杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・憲法改正を考える~大問題!考える期間のない国民投票法

2013-02-16 22:54:35 | 憲法問題
憲法改正について,安倍首相はこれを進める決意を明らかにしています。
国民もこのことを真剣に考えることが必要です。

そこで、既に成立している、国民投票法について見てみました。
すると、私たちは実は、憲法改正が発議されたときに、その内容について
十分理解できないまま、自由闊達な議論をすることが出来ないまま
投票日を迎えることになりそうなことに気づきました。

信じられないような内容で、


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以下は、総務省が出している国民投票法についての説明です。
http://www.soumu.go.jp/senkyo/kokumin_touhyou/syuchi.html

国民投票制度の概要を紹介します。
■広報・周知等  

【国民投票広報協議会】
 憲法改正の発議があったときは、当該発議に係る憲法改正案の国民に対する広報に関する事務を行うため、国会に、各議院においてその議員の中から選任された同数の委員(各10人)で組織する国民投票広報協議会(以下「協議会」という。)が設けられます。

 協議会は、国民投票公報の原稿の作成、投票所内の投票記載場所等において掲示する憲法改正案の要旨の作成、憲法改正案の広報のための放送及び新聞広告その他憲法改正案の広報に関する事務を行います。
 
【国民投票公報】
 国民投票公報の内容は、以下のとおりです。
1 憲法改正案及びその要旨並びに憲法改正案に係る新旧対照表その他参考となるべき事  項に関する分かりやすい説明
2 憲法改正案に対する賛成意見
3 憲法改正案に対する反対意見

 また、国民投票公報は、投票人名簿に登録された者の属する各世帯に対して、国民投票の期日前10日までに配布されます。(18条)
 
【協議会が行う放送及び新聞広告】
 協議会は、ラジオ放送又はテレビジョン放送、新聞広告により
1 憲法改正案及びその要旨等の広報
2 憲法改正案に対する賛成の政党等及び反対の政党等が行う意見の広告
を行います。

 2については、
(1) 政党等が無料で放送(広告)できること。
(2) 政党等は、(1)の放送のための録音又は録画を一定額については無料で行うことができること。
(3) 賛成の政党等及び反対の政党等の双方に対して同一の時間数及び同等の時間帯(同一の寸法及び回数)を与える等同等の利便を提供しなければならないこと。
(4) 政党等は、放送(広告)の一部を指名する団体に行わせることができること。

が規定されています。

 なお、ここでいう「政党等」については、「一人以上の衆議院議員又は参議院議員が所属する政党その他の政治団体であって両議院の議長が協議して定めるところにより協議会に届け出たものをいう。」とされています。
 
【総務大臣、中央選挙管理会、都道府県及び市区町村の選挙管理委員会】
 総務大臣、中央選挙管理会、都道府県及び市区町村の選挙管理委員会は、国民投票に際し、国民投票の方法、その法律に規定する規制その他国民投票の手続きに関し、必要と認める事項を投票人に周知します。 また、中央選挙管理会は、国民投票の結果を国民に知らせます。


■国民投票運動

【国民投票運動とは】
 国民投票運動とは、「憲法改正案に対し賛成又は反対の投票をし又はしないよう勧誘する行為」と定義されており、国民一人ひとりが萎縮することなく自由に国民投票運動を行い、自由闊達な意見を闘わせることが必要であるとの考えから、原則的に自由であり、規制はあくまでも投票が公正に行われるための必要最小限なものとするとの考えに基づいて定められています。

 このため、投票事務関係者や中央選挙管理会の委員等の国民投票運動の禁止のような主体による運動の制限は設けられていますが、文書図画や自動車、拡声機等の使用といった手段や方法に係る制限の規定はありません。また、選挙運動に係る公職選挙法第129条の規定のような運動期間に関する制限もありません。さらに、国民投票運動は政治活動に包含されるものですが、仮に、選挙と国民投票の実施時期が重なった場合において、公職選挙法の選挙運動期間中における政党その他の政治活動を行う団体の政治活動の規制が国民投票運動に及ばないよう調整するための規定も設けられています。
 
【国民投票運動の規制・罰則】
・投票事務関係者や選挙管理委員会の委員や職員は、在職中、国民投票運動をすることができません。
 ・公務員等及び教育者は、その地位を利用した国民投票運動をすることができません。
・投票期日前14日にあたる日から、投票期日までの間は、国民投票広報協議会が行う広告放送を除き、国民投票運動のためのラジオ・テレビの
広告放送が制限されます。
・組織的に多数の者を対象に、投票に影響を与えるような利益を供与したり、利害関係を利用して誘導することは罰則の対象となります。


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国民が憲法改正の内容について公式に知ることの出来る情報としての【国民投票公報】には

1 憲法改正案及びその要旨並びに憲法改正案に係る新旧対照表その他参考となるべき事  項に関する分かりやすい説明
2 憲法改正案に対する賛成意見
3 憲法改正案に対する反対意見
が書かれているというのですが
これは,なんと
「投票人名簿に登録された者の属する各世帯に対して
 国民投票の期日前10日までに配布」されるということです。

このような重要な内容について、投票期日の10日前までに配布、ということは
それをもとに考えることが出来るのは,たったの10日間ということです。

その内容について、学者や法律家などに意見を聞いたり、説明をうけたりしないと
なかなかその内容を知ることは出来ないのではないかと思います。

ところが、
国民が、自由闊達な意見を闘わせることが必要であるとの考えから、認められた
国民投票運動は、投票期日の14日前から制限されるというのです。

※ (投票日前の国民投票運動のための広告放送の制限)
第105条 何人も、国民投票の期日前十四日に当たる日から国民投票の期日までの間においては、
次条の規定による場合を除くほか、一般放送事業者等の放送設備を使用して、
国民投票運動のための広告放送をし、又はさせることができない。


つまり、広報配布後はこの自由闊達な意見は戦わせることが出来ないのです。
この広報に関しては、民間の様々な意見は実質聞くことが出来ず、
そのときの多数が締める国会が組織した協議会の広報放送しか聞けない、というのです。


これでは、国民は憲法改正の内容を理解して、考えて、選択することは出来ないことになります。
大きな問題ではないでしょうか。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
憲法改正をするためにつくられた法律 (ルビイ)
2013-02-18 23:18:24
国民投票法は、第一次安部内閣の時に憲法改正を主目的に作られた法律です。
したがって、改憲派にとって大変有利にできています。
なんのための改憲か?
主目的は日本を戦争が出来る国、戦争をする国にするために、国民の自由と人権を縛りやすくするために。
返信する
こんにちは (ひとみ)
2013-02-22 21:03:55
突然のご無礼お許し下さい
実は聞きたい事がありまして…
2009/11/02 の記事で脊髄離断術を受けられた方は今でもお元気でしょうか?
もう3年も前の記事ですが…
私の知り合いが、脊髄腫瘍でこの度、離断術を受ける事となりました。
悪性度が高く、生きるためには手術しかないのですが、手術をした方でも、亡くなられたりと、情報がとても少ないです
失礼でなければ、安否だけでも教えて頂けませんでしょうか
元気でいてくれればいいのですが

返信する
難病と闘った友人 (ひとみさん)
2013-02-23 00:36:02
ご質問の友人ですが,昨年の5月になくなりました。
がんばり続けた人でした。

http://blog.goo.ne.jp/okunagairi_2007/e/2f08bf317cb6f4a2c598027b9ca201c9

彼の生存記録はすばらしいものでした。
お知り合いにはぜひ、それを超えることを目標にしていただきたいです。
応援しています!
返信する
Unknown (ひとみ)
2013-02-24 06:34:52
お返事ありがとうございました
とっても残念です…
脊髄から脳への転移を防ぐ為に、脊髄を切ったのに何故…
死因などもきになりますね
この手術をして生きている方も居らっしゃるんでしょうか
私の知り合いは手術をしても、死ぬんなら手術をしても意味がないと言いだしました
難しいですね
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