日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
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◎英一と健吾のゲーム、カメラ話(グラディウスⅤ&PENーFT編)

2017年02月04日 | ◎これまでの「OM君」
 理系の大学に通う英一と健吾は今日も実習という名の実験と取り組んでいた。
この二人は客観的に見ても実験というものに向かない二人だった。
化学実験は簡単に言うと料理のようなもので、下ごしらえをし、数ステップの段階を経て最終物質に持って行く行為だ。
当然、実習前には教授からの説明もあり、多くの学生は理解して実験にのぞんでいる。
出来の悪い二人はいつも理解していない状態で実験にのぞむ。
そして人に聞きまくり何とか及第点をいただいて単位を取得するのだった。

本日の実験は「滴定」
例えばA液とB液があったとき、A液を落としていくとある瞬間でB液の色(赤紫色)が一瞬で消える。
A液の投入量を書き留める。
書き留めたA液の投入量を換算式に入れて計算する。
この実験の興味深いところは色の消え方。
色が消失する、消失しないの境目は液1滴もしくは半滴。
魔法の様に色が消える。
この現象がおもしろいと思えるか、思えないかで実験に向いている向いていないが決まると言ってもよい。
とにかく多くの学生がまじめに取り組む中、この二人が画策するのはやはり「人に聞くこと」
A液の投入量をあらかじめ聞く。
そしてあたりをつけてから、適当にどんどんA液を投入する。
そうすると、色の消失を確認しながら一滴一滴液を投入するという醍醐味を味わうことなく、消失点を大きく過ぎた後、「あっ…、消えた」「うん、消えた」
二人は顔を見合わせて、先ほど人に聞いたA液の消費量を書き込む。
本日の実験終了。


二人は実験器具を洗いながら世間話を始めた。
「なあ、英一、ゲームは最近どうなの」
「うん、今やってるのはダウンロードでゲットしたPS2用ソフト「グラディウス5」難易度設定もあるし、やられてもその場で復活してくれるから、難しくてぜんぜん遊べないというわけでもないんだ。うれしいことにオプションがサラマンダ方式なの。
自機がやられた後、その場で少し残留してくれるの。画面から流れて消えてしまう前に拾えば、またオプションとしてくっついてくれるの」
英一は握っているガラス製の冷却管を見て、このぐるぐるはどうやって作るのだろうと思いながら答えた。
「で、健吾のカメラはどうなの」
「うん、前言ってただろう、お金を貯めてからしか買わないって」
「うん」
「今から思うと、カメラの本を読んだのがいけなかったんだな」
「と言うと?」
「次から次にゲットしたくなるカメラが目白押し状態になって、ネットをさまよってしまったんだ。そうしたら、もうこの色でこの価格のものは出ないだろうっていうのを見つけてしまったんだ。標準レンズ付きの黒のPENーFT。思わずポチッとね、買っちゃったんだ」
「だめだね~」
「そうなんだよね。ハーフサイズカメラっていうんだけど、フィルムの使う量が半分なの。だから24枚撮りのフィルムなら、倍の48枚撮影できるの。結果的にプリント時、1枚1枚は引き延ばされる事になるの。
機械的にはセルフタイマーが調子悪い。
これは使わない仕様でいきます。まあ、このPENーFTはまだ修理を引き受けてくれる業者もあるみたいだから、ゆくゆくは一度オーバーホールに出しても良いのかなとも思ってるんだ。何しろお金がかかりますよ」
その時、カシャーン!
英一の手から冷却管が滑り落ちた。
砕けた冷却管を見て青ざめる二人。
なんて値段の張りそうな実験器具なのだろう。
実験器具を壊すと、その実習チーム全員の割り勘で請求がくるのだった。
ああ、またお金がかかると思った二人だった。
コメント
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