名脇役として舞台、映画、ドラマで活躍した俳優の金田龍之介(かねだ・りゅうのすけ)さんが31日午前2時13分、慢性腎不全のため入院先の埼玉県内の病院で亡くなった。80歳だった。近年は糖尿病を患っており、3月26日に足のけがで入院。30日に容体が急変したという。突然の訃報(ふほう)に、舞台で共演した歌舞伎俳優の市川右近(45)、女優の麻実れい(59)も別れを惜しんだ。
個性派としてさまざまなジャンルで作品を支え続けた名優が天国に旅立った。
ここ数年は糖尿病を患っていたものの、昨年まで元気に活躍していた金田さん。所属事務所によると、深爪した足から雑菌が入り、歩けない状態になったため3月26日に入院。当初は長い療養にならない見込みで、今後の仕事も入っていたが、30日深夜になって容体が急変。家族も最期をみとれなかったほどの急なお別れだったという。
独特の大きな目と恰幅(かっぷく)のよい体格で、すごみのある悪役から人情味のある善人まで幅広い役を演じてきた。昨年8月に上演された市川猿之助一門の若手で構成される「二十一世紀歌舞伎組」の「新・水滸伝」が最後の舞台となった。一門とはスーパー歌舞伎「新・三国志」シリーズや「ヤマトタケル」でも共演。
市川右近は「あまりにも突然なことなので…本当に残念」と驚いた様子。「スーパー歌舞伎の舞台でもどっしりされていて演技に貫禄とコクがありました。たくさんのことを勉強させていただいた」と思い出を語りながら「私の中ではいつまでもお元気なまま生き続けてくださっていると思います」と別れを惜しんだ。
また、01年から度々再演され、高い評価を得た二人芝居「サラ」で共演した麻実れいも「びっくりしています。またやりたいね、って話していましたから」と涙声。「大きな大きな経験から、いろんな引き出しにたくさんのものが詰まっている方。何よりお人柄がよくて、どんな球を投げてもキャッチしてくれる。彼がいたから心配なくできたんです」と感謝の言葉を贈った。
◆金田 龍之介(かねだ・りゅうのすけ)1928年6月15日、東京都生まれ。33年、5歳のとき大阪天満八千代座で初舞台。関西で新劇活動を続け、56年に劇団新派に入団。68年「悪名十八番」で映画デビュー。舞台、映画、ドラマなどで活躍した。69年にNHK「極楽夫婦」で放送作家協会賞を受賞。83年、芸術座「滝沢家の女たち」で菊田一夫演劇賞。近作はドラマ「東京タワー」「喰いタン」、映画「交渉人 真下正義」、舞台「黒革の手帖」など。
写真は都工剣友会、2006年7月22日総会での金田先輩です。 合掌