「オクリモンのオクリモノ」

私小説風人物店事案内
僕が彼女を好きなわけ okurimon no okurimono

落ち葉と切符

2007-10-16 04:46:33 | うれしい

◆落ち葉と切符◆

太古から我々人が大自然に驚異を畏敬を美を
感動を抱くのは、人間を取り巻くすべては意図
しない結果の連続だからだ。空も海も山も一瞬
たりとも同じは無い。営々と意思も意図もなく文
字通り自然に果てなくうつり変わり続けている
からだ。それは予測も想像も超え続けているか
らだ。宇宙誕生から地球誕生からその事だけが
唯一変わらない。そう言うそう思う人も実は自己
の意思に関わりなく勝手に変化し続けているの
だが。気がつけば背丈が伸びて少年は青年に、
シミ、シワ、白髪、忘却、老眼、気がつくころに
は意思に反した加齢の老化の果てに朽ちて土。

前書きがかなり大げさだが「僕が彼女を好きな
わけ」このBLOGのサブタイトルどおりに50年
男を刻んで積んで現役男子も残すは運良くて1
0年強の熟したキワに遭遇した我がGFは、人
が大人になると称して姑息な常識を身にまとい、
教養と称した知識を装う意図とも意思とも無縁
にゆるくまろやかな丸腰のナチュラルさん。だか
ら山の気象のようにめまぐるしく変わり続けてい
る。その予測も想像も経験知もあっさりと裏切り
続ける、男の一生に到底ありえない女の可憐な
大自然に僕は驚異を畏敬を美を感動を抱くのだ。

5日間のパリコレの仕事を終えて帰国した彼女
のパリ土産に僕は一瞬息を呑んだ。唖然とした。
「落ち葉と地下鉄の切符」これだけ?後はアリバ
イ作りのように社員達へのお義理土産同様に空
港の免税店でフォーションの蜂蜜小瓶、トリュフ
入りの板チョコ、エスプレッソ味の板チョコに葉巻。
ま、あえて好意的に解釈すればいづれも一応は
僕の好みには合致している。過激な甘党、濃い
お茶好き、猛煙家の事をきちんと抑えてはいる。
しかし悪口叩けば所詮、帰途あわただしく最後に
駆け込んだ免税店の品々。自分の買い物はきっ
ちりシャンゼリゼで蚤の市で古着もバックも靴もし
っかり買い込んできた。その場所に出向いている
時間があるにも関わらずだ。ファッション都でフ
ァッションの仕事帰りにファッションが皆無。それ
どころか「落ち葉と使用済み切符」。それって本
来捨てるべきモノ、ゴミだ。肩透かしを食らって一
瞬唖然。しかし、じわっと感嘆。ぐっと感動。後味
効いたこれぞGFの真骨頂。アバタもえくぼ、惚れ
た弱みに映るだろうが、これほどパリのエスプリ
効かせた記憶に残る土産はない。深い意図など
まるでなく、何気に拾った落ち葉とバックの片隅
に落ちていた切符。あえてなのか?どうでもいい
からなのか?土産を買わなかった言い訳の苦肉
の所業なのか?いや意図しない意思のない大自
然のなせる技なのか?見事にまんまとしてやら
れた思い出深い2007パリコレ。いやぁ~アッパレ!
それにしても、これってエスプリ?ただの言い訳?

万人あの世に持っていけるのは唯一思い出だけ
だ。万事がナチュラル、ユニーク、ファニーな彼女
の「落ち葉と切符」僕にはこの上ないオクリモン。

「サンドイッチの年」の冒頭シーンが思い出される
本から滑り落ちるメトロのチケット。物語はここから
始まる。往還するキャンドルの灯に照らされる生の
栄光。裏切らない思い出の写真で締めくくられる。
Les Années sandwiches
http://www.allocine.fr/film/fichefilm_gen_cfilm=3256.html



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