荷物が散っていた。片付けの途中だったのだろうか。窓辺のテーブルには真っ赤な林檎と、一回り小さい青林檎が乗った皿がある。
「さぁスゥ、これをおまえに。あんまりに美味そうだったから食べるのをやめたのだ。油もので胃も疲れたろう?果物も大切だぞ」
そういって差し出された皿を、小さく微笑みながら受け取った。父の小さな気遣いが嬉しい。



林檎を受け取った私たちは、叔父様の部屋へと戻った。二人で分けることにしたのでスプーンの必要もない。私がいれたミルクティーを一口飲んで叔父様はナイフに手を伸ばした。
さく
さく
青林檎を8つに割って、さりさりと皮を剥く。何となく、嫌な予感が。

すべっ
とす

青林檎が、宙を舞った。
手が滑ったのだろう。剥いたそのままの姿勢で叔父様は硬直していた。
「……私がやるわ。林檎を洗ってきてもらえるかしら?」
「う……むぅ」
唸りながら洗面所に消える叔父様を横目に私はさりさりと皮を剥き始め、そこで気付いた。これはステーキナイフだ。先に歯が集中しているので腹では剥きにくかったに違いない。普段林檎の皮をよく剥く私ですら、断面ががたがたになってしまった。
とりあえず、戻ってきた叔父様に剥けた分を食べさせる。両手を添えてしゃりしゃりとかじっていく叔父様を見ているのは癒しだ。兄様なら鼻血を噴くに違いない。
二人で林檎をかじり、皿を濯ぐ。もう遅いので皿を返しに行くのは明日の朝でいいだろう。朝食前ならお祖父様も起きているはず。
そう結論づけ、私たちは寝ることにした。

中国旅行記4-2

2008-12-18 01:21:24 | 小話
数コールで電話に出たお祖父様は、私が叔父様の部屋にいることを羨ましがってから対応を指示し、それから突然叔父様は林檎を食べるかと聞いた。訳が分からないので受話器ごと丸投げしてみる。
二言三言返事をして電話を切った叔父様によるとどうやらお祖父様の部屋にはホテルからのサービスで林檎があるのだが、彼は愛しい息子に食べさせたいらしい。まったくもって只の親馬鹿だ。叔父様が可愛くて仕方がない件については同意するけれど。

中国旅行記4-1

2008-12-17 01:20:12 | 小話
コンコン
荷物の整理をしていたら、ノックが鳴った。スコープから姪の姿を認め、チェーンを解除する。
「叔父様!お茶しましょ!」
いつもながらテンションが高い。もう夜も遅いというのに元気だ。というかなぜノック。たしか前日宿泊したホテル同様チャイムがついていたはずだが。
そのことを伝えると盛大に驚かれた。どの部屋に行くときもノックですませたため、チャイムの存在に気付いていなかったらしい。ホテルのくせに呼び鈴がついてるなんて邪道よとか呟いていたのは聞かなかったことにしよう、其の方が平和だ。


私は勝手知ったる他人の部屋とでも言うように叔父様の部屋でお茶の準備をする。叔父様の自室ほど知っているわけではないけれど、私とμちゃん、ψちゃんの部屋はこの真上だ。配置が同じなんだから迷うはずもない。
そこで、あることに気付いた。
「あら、叔父様。スプーンが無いわ」
私は雑炊が食べたかったのに。
明日の帰国に備えて片付けをしていた叔父様が顔を上げた。
「そこの引き出しに入っていないのか?」
「えぇ、マドラーしかないの」
どうしようか。こういう場合はフロントに電話すべきなのだろうが、いくら英語の通じるホテルだからといって自分の英語力には自信が無い。
「担任に内線で聞けばいいんじゃないか?」
「それが私さっきオリオンの部屋番号、エイレーネ先生に聞いちゃったのよね」
なんとなく掛けづらいじゃない。
「そういうものか?」
「そういうものよ」
小さくため息を吐いて、受話器を上げた。こんな時は副担任を活用すべし。

中国旅行記3

2008-12-16 01:19:18 | 小話
ミ「あら、お菓子屋さんだわ」
エ「気になるなら寄っていこう?」
ミ「えぇ、そうね」

店内にて

ミ「量り売りって楽しいわよね」エ「甘栗むい○ゃいましたとかあるぞ(笑」
オ「あれ、スコピー何見てんの?」
ス「あれは、【ソ】なのか?」
「「「え?」」」
ス「【ン】ではなく、【ソ】…だが下は【ン】……」
ミ「何この・・・【プルーソ】って!?」
エ「その下の段よく見てみろ!」
オ「【甘くておいしいプルーン】?!商品名はプルーソなのに謳い文句はプルーンな!?」
ミ「ソとンは間違えやすいから、仕方ないってことにしてあげましょう?」


ほんとにびっくりしました。オリオンが代弁してくれましたが(笑

中国旅行記2

2008-12-15 01:17:44 | 小話
オ「ご飯おいしかったねー」
エ「オリオン、よそ見してると落ちるぞ」
ミ「警告色の看板あるも…の……ぉおお!?」
エ「ぶぼふぁっっっっ!」
オ「え、何、二人ともどうしたの!?え?」
ミ「ぶっ……オリオン、チキンは滑るのよ…ぷくくっ…」
オ「へ?何?え?……小心、地滑…?…ぶふぁあっ」
一同爆笑

中国豆知識
小心者は、滑りやすいらしい(嘘)

ちなみにその日ホテルの湯沸かしポットに「小心湯気」、新幹線の駅に「小心段階」の文字を見付け、小心とは注意的な意味だと理解。しかしトイレ、ホールなどさまざまな場所に小心地滑の文字を見つけるたびに噴いたことは言うまでもない。

中国旅行記1

2008-12-14 01:14:45 | 小話

※中国では、トイレットペーパーを流すと詰まるので、便器横に設置してあるバケツに捨てます。ホテルは大丈夫です。ていうかホテルとかレストランくらいにしかトイレットペーパー置いてありません

オリオンが、トイレの前で『挙動不審になる』っていた
ミーシャ「どうしたのオリオン?」
オリオン「あ、ミーシャちゃんどうしよう!トイレに紙流しちゃった!」
ミーシャ「ちょwwwなにやってるの!どうなった?」
オリオン「ちょっとまって見てくる」
数十秒後
オリオン「なんかね!水の中で紙がふよふよしてる!」
ミーシャ「ふよふよって・・・、とりあえず詰まっては無いのね?」
エレウ「トイレ空いてるか?」
オリオン「あ、エレウ!えっとね、なんか便器の中で紙がふよふよしてるのが気にならなかったらどうぞ!」
エレウ「………は?」
ミーシャ「トイレに紙流しちゃったんですって」
エレウ「おまえは馬鹿か」
オリオン「…えへ」
そしてトイレから出てきたエレウの、満面の笑みでの言葉は、今でも忘れられません

「ふよふよ流れたゾ☆」