杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・成年後見選挙権訴訟~国は控訴し「裁判を続行する」と!?

2013-05-17 17:04:43 | 憲法問題

成年被後見人の選挙権剥奪の規定は、法改正によって削除されそうな見通しとなってきました。

ところで、裁判自体は、一審の違憲判決後、国民の「控訴するな」の声を押し切って国は控訴をしましたから、
高等裁判所にかかっている状態です。
ところが、国は昨日控訴の理由を書いた控訴理由書を提出する期限だったのに、
「このような状況」だからと提出留保を伝えてきました。

そして、今日、本来なら国からの書面提出をうけて、高裁での第1回の裁判の進行について話し合う進行協議期日が入っていました。

そこでのやりとりです。

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本日、高裁第1民事部で進行協議期日がありました。
裁判長と石橋裁判官が出席しました。

裁判長:法改正について聞き及んでいるところであるが、状況は。
国:マスコミの限りであるが、本日本案提出、5月中には法律成立、施行が6月末か
7月はじめ、と聞いている。
裁判長:内容は?
国:成年被後見人に対し選挙権が付与されるという内容である。
裁判長:被控訴人としてはどのような進行を考えている?
杉浦:控訴理由書も出てきていないので…
国:控訴理由書については今の時点では見合わせたい。
裁判長:それはそうかもしれないね。
杉浦:混乱を回避するための控訴だったはず。控訴を取り下げられては?
国:考えていない。
佐藤:理由は?
国:それは控訴理由書で明らかにしたい。
杉浦:施行を待って法律関係が明らかになる(つまりその後に控訴理由書を出す)と
いうことか?
国:そのように考えている。
裁判長:(第1回が6月24日になっているので)時期が微妙だね…
国:第1回期日も施行後の方が合理的だと思う。7月中旬が確実かと。
裁判長:期日続行もばかばかしいので、1回の期日で終わらせたいと思う。したがっ
て6月24日の第1回は延期する。
    控訴理由書は施行を待たず、法改正の後には出してください。
国:了解。
関哉:控訴理由書は一審判決に対する実質的反論も含むのか。形式的なものなのか。
国:(黙して答えず。)
裁判長:当日の進行として意見陳述等を行うか。
杉浦:お願いしたい。

裁判長:ちなみに、控訴の取り下げをしないという方針が動揺することは…
国:ないと思う。
裁判長:訴え自体を取り下げるということは?
杉浦:ない。

以上を踏まえ、
第1回期日は7月17日(水)15時~15時30分
東京高等裁判所101号室

国控訴理由書提出期限 6月14日(金)
当方答弁書提出期限  7月5日(金)

になりました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・以上

そもそも控訴は、「選挙混乱回避」といって控訴したわけで、法的な解決ができて
この混乱がなくなったにもかかわらず、控訴を取り下げないのは筋がとらないです。
また、「法律が削除になったら控訴の理由を書いた書面を出す」、というのは
全く意味がわからないです。
裁判所も、この裁判で何度もやるつもりはないから一回で終わりにします、といっているのに
それでも書面を提出する(誰の金で作業してるんだ!!)という。
ふざけた国の対応です。

しかも、その書面、最初は、法が施行(効力が発生する)6月末もしくは7月はじめまで書けないと言っていた。
さすがに裁判官に、法律が成立して公布されれは、あとは1ヶ月たってその効果が発生するだけだから
法律成立すれば書けるでしょう、といわれている。
これは小学生だってわかること。

控訴を取り下げさせるキャンペーンでもしたいもんです。









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