沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

平成28年度における浦添市と中城村と北中城村の首長の責務を考える

2017-02-13 08:21:10 | ごみ処理計画

ゲストの皆様へ  

このブログは、当分の間、下の資料にある問題を解決するために管理をして行く予定です。 なお、この問題を県が放置していた場合は、県に対する県内の市町村、そして県民の信頼を著しく損なうおそれがあると考えています。 

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平成28年度は中城村、北中城村、浦添市の順番で首長選挙がありました。そして、昨日(2月12日)、浦添市の首長選挙が行われ、結果的に1市2村の3人の首長がすべて再選しました。

3人の首長は、平成28年11月11日に広域処理を推進するための「広域施設の整備」に関する基本合意書にサインをしています。したがって、この基本合意書は改めて1市2村の間で追認されたことになります。

広域施設の整備に関する基本合意書(浦添市の公式サイト)

そこで、今日は、平成28年度における1市2村の首長の責務について考えてみます。

その前に、下の画像をご覧下さい。

これは、沖縄県の技術的援助に従って平成26年3月にごみ処理計画を改正した中城村と北中城村の村長のごみ処理事業に対する考え方と、浦添市との広域処理に対する考え方を整理した資料です。

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【補足説明】中城村と北中城村の村長は、沖縄県の技術的援助に従って平成26年3月に改正した2村と中城村北中城村清掃事務組合(以下「中北清掃組合」という)のごみ処理計画の見直しを行わずに、浦添市と「広域施設の整備」に関する基本合意書を締結しているので、結果的にこのような考え方をしていることになります。

(注)中城村と北中城村の村長が、中北清掃組合に対する県の技術的援助に従っていない場合は、「広域施設の整備」に関する基本合意書を締結する前に、浦添市の市長や市民に対する礼儀としてごみ処理計画の見直しを行っているはずです。

下の画像は、中城村と北中城村との広域処理に対する浦添市の市長の考え方を整理した資料です。

なお、この資料は、浦添市の市長が市が策定して実施しているごみ処理計画(基本計画及び実施計画)に従って広域処理を推進するという前提で作成しています。

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【補足説明】市長に対する市の職員の報告がどのようなものであるかは分かりませんが、廃棄物処理法の基本方針に適合するごみ処理計画を策定して実施している浦添市の市長が、自主財源により「広域施設の整備」を行うことはあり得ないと考えています。

(注)浦添市の市長は平成28年3月に、市長としてはじめて市のごみ処理計画の見直しを行っていますが、最終処分ゼロの継続を決定しています。

下の画像は、広域組合を設立して国の財政的援助を受けて「広域施設の整備」を行うことを考えている市町村長に対する環境大臣の考え方を整理した資料です。

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【補足説明】環境大臣から見た場合、最終処分ゼロを達成して継続している浦添市の市長は、大臣が定めている廃棄物処理法の基本方針に即したごみ処理事業を行っている首長になります。しかし、中城村と北中城村の村長は環境大臣が定めている廃棄物処理法の基本方針を無視したごみ処理事業を行っている首長になります。

(注)国には補助金適正化法第3条第1項の規定に従って公正かつ効率的に補助事業者に対する財政的援助を与える責務があります。したがって、国が万が一、中城村や北中城村に対して財政的援助を与えた場合は、公正とは言えない財政的援助を与えたことになるので、国が法令に違反することになります。その場合、大臣や国の職員にも補助金適正化法の規定に基づく罰則規定(第33条第2項)が適用されます。

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前置きが長くなりましたが、ここから、本題に入ります。

下の画像は、浦添市と中城村と北中城村が広域処理を推進するために平成28年11月11日に締結した「広域施設の整備」に関する基本合意書の位置づけを整理した資料です。 

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【補足説明】1市2村の首長がサインをした基本合意書は「広域施設の整備」に関するものであって、「既存施設の運用」については触れられていません。しかし、1市2村は平成29年4月から「広域施設の整備」に関する建設準備室を発足することで合意しています。

下の画像は、市町村が広域処理を推進するために締結する「広域施設の整備」と「既存施設の運用」に関する基本合意書の位置づけを整理した資料です

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【補足説明】市町村が広域処理を推進する場合は、「広域施設の整備」が可能であることが大前提になりますが、国の財政的援助を受けて「広域施設の整備」を行う場合は、「広域施設の整備」が完了するときまで「既存施設の運用」を適正に行う必要があります。したがって、広域処理を推進するための基本合意書は一般的には「広域施設の整備」と「既存施設の運用」をワンセットにして締結することになります。しかし、浦添市と中城村と北中城村は先に「広域施設の整備」に関する基本合意書を締結しています。

下の画像は、市町村のごみ処理計画における地域計画の位置づけを整理した資料です。

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【補足説明】このように、地域計画はごみ処理計画における基本計画と実施計画の間にある計画になります。そして、地域計画が廃棄物処理法の基本方針に適合していない場合は、国の財政的援助を受けて「広域施設の整備」を行うことができないことになります。しかし、中城村と北中城村のごみ処理計画(基本計画)は廃棄物処理法の基本方針に適合していないので、1市2村の首長が「広域施設の整備」に関する基本合意書にサインをしても、2村の首長がごみ処理計画の見直しを行わない場合は、広域処理を推進することができないことになります。

(注)1市2村は平成29年度から建設準備室において「広域施設の整備」に関する協議をスタートすることになりますが、その前に「既存施設の運用」を廃棄物処理法の基本方針に適合させなければなりません。なぜなら、「既存施設の運用」が廃棄物処理法の基本方針に適合していない場合は、「広域施設の整備」に関する協議が無駄になるからです。

下の画像は、補助金適正化法の規定に基づく浦添市と中北清掃組合の責務を整理した資料です。

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【補足説明】浦添市と中北清掃組合は最終処分場の整備を行わない前提で、国の財政的援助を受けてごみ処理施設を整備しているので、最終処分ゼロを達成して継続することが補助事業者としての責務になります。そして、浦添市はその責務を果たしていますが、中北清掃組合は平成26年度からその責務を果たす努力を放棄しています。

(注)補助事業者が責務を果たしていない場合は、国から補助金の返還を求められることになりますが、一般的には、その前に国から責務を果たすように是正の要求を受けることになります。なぜなら、補助事業者は善良な管理者の注意をもって誠実に補助事業を行うように努めなければならないからです。

下の画像は、ごみ処理施設の整備と運用に関する国の基本方針を整理した資料です。

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【補足説明】浦添市と中北清掃組合は、平成12年度に廃棄物処理法が改正されて平成13年度に国の基本方針が告示されてから、最終処分場の整備を行わない前提で補助事業者になっているので、最終処分ゼロを達成して継続することができない場合は、「地域ごとに必要となる最終処分場を整備」しなければなりません。そして、平成22年度以降にごみ処理施設の更新又は集約化を行うことになるので、その前に「ストックマネジメントの手法を導入して既存施設の長寿命化」を図らなければならないことになります。

(注)浦添市は最終処分ゼロを達成して継続しているので最終処分場を整備する必要はありません。また、平成24年度に既存施設の長寿命化を実施しているので、このまま最終処分ゼロを継続すれば国の財政的援助を受けて既存施設の更新を行うことができます。しかし、沖縄県の技術的援助に従ってごみ処理事業を行っている中城村や北中城村と広域組合を設立して共同で既存施設の集約化(広域施設の整備)を行う場合は、国の財政的援助を受けることができないことになります。

下の画像は、平成20年と平成21年に行われた中央審議会の議事録の中から、ごみ処理施設の長寿命化に対する国(環境省)の考え方を整理した資料です。

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【補足説明】ごみ処理施設の長寿命化については、法令で義務づけられている訳ではありません。したがって、長寿命化を行わない場合であっても法令違反にはなりません。しかし、長寿命化を行っていない場合は、自主財源により既存施設の更新や集約化を行うことになります。

下の画像は、浦添市と中城村と北中城村が設立する広域組合と国の財政的援助との関係を整理した資料です。

なお、中城村と北中城村が広域組合を設立する前にごみ処理計画を見直して最終処分ゼロを達成していない場合は、広域組合が補助金適正化法に違反していることになるので、広域施設の整備に当って国の財政的援助を受けることはできないことになります。 

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【補足説明】補助金適正化法に違反しているのは、補助事業者である中北清掃組合ですが、中城村と北中城村が浦添市と広域組合を設立した場合は、広域組合が中北清掃組合の事務処理を引き継ぐことになります。

(注)中北清掃組合が補助金適正化法の規定に違反していない場合は、浦添市も最終処分ゼロを達成する必要がなかったことになります。そして、市の判断でいつでも最終処分ゼロの継続を放棄することができることになります。

下の画像も、浦添市と中城村と北中城村が設立する広域組合と国の財政的援助との関係を整理した資料です。

なお、中城村と北中城村が広域組合を設立する前にごみ処理計画を見直して溶融炉の休止を中止しない場合は、広域組合が地方財政法に違反していることになるので、広域施設の整備に当って国の財政的援助を受けることはできないことになります。 

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【補足説明】地方財政法に違反しているのは中北清掃組合ですが、中城村と北中城村が浦添市と広域組合を設立した場合は、広域組合が中北清掃組合の既存施設を引き継ぐことになります。

(注)中北清掃組合が地方財政法に違反していない場合は、浦添市は既存施設の長寿命化を行う必要がなかったことになります。そして、国内の市町村は長寿命化を行わずに、国の財政的援助を受けて既存施設の更新又は集約化を行うことができることになります。

下の画像も、浦添市と中城村と北中城村が設立する広域組合と国の財政的援助との関係を整理した資料です。

なお、中城村と北中城村が広域組合を設立する前にごみ処理計画を既存施設の長寿命化を行う計画に見直さない場合は、広域組合が廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理事業を行っていることになるので、広域施設の整備に当って国の財政的援助を受けることはできないことになります。 

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【補足説明】中北清掃組合の既存施設は、中城村と北中城村が浦添市と設立する広域組合が引き継ぐことになるので、広域組合を設立する前に長寿命化を行っていない場合は、広域組合において長寿命化を行うことになります。

(注)広域組合において中北清掃組合から引き継いだ既存施設の長寿命化を行う場合は、地域計画において「既存施設の長寿命化」と「既存施設の集約化」を行うことになるので、「既存施設の集約化」を行う時期が大幅に遅れる可能性があります。なお、中北清掃組合の既存施設は平成29年度で供用開始から15年目になるので、老朽化が徐々に進行している可能性があります。

下の画像は、浦添市と中城村と北中城村が設立した広域組合が「広域施設を整備」するときに、国が財政的援助を与える場合を想定して作成した資料です。

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【補足説明】国は補助金適正化法の規定に従って広域組合に対して公正かつ効率的に財政的援助を与えなければならないので、広域組合は広域施設の整備が完了するときまで今の浦添市と同じように適正な「既存施設の運用」を行っていなければならないことになります。

下の画像は、中城村と北中城村が浦添市と広域組合を設立する前に溶融炉を再稼動して焼却炉と一緒に長寿命化を行う場合を想定して作成した資料です。 

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【補足説明】溶融炉の休止を中止する方法については、最終的には2村の村長が決定することになりますが、仮に2村の村長が再稼動を決定した場合は、浦添市の市長は広域組合の設立を断念すると考えています。なぜなら、浦添市の市長が2村の村長の決定に従った場合は、浦添市の市民に対して他の市町村が整備した溶融炉のリスクを負担させることになるからです。

(注)中城村と北中城村が浦添市と同じ「ストーカ炉+溶融炉」を整備している場合であれば、浦添市と同じ立場になるので、問題はないと考えています。

下の画像は、中城村と北中城村が広域組合を設立する前に休止している溶融炉を廃止して、焼却炉だけを長寿命化することを決定した場合を想定して作成した資料です。 

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【補足説明】このブログでは、これと同じような資料を沢山作成してきましたが、このブログの管理者は、中城村と北中城村が浦添市との広域処理を推進する場合であっても、中北清掃組合が単独で既存施設の更新を行う場合であっても、この選択肢以外に有効な選択肢はないと考えています。

(注)中北清掃組合が休止している溶融炉(塩分濃度の高い流動床炉の焼却灰を単独で処理する燃料式の溶融炉)は国内で稼動している事例や長寿命化が行われている事例がありません。しかし、同組合が稼動している焼却炉(流動床炉)は長寿命化が行われている事例があるので、溶融炉を廃止すれば既存施設の適正な長寿命化を行うことができると考えています。

下の画像は、浦添市と中城村と北中城村の首長が、広域処理を推進するための「既存施設の運用」に関する基本合意書にサインをすることを想定して作成した資料です。

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【補足説明】「広域施設の整備」と「既存施設の運用」については、市町村における担当部署が異なるので、適正な「既存施設の運用」を行っている浦添市がリーダーシップを取らないと、結果的に建設準備室における「広域施設の整備」に関する協議が無意味なものになってしまいます。

(注)一般的に言って、「ごみ処理施設の整備」に関する部署に配属されている市町村の職員は「既存施設の運用」に関することについては、問題がないと考えています。そして、「既存施設の運用」に関する部署に配属されている市町村の職員は「ごみ処理施設の整備」に関することは自分の仕事ではないと考えています。したがって、浦添市と中城村と北中城村における広域処理については、「既存施設の運用」を行っている中北清掃組合の職員の判断が極めて重要になってきます。

下の画像は、広域処理において浦添市の財政に累を及ぼす(地方財政法第2条第1項の規定に違反する)可能性のある中城村と北中城村の施策を整理した資料です。

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【補足説明】中城村と北中城村は長い間「運命共同体」としてごみ処理事業を行ってきているので、地方財政法第2条第1項の規定はないに等しい状況になっています。しかし、これまで適正な「既存施設の運用」を行ってきた浦添市にとっては重要な規定になります。なぜなら、中城村と北中城村は浦添市とはまったく異なる考え方で「既存施設の運用」を行ってきているからです。

(注)このブログの管理者は、中城村と北中城村が「ストーカ炉+溶融炉」ではなく「流動床炉+溶融炉」を選定して供用を開始したときから、他の市町村との広域処理を推進することは極めて難しい状況になっていると考えています。

下の画像は、広域処理が白紙撤回になるケースを整理した資料です。 

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【補足説明】約1年前の平成28年2月22日に、中城村と北中城村は宜野湾市等と共同で推進していた広域火葬場・斎場建設計画を白紙撤回していますが、その主な理由は国の補助制度に対する担当者の理解が不足していたことでした。したがって、2村が浦添市との広域処理を推進する場合は、国の補助制度や関係法令等を十分に理解している担当者を配置する必要があると考えています。

広域火葬場・斎場建設計画白紙化の記事

(平成27年10月27日琉球新報)

広域火葬場・斎場建設計画白紙化決定の記事

(平成28年2月23日沖縄タイムス)

(注)この広域計画は中城村内に広域施設(火葬場と斎場)を整備する前提で5市町村による協議が行われていましたが、約40億円の財源確保のめどが立たないという理由で白紙撤回になっています。

最後に、下の画像をご覧下さい。

これは、今日の記事の結論(平成28年度における1市2村の首長の責務)を整理した資料です。

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【補足説明】中北清掃組合に対する沖縄県の技術的援助は、廃棄物処理法の基本方針をまったく無視した技術的援助になっています。そして、補助金適正化法や地方財政法に抵触する技術的援助になっています。したがって、1市2村の首長が県の職員に「既存施設の運用」に関する判断を委ねた場合は、広域処理を推進することはできないと考えています。

<追加資料>

下の画像は、平成28年度における中城村と北中城村の村長の責務を整理した資料です。

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【補足説明】このブログの管理者は、中城村と北中城村の村長に対して上の資料にある村長としての責務を果たしてもらうように要請することも、任期中に広域組合の管理者になることがほぼ決定している浦添市の市長の重要な責務の一つであると考えています。

下の画像は、関係法令を遵守して廃棄物処理法の基本方針に適合する適正な「既存施設の運用」を行っている浦添市の市長の平成28年度における責務(沖縄県に対する平成29年度以降の浦添市の事務処理に関する確認)を整理した資料です。

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【補足説明】平成28年11月11日に締結した「広域施設の整備」に関する基本合意書において、1市2村の首長は平成29年4月から浦添市に建設準備室を発足させることで合意しているので、浦添市の市長には今年度中に県に対して少なくとも上の資料にある10の項目に対する確認を行っておく必要があると考えます。

(注)1市2村は平成31年度に広域組合を設立するために、平成29年度から地域計画の策定に着手することになっています。したがって、広域組合の管理者になることがほぼ決定している浦添市の市長が、今年度中に廃棄物処理法の基本方針や県の廃棄物処理計画等に対する県の職員の考え方を確認しておくことは、極めて重要な事務処理になると考えます。

広域処理の成功を祈ります。