住宅の窓

2007-05-22 11:51:11 | アート・デザイン・建築

070522

最近、ガラス張りの外観を持つ建物が増えてきました。ショーウィンドーが必要な店舗はもちろんのこと、住宅でもなるべく窓を多く、明るく、という傾向がどんどん高まってきているように思います。デザイン的な流行でもあるのでしょう。

ですが、あまりに全部が見通せてしまったり、すべての部分が明るすぎると、せっかくの空間の情緒が消え失せてしまうように僕は思います。特に住宅においては、しっかりとした壁があるから、その中に穿たれた窓ガラスが美しいのでしょうし、ほの暗い翳りがあるから、光が美しく栄えるのだと思います。

僕が設計する住宅は、外観は壁が多くて窓が少ない印象がある、と言われることがあります。一方で室内に入ると、思いのほか明るいことに驚かれることもあります。実際には、生活の所作と居心地を考えたうえで、必要な場所に窓を明けるようにしています。

明るいところと、ほの暗いところ。

そのふたつのバランスをいつも意識するようにしています。窓のデザインを考えるときは、なるべく原寸大の図面を描くようにしています。どのような光がはいってくるのか、どのような影が落ちるのか、風は、温度は。そんなことを考えながら、窓の在り方を探っていきます。そうしてできあがった窓辺の空間には、得も言われない居心地の良さと美しさが宿るように思います。

写真は、現在設計をしている住宅の、メインの窓の手描きの原寸図。コンピュータで作図することが常となった今でも、窓廻りだけは、昔ながらの大きな製図版に向かい鉛筆を動かさないと、リアルなものはイメージできないと思っています。

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