沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

改めて溶融炉の休止と廃止と再稼動に関する市町村(補助事業者)の法令違反を考える

2015-10-19 02:08:50 | 溶融炉

今日は改めて溶融炉の休止と廃止と再稼動に関する市町村の法令違反を考えてみることにします。なお、溶融炉については国の補助金を利用している場合を前提にしています。また、溶融炉を休止又は廃止する理由は「運転経費が高い」という理由を前提にしています。そして、再稼動する理由は法令違反を是正する場合を前提にしています。

まず、法令違反の対象となる補助金適正化法の規定を確認します。重要な規定は次の4つになります。以下、要約した規定を示します。

なお、この規定は補助事業の経過年数が建物の処分制限期間(50年)を超えている場合は適用されません。

①補助金適正化法第3条第2項
補助事業者は、補助金の交付の目的に従って誠実に補助事業を行うように努めなければならない。

②補助金適正化法第10条第1項
各省各庁の長は、補助金の交付の決定をした場合において、その後の事情の変更により特別の必要が生じたときは、補助金の交付の決定の全部若しくは一部を取り消すことができる。

③補助金適正化法第10条第2項
各省各庁の長が前項の規定により補助金の交付の決定を取り消すことができる場合は、天災地変その他補助金等の交付の決定後生じた事情の変更により補助事業の全部又は一部を継続する必要がなくなった場合その他政令で定める特に必要な場合に限る。

④補助金適正化法施行令第5条
法第10条第2項に規定する政令で定める特に必要な場合は、補助事業者が補助事業を遂行するため必要な手段を使用することができないことにより補助事業を遂行することができない場合(補助事業者の責に帰すべき事情による場合を除く。)とする。
 
上記のうち、②と③の規定にある「取り消し」とは、補助事業者(市町村)が補助事業を休止又は廃止する場合であっても、国が補助金の返還を求めないことを意味しています。つまり、②から④の規定に適合する場合は①の規定が解除されることになります。
 
したがって、上記の①から④までの規定を整理すると溶融炉の休止や廃止に当って法令に違反しない行為は次のようになります。
 
溶融炉を継続して使用する必要がなくなった場合又は溶融炉が市町村の責めに帰さない事由により使用できなくなった場合は溶融炉を休止又は廃止することができる。
 
このうち、溶融炉を使用する必要がなくなった場合とは代替措置を講じている場合等に該当します。具体的には最終処分場を整備している場合や溶融処理以外の方法で焼却灰の資源化を行うことができる状態を確保している場合等が該当します。したがって、最終処分場を整備していない市町村が焼却灰の民間委託処分を行っている場合は法令違反になります。
 
また、溶融炉が市町村の責めに帰さない事由により使用できなくなった場合とは、天災や溶融炉の欠陥等が原因で使用できなくなった場合等が該当します。したがって、使用できるのに「運転経費が高い」という理由で休止又は廃止した場合も法令違反になります。

以上により、代替措置を講じずに「運転経費が高い」という理由で現在溶融炉を休止している座間味村と渡名喜村、そして中城村北中城村清掃事務組合は法令に違反していることになります。

なお、法令違反を是正するために溶融炉を再稼動した場合であっても、補助金の交付の目的に従って焼却灰の利用を行わない場合、つまり溶融スラグの利用を行わずに最終処分している場合は補助目的を達成していないことになるので、その場合も法令違反になります。
 
※溶融炉を休止している市町村が補助金適正化法の規定に従って適正に廃止するためには民間委託処分以外の方法で溶融炉を使用する必要がない状態にしなければならないことになります。また、再稼動した場合は長寿命化を行い老朽化して更新するまでの間は、どんなに「運転経費」が高くても溶融スラグを使い続けなければならないことになります。そして、万が一、事故や故障等で溶融炉が使えなくなった場合は、どんなに「修理費」が高くても予算を調整して再稼動しなければならないことになります。したがって、それが困難な場合は法令違反を是正するために補助金を返還して溶融炉を廃止することになります。

 
下の画像は、このブログの管理者が作成した参考資料1と参考資料2の概要版です。
    

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