沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

改めて「焼却炉+溶融炉」の悲劇を考える

2015-10-25 08:49:05 | 溶融炉

このブログの管理者は内地からの移住者ですが、内地において20年ほど前からごみ問題にかかわってきました。このため溶融炉の悲劇をリアルタイムで観てきました。

そこで、今日は旧厚生省による国策としてスタートした「焼却炉+溶融炉」の悲劇を改めて考えてみることにします。なお、(3)は沖縄県内の市町村だけに該当する悲劇です。

(1)平成9年に義務化

⇒この年に旧厚生省が焼却炉の新設に当って溶融炉の併設を義務化したため、焼却炉を単独で整備することができくなった。

(2)平成15年に義務化を解除

⇒この年に環境省が義務化を解除したため、これ以降、溶融炉を整備する市町村が極端に少なくなった。メーカーも新たな技術開発を中止してしまった。

(3)平成23年に県が県の廃棄物処理計画を改正

⇒(2)により国は義務化を解除していたが沖縄県はこの年に既存の最終処分場の延命化を図るために溶融炉の整備を推進する計画を策定したため、県内の市町村は県から溶融炉の整備を回避するための技術的援助を受けることができなくなった。

(4)平成25年5月にごみ処理施設の長寿命化が義務化

⇒この年に改正された国の廃棄物処理施設整備計画により、ごみ処理施設の長寿命化を行わない場合は更新に当って国の補助金を利用することができなくなった。

(5)平成25年11月に長寿命化計画の策定期限が決定

⇒この年に国がインフラ長寿命化基本計画を決定したため、全ての市町村が平成28年度までにごみ処理施設の長寿命化計画(行動計画)を策定することになった。

(6)平成26年に会計検査院が意見表示

⇒この意見表示により「運転経費が高い」という理由で1年以上溶融炉を休止している場合は国から再稼動又は廃止を求められることになった。また、再稼動した場合であっても溶融スラグの利用を行わない場合は国から補助金の返還を求められることになった。

以上が悲劇の概要ですが、このブログの管理者は「焼却炉+溶融炉」を選定している市町村はできる限り溶融炉の長寿命化は回避すべきだと考えています。そして、市町村と議会が一体となって溶融処理以外の方法で焼却灰の資源化を推進する措置を講じるべきだと考えています。

なお、ごみ処理施設の長寿命化計画(行動計画)の策定期限までにはあと1年半ほどしかありません。したがって、溶融炉の長寿命化を回避したい市町村は今年度中に方向性を決める必要があると考えています。

最後に「焼却炉+溶融炉」を選定している市町村に対する注意事項を整理しておきます。

注意事項1:溶融炉については機種によって「過去の遺物」になっているものがあるので、長寿命化が困難な場合がある。

注意事項2:古いタイプの溶融炉の長寿命化を行う場合は事業費が過大になる。また、事故や故障のリスクが高くなる。

注意事項3:溶融炉の長寿命化が困難な場合や長寿命化を行わない場合は自主財源により焼却炉の長寿命化を行うことになる。

注意事項4:焼却炉の長寿命化の時期を先送りしていると老朽化が進んでダイオキシン類の発生量が増加することになる。

注意事項5:溶融炉の長寿命化も焼却炉の長寿命化も行わない場合は自主財源によりごみ処理施設を更新することになる。

注意事項6:溶融炉の長寿命化を行う場合は溶融スラグを安定的に利用して行くための品質管理を徹底する必要がある。

注意事項7:過去に利用してきた溶融スラグから有害物質が溶出した場合は溶融スラグの利用が困難になる。

注意事項8:溶融スラグの利用が困難になった場合は長寿命化のために利用した補助金を返還することになる。

注意事項9:溶融スラグの利用を行っている場合であっても事故や故障等により溶融炉が使用できなくなった場合は長寿命化のために利用した補助金を返還することになる。

注意事項10:「焼却炉+焼却灰の民間委託処分」を選定した場合は国の補助金を利用でない計画になる。



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