沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

改めて中北清掃組合が「溶融炉」を休止している問題を考える(その2)

2017-03-05 09:44:42 | ごみ処理計画

ゲストの皆様へ   

このブログは、当分の間、下の資料にある問題を解決するために管理をして行く予定です。 なお、この問題を県が放置していた場合は、県に対する県内の市町村、そして県民の信頼を著しく損なうおそれがあると考えています。 

 原寸大の資料(画像をクリック) 

 

その2の記事を読む前に、その1の記事をご覧下さい。

その2は、市町村が所有している溶融炉に対する重要事項を確認します。

下の画像は、国の財政的援助と溶融炉の関係を整理した資料です。 

原寸大の資料(画像をクリック)

【補足説明】中城村北中城村清掃事務組合(以下「中北清掃組合」という)は、平成15年度に、最終処分場の整備を行わない前提でごみ処理施設を整備しています。そのごみ処理施設は、国の財政的援助を受けるために「焼却炉+溶融炉」方式を採用しています。しかし、同組合は沖縄県の技術的援助に従って平成26年度から「焼却炉+溶融炉」方式を中止して「焼却炉+民間委託処分」方式を採用しています。

(注1)中北清掃組合は平成26年度から、ごみ処理施設の整備(長寿命化、更新、集約化等)に当って国の財政的援助を受ける権利を放棄していることになります。 

(注2)中北清掃組合がごみ処理施設の整備(長寿命化、更新、集約化等)に当って国の財政的援助を受ける権利を放棄している場合は、同組合を構成している中城村と北中城村も、ごみ処理施設の整備に当って国の財政的援助を受ける権利を放棄していることになります。

下の画像は、最終処分場の整備を行わない市町村が国の財政的援助を受けて溶融炉を整備している場合の溶融炉の所有の目的を整理した資料です。

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【補助目的】溶融炉には焼却灰に含まれているダイオキシン類を分解する機能があります。しかし、中北清掃組合は最終処分場の整備を行わない前提で国の財政的援助を受けて溶融炉を整備しています。したがって、最終処分ゼロを達成して継続することも溶融炉を所有している大きな目的になっています。

(注1)沖縄県においては、浦添市と糸満市と豊見城市が、中北清掃組合と同じ目的で溶融炉を整備しています。そして、3市は溶融炉を整備したときから最終処分ゼロを達成して継続しています。

(注2)那覇市と南風原町は「焼却炉+溶融炉+最終処分場」方式を採用しているので、最終処分ゼロを達成して継続する必要はありません。ただし、最終処分場の運用を休止して民間委託処分を行うことはできません。

下の画像は、ごみ処理施設の長寿命化に関する重要事項を整理した資料です。

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【補足説明】沖縄県の市町村の多くは、浦添市と同じように供用開始から11年目前後にごみ処理施設の長寿命化を実施しています。

(注1)浦添市は、平成24年度(供用開始から11年目)に溶融炉の長寿命化を実施しています。

(注2)那覇市と南風原町は、平成28年度(供用開始から11年目)に溶融炉の長寿命化に着手しています。

下の画像は、溶融炉の休止及び廃止に関する重要事項を整理した資料です。

なお、この資料は溶融炉を休止又は廃止しても焼却灰のダイオキシン対策が可能な場合を想定して作成しています。

原寸大の資料(画像をクリック)

【補足説明】中北清掃組合が平成25年度までに、廃棄物処理法の基本方針に即して自主財源により必要となる最終処分場を整備していた場合は、平成26年度から溶融炉を休止することができたことになります。しかし、同組合は平成26年度から最終処分場の整備を放棄して溶融炉を休止しています。そして、最終処分場の整備を行わないまま、浦添市との広域処理を推進しようとしています。

(注1)浦添市と中城村と北中城村の1市2村は、平成28年11月11日に国の財政的援助を受ける前提で広域施設の整備(既存施設の集約化)を行うための基本合意書を締結しています。しかし、2村の村長が2村と中北清掃組合のごみ処理計画の見直しを行わない場合は、1市2村は自主財源により広域施設の整備(既存施設の集約化)を行うことになってしまいます。

(注2)2村の村長が2村と中北清掃組合のごみ処理計画の見直しを行わない場合は、浦添市は2村との広域処理を白紙撤回して、国の財政的援助を受けて既存施設の更新を行なうことになります。なぜなら、浦添市はごみ処理施設の整備に当って国の財政的援助を受ける権利を確保しているからです。

下の画像は、最終処分場の整備を行わずに溶融炉を休止又は廃止する場合の重要事項を整理した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

【補足説明】中北清掃組合が休止している溶融炉は国内では稼動している事例や長寿命化が行われている事例のない溶融炉(塩分濃度の高い流動床炉の焼却灰を単独で処理する燃料式の溶融炉)なので、中城村と北中城村が浦添市と広域組合を設立する前に廃止することが、2村の村長にとって唯一の選択肢になると考えています。

(注1)中北清掃組合には、溶融炉を再稼動するという選択肢がありますが、同組合は溶融炉を稼動している間に最終処分ゼロを達成した年度が一度もないので、浦添市から見た場合はギャンブル性の高い施策(地方財政法第2条第1項の規定に抵触する施策)になると考えています。

(注2)中北清掃組合が、自主財源により焼却炉を「流動床炉」から「ストーカ炉」に変更する場合は、浦添市と同じ方式を採用していることになるので、ギャンブル性の低い施策になります。しかし、その場合は、30億円前後の自主財源が必要になります。そして、環境アセスメント等を含めて供用を開始するときまで3年以上の時間が必要になります。また、その上で休止している溶融炉を再稼動して溶融炉の長寿命化を行うことになります。しかも、浦添市と同じように最終処分ゼロを達成して継続しなければならないことになります。

下の画像は、外部委託により最終処分ゼロを達成して継続する前提で、溶融炉を休止又は廃止する場合の重要事項を整理した資料です。

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【補足説明】内地においては、「焼却炉+溶融炉」方式や「ガス化溶融炉」方式から、「焼却炉+セメント原料化」方式や「焼却炉+最終処分場」方式に移行する市町村が増加していますが、焼却灰の資源化を行う「焼却炉+セメント原料化」方式の多くはPFI事業方式を採用しています。なぜなら、地方公共団体が焼却灰の資源化を民間に委託する場合は、住民の福祉の増進を図るために、継続性を確保する必要があるからです。

(注1)最終処分場を所有していない市町村が「焼却炉+セメント原料化」方式を採用する場合は、焼却灰以外の廃棄物も資源化しなければならないことになります。

(注2)住民の福祉の増進を図るために最終処分場を整備している市町村は、最終処分場の延命化を図るために焼却灰のセメント原料化を任意で行うことができます。

(注3)焼却灰のセメント原料化は、基本的に塩分濃度の低いストーカ炉の主灰を対象にしています。しかし、中北清掃組合の焼却炉は塩分濃度の高い焼却灰(飛灰)を排出する流動床炉なので、同組合はセメント原料化には適さない焼却炉を所有していることになります。しかも、人口が少ないのでPFI事業方式で焼却灰の資源化を行うことは困難な状況になっています。

下の画像は、市町村合併や広域化等によって、溶融炉を休止又は廃止する場合の重要事項を整理した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

【補足説明】このように、最終処分場を整備しない前提で溶融炉を所有している市町村であっても、最終処分場を所有していて、しかも、その最終処分場の残余容量に余裕のある市町村と合併するか、広域組合を設立する場合は、地域ごとに必要となる最終処分場を整備していることになるので、溶融炉を休止又は廃止することができます。

(注1)浦添市は最終処分場を整備していないので、中城村と北中城村が浦添市と広域組合を設立した場合であっても、中城村にある溶融炉を休止又は廃止することはできないことになります。

(注2)市町村は住民の福祉の増進を図るために最終処分場を整備しているので、他の市町村の住民の福祉の増進を図るために、自ら整備した最終処分場の残余容量を減らすような施策を行うことはできません。

下の画像も、市町村合併や広域化等によって、溶融炉を休止又は廃止する場合の重要事項を整理した資料です。

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【補足説明】浦添市の人口が溶融炉を整備したときから4万人程度減少している場合は、広域化によって浦添市の既存施設を活用することにより、中城村と北中城村は最終処分ゼロを達成して継続することができる可能性があります。しかし、1市2村の総人口は増加しているので、広域組合を設立した場合であっても、中城村と北中城村は広域施設の供用を開始するときまで、中城村にある既存施設を活用して行かなければならないことになります。

(注1)浦添市は既存施設の長寿命化を実施していますが、中北清掃組合はまだ実施していません。したがって、中城村と北中城村が中城村にある既存施設を活用して行く場合は、浦添市と既存施設の集約化を行う前に、廃棄物処理法の基本方針に即して既存施設の長寿命化を行わなければならないことになります。

(注2)中城村と北中城村の村長は、2村における廃棄物の処理量が増加することを予想して、中城村にある既存施設を更新しても住民の福祉の増進を図ることが困難になると判断して、浦添市との広域処理を推進することを考えていると思われます。

下の画像は、最終処分場を所有している他の市町村に最終処分を委託して、溶融炉を休止又は廃止する場合の重要事項を整理した資料です。

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【補足説明】最終処分場を所有している市町村は、住民の福祉の増進を図るために所有しているので、特別な場合(災害廃棄物が発生した場合等)を除いて他の市町村の廃棄物を受け入れることはできないことになっています。

(注1)市町村が国の財政的援助を受けて最終処分場を整備している場合に、安易に他の市町村から排出された廃棄物を受け入れると、補助金の交付の目的に反して(補助金適正化法の規定に違反して)補助事業を行っていることになってしまいます。

(注2)国の財政的援助を受けて最終処分場を整備している市町村には、住民の福祉の増進を図るために、廃棄物の排出量の削減や廃棄物の資源化を推進することによって、最終処分場の延命化を図る責務があります。

下の画像は、他の市町村に最終処分ゼロの達成と継続を委託して、溶融炉を休止又は廃止する場合の重要事項を整理した資料です。

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【補足説明】市町村は住民の福祉の増進を図るためにごみ処理施設を整備しているので、特別な場合(災害廃棄物が発生した場合等)を除いて、他の市町村に対して安易にごみ処理を委託することはできないことになっています。また、市町村は他の市町村のごみ処理を安易に受託することはできないことになっています。

(注1)市町村が国の財政的援助を受けて焼却炉や溶融炉を整備している場合に、安易に他の市町村から排出された廃棄物の処理を行うと、補助金の交付の目的に反して(補助金適正化法の規定に違反して)補助事業を行っていることになってしまいます。

(注2)市町村は民間の廃棄物処理業者ではないので、国の財政的援助を受けてごみ処理施設を整備している市町村が、市町村の予算を削減するために、他の市町村から排出される廃棄物を有償で処理することはできないことになっています。

最後に、下の画像(2つ)をご覧下さい。

これは、中北清掃組合(実質的には中城村と北中城村)が所有している溶融炉と浦添市が所有している溶融炉の関係を整理した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

【補足説明】現在の中北清掃組合と浦添市の溶融炉は、2つの地方公共団体が別々に所有しています。そして、別々に運用しています。しかし、浦添市と中城村と北中城村が広域組合を設立した場合は、法制度上、その広域組合が2つの溶融炉を所有することになり、その溶融炉の履歴も引き継ぐことになります。したがって、1市2村が設立した広域組合は、1つの地方公共団体が2つの溶融炉を所有していることになります。ただし、中城・北中城ブロックの溶融炉は長寿命化を行わずに平成26年度から運用を休止していることになります。

(注1)1市2村による広域施設の整備(既存施設の集約化)は、実際には1つの地方公共団体が所有している2つの既存施設を集約化する事業になります。しかし、1市2村が設立した広域組合は、2つある溶融炉のうち1つの溶融炉の長寿命化を行わずに休止していることになります。そして、必要となる最終処分場の整備を行わずに民間委託処分を行っている(廃棄物処理法の基本方針に即してごみ処理事業を行っていない)ことになるので、自主財源により既存施設の集約化(広域施設の整備)を行うことになります。

(注2)中北清掃組合と中城城と北中城村は、浦添市が2村と広域組合を設立して広域施設の整備(既存施設の集約化)を行うための基本合意書を締結したことで、溶融炉を休止したまま(長寿命化を行わずに)焼却灰と資源化の困難な廃棄物の民間委託処分を継続して行くことができると考えている可能性があります。

<追加資料>

下の画像は、このブログの管理者が推測している、中北清掃組合の溶融炉に対する関係者の理解度を整理した資料です。

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【補足説明】このブログの管理者は、上の資料にある全ての関係者が中北清掃組合が溶融炉を所有している目的を理解している場合は、浦添市と中城村と北中城村の1市2村は、平成28年11月11日に、広域施設の整備に関する覚書を締結していなかったと考えています。なぜなら、中北清掃組合が最終処分ゼロを達成して継続していない場合は、中城村と北中城村だけでなく、浦添市も広域施設の整備に当って国の財政的援助を受けることができないからです。

(注1)沖縄県や中北清掃組合に対して技術的援助を与えている国の職員が、同組合が溶融炉を所有している目的を理解している場合は、国の職員が補助事業者である同組合の責務を免除していることになります。したがって、その場合は、全体の奉仕者として、浦添市や糸満市、豊見城市に対しても補助事業者の責務を免除しなければならないことになります。

(注2)国の職員や浦添市の職員も中北清掃組合が溶融炉を所有している目的を理解していない場合は、広域施設の整備に関する事務処理を担当している浦添市の職員は、無駄な事務処理に時間と労力を費やしていることになります。

その3に続く


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