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蹴ログ

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地上波デジタルとインターネットとの融合は別議論

2005-03-19 01:16:43 | 蹴ログ
ちょっと高いけど、こんな本だって既にちゃんとある。 通信・放送統合ビジネスというのは、言うまでもなく、みながどういうスキームで、どのようにしかけるか、考えていたところではある。それが、フジテレビやニッポン放送の代表が、ライブドアの考えに別に新しいことなんてないという背景にある。

詳説 通信・放送統合ビジネスの新潮流

日経BP社

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NTTに対するyahoo(というより孫正義)の挑戦のように、既存勢力が何か新しいことをやりだそうとするよりも、その既存勢力を突き崩して新たなマーケットを開拓しようとする新興勢力のほうが、その意志、スピードに勝る。

まして、今でもテレビ業界はほぼ安定した経常利益を確保する優良な業界であるから、改革の動きが鈍るのはなおさらだ。

ここで、次世代の放送を語るキーワードとして注目されている、2006年から始まる地上波デジタル放送を取り上げる。

[教えて!goo] 地上波デジタル放送についてのQ&Aにもあるが、地上波デジタル自体はこれまでの放送技術の枠組みを崩すほどのインパクトはない。ただ、デジタルの強みである多重、圧縮といった技術を用いることで、より大容量、高精細な映像を送ることができるようになる。

また[教えて!goo] 多チャンネル放送の最大チャンネルとは?にも説明があるが、「1セグ放送」のように、地上デジタル放送のチャンネルの放送帯域を13分割して、そのうちの1セグメントを使ってサービスを行うことも可能になる。帯域を分けることで当然画質は落ちるのだけど、この1セグ放送が、画面が小さく高画質な映像は必ずしも必要のない携帯電話に搭載され、デジタル放送が普及するのではないか期待されている。既に携帯端末にはネットワークへの接続機能がある。放送と通信の融合がもっとも実現しやすいのが、携帯電話端末だという期待だ。(既に携帯電話会社が、TV受信機能を搭載した端末を商用化しているが、あくまであの端末は、既存のテレビを携帯に載せただけ)

ただ、この地上波デジタル対応への投資が、放送業界にとって大きな重荷になっている。
地方のテレビ局では、社屋を移転したり、社屋をキー局に売ったりして、何とかデジタル化の資金を稼いでいるところもあるほど。

一連のライブドアによるニッポン放送株の買収劇の発端となったきっかけは、上場での株の公開であり、この地上波デジタル対応への投資資金の調達が一つの目的であったというのは、なんとも皮肉な話だ。

しかし、「詳説 通信・放送統合ビジネスの新潮流」に記述があるが、計画では2011年7月24日に地上アナログ放送の停波が予定されている。つまり5年間でデジタル放送への移行が完了する計算だ。しかし数字だけで言うと、現状日本にあるテレビは1億2000万台。これまでの家庭のテレビ平均保有年数は8.8年。年間出荷台数は過去10年間、1年9000万台~1000万台で推移しているとのことで、このデータからあくまで単純に計算すると、全てのテレビがデジタル化するには13年かかるとある。
ここに、新たなメディア端末としての携帯電話への1セグ放送が期待される所以がある。

民放キー局の収入源の90%は広告の出稿料といわれる。インターネットにより、「リーチ」(閲覧数)が広告の効果を図る一つの指標として注目されているが、現状の広告の出稿料は媒体の普及率と視聴時間によって決まるというルールを適用すると、地上波デジタル対応端末がいかに広まるかということは、順調だった放送業界が直面する大きな勝負だといえるだろう。

よく混同されるのだけど、この「地上波デジタル」=「双方向なインターネット」との融合ではない。「地上波デジタル」はあくまで、下りだけの一方的なメディアである。

この地上波デジタルに便乗して、いかに端末、インターネット、既存メディアを融合させながら、広告収入に代わる新たな収益源を生み出していくかが、ライブドアの強烈な問題提起に対し、放送業界が本来直面しなければならない課題である。既存メディアにはコンテンツとリーチがある。ライブドアにはインターネットのノウハウがある。けどまだ端末がどう動くかは分からない。その意味では端末がどう動くのかというのも興味深い。

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