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3月31日 ガスコンロにする?IHヒーターにする?

2006-03-31 | インテリア/建築
キッチンを選ぶ時、加熱機器を「ガスコンロ」にしようか。それとも、「IHヒーター」にしようか。迷うところではないでしょうか。
私たちも、建売住宅として住宅を販売する際、「IHヒーター」にした方がお客様に喜んでもらえるのか。「ガスコンロ」にした方が良いのか。すごく悩みます。さんざん悩んで選択したというのに、購入していただいたお客様に、加熱機器の変更を希望されることだってあります。
どちらが良いのか?
それは、利用される方によって変わってきます。
今日は、それぞれの違いについてまとめてみましたので、選択されるときの参考にして頂ければと思います。

まず、加熱機器の熱源は大きく分けて2つ。
電気(クッキングヒーター)ガス(ガスコンロ)に分かれます。
クッキングヒーターには、みなさんも良く知るIHヒーターの他ラジエントヒーターハロゲンヒーターがあります。
一般的な3口のトッププレートの場合、IHヒーターを選択しても、真ん中の小さな熱源は、ラジエントヒーターの仕様になります。
簡単に違いを説明すると、
磁力線の力で鍋自体を加熱するのがIHヒーター
純粋に熱源を利用するのがラジエントヒーターハロゲンヒーターです。
つまり極論的な表現をすると、直接手で触れても熱くない、やけどしないのがIHヒーター、やけどするのが、ラジエントヒーターハロゲンヒーターです。
それでは、具体的にIHヒーターガスコンロを比較してみましょう。

①加熱
ガスコンロ
炎と上昇気流によって鍋全体を加熱します。
均一に加熱しますが、ロスも発生してしまいます。
バーナーがトッププレートの上にあるコンロと鍋の内側にしか炎が出ない内炎式のコンロがあります。
内炎式の登場で、炎が周囲に燃え移る事故や、取っ手で火傷する事故が防げるとともに、熱効率も良くなりました。
IHヒーター
磁力線によって鍋自体を発熱させます。
磁力線範囲は高温に、周辺温度は低くなるので均一に加熱できませんが、ロスは少ないのが特徴です。
鍋をヒーターの上に置かないと発熱しないため、鍋振り調理ができません。

②使用できる鍋
ガスコンロ
鉄鍋・土鍋・銅鍋・アルミ鍋・中華鍋などあらゆる材質、形状、大きさの鍋が使用できます。
IHヒーター
材質:鉄・鉄ホーロー・鉄鋳物・ステンレス(18-0、18-8、18-10)
形状:底の直径が12~26cmで、底の平らなもの(中央凹部が3mm以下)。
☆ 18-8、18-10ステンレス鍋(一層)で鍋底の厚みが0.8mm以上の鍋は、火力が定格より少なめになる場合があります。
☆ 18-8、18-10ステンレスの鍋でも、中にアルミ、銅をはさんでいるものは使えないものがあります。
☆ ホーロー鍋の種類(耐熱ホーロー以外のもの)によっては空炊きすると底面が溶けて、トッププレートに焼きつくことがあります。
ラジエントヒーター
材質:ステンレス・鉄・銅・アルミ等の金属鍋
形状:底の直径が14~16cmで、底の平らなもの(中央凹部が1mm以下)。
☆ 鍋底が平らで、厚手の鍋が最適です。
☆ 鍋底が凸凹している鍋は、トッププレートの接触が少なく、効率が悪くなります。
※ IHヒーター用の鍋をお求めになるときは、財団法人 製品安全協会マーク(SG-CH・IH)の表示のある鍋をご購入された方が良いでしょう。SGマーク付きのものをしようすれば、空炊きや高火力のIHで使用しても鍋底が変形しにくく、充分な火力を得ることができます。
    
これらのマークの無いものでも、使用可能と表示している製品もありますが、高火力が得られなかったり、鍋底が変形することがあるので注意が必要です。
※ 鍋底の変形したものを使用すると、安全装置が動作せず、鍋底が赤熱し、その状態に油を注ぐと発火するなどの事故の原因となることがあります。
※ 最近では、IHヒーター対応の土鍋なども開発され、使用可能範囲は広がりつつあります。
※ Nationalからは、オールメタル対応のIHヒーターも登場しており、銅製のものやアルミ製、多層鍋も使えるようになりました。

③お手入れ
ガスコンロ
ゴトクで支えるため、お手入れは手間がかかります。従来は一体型でお手入れの際にシンクからはみ出すほど大きいものが一般的でしたが、最近は単独ゴトクのものが主流となり、清掃性が高まりました。ガラストップ製のものも発売され、より便利になってきています。
上昇気流が発生するので、レンジフードに油煙が上がり換気扇は汚れますが屋内に飛散することなく屋外に排気されるので、室内の空気環境はキレイです。
IHヒーター
IHヒーターの最大のキャッチフレーズではないでしょうか。吹きこぼれも汚れもサッと拭くだけでよく、お掃除はとても簡単です。言うまでもありませんが、見た目もスッキリです。
上昇気流が弱いため、換気扇は汚れませんが、コンロトップや屋内に油煙が拡散してしまいます。

③安全性
どちらも安全装置が完備されているため、個人的にはあまり変わりがないと思います。
一般的に「IHヒーターは、安全だ。」という認識が高いようですが、使用方法を誤ると大事故に繋がってしまうのはどちらも同じです。
ガスコンロは、直火で調理するため、コンロまわりに燃え移るものを置かないことに特に注意が必要です。
IHヒーターの場合は、鍋底が平らでない鍋を使用したり、油量不足の時に安全装置が正常に働かず、短時間で発火してしまうことがあります。

④省エネ性
①でも少し触れたように、IHヒーターにくらべガスコンロは、加熱時にロスがあるため、「電気=省エネ」というイメージがあります。またガスコンロは加熱時にCO2を排出しますが、IHヒーターは排出しません。
しかし、製造過程においては、全く逆転しています。
発電は原子力、火力によりますが、その際に大量のCO2を放出します。また電気は貯蔵することができず、発電所で100%の電気が家庭に届く頃には35%までになり、65%ものロスがあります。
これに対してガスは、自然から採取されるものです。LPGなどは輸送コストがかかりますが、家庭に届くまでのロスはありません。

⑤魚焼きグリル
ガスコンロ
全てのコンロとグリルが同時に使用できます。
両面焼きグリルの場合、強火で魚を両面から同時に焼き上げることができるのでとてもおいしく調理できます。ちなみに、わが家は無水両面焼きグリル搭載の製品を使っていますが、魚を放り込んで、ボタンを押せば、自動的にキレイに焼き上がっています。
IHヒーター
ラジエントヒーター(真ん中の小さいヒーター)とグリルのスイッチは切り替え式のため、同時に使用することができません。
両面焼きグリルといっても一般的なものは上火と下火の切り替え式なので同時に両面を焼くことはできません。
しかし、ユーザーのお話しを聞くと、十分満足されている方もたくさんいらっしゃいます。
このあたりは、商品によって差があるかも知れません。

⑥コスト
ガスコンロ(ビルトインタイプ)
イニシャルコスト
→6万円~。ガラストップのもので15万円~20万円程度
ランニングコスト
→電気に比べて若干お得(?)
IHヒーター
イニシャルコスト
→20万円~30万円程度のものが一般的。
2005年9月15日発売の「National ダブル(左右IH)オールメタル」の場合、388,500円(税込)。
ランニングコスト
→通常の使用の場合はガスに比べて割高。

⑦火力調節
ガスコンロ
強火や弱火も目で確かめながら調節できるのでわかりやすく、また、点火と同時に加熱しはじめるなど、操作の応答が速い利点があります。
IHヒーター
火が見えないので、最初はとまどいますが、慣れれば問題ありません。
強火から弱火にするなど急な火力調節には不向きです。ボタンを何度も押さなければなりません。
従来のつまみをグっと押し込んで回すタイプのガスコンロでは、高齢者には不便でした。例えば、ひねるのが回しづらかったり、微妙な火加減が難しかったり、着火の確認のために、腰をかがめなければならない等の点があげられます。しかし、IHヒーターは、タッチキー操作や大型液晶表示など使いやすい工夫があります。
また、火が見えないので、加熱中かどうかがわかりづらいというユーザーの声を補う「光るリング」で加熱状態をお知らせする商品もあります。

いかがでしたでしょうか。
ガス屋さんへ行けば電気批判。電気屋さんに行けばガス批判で、その批判の激しさにうんざりしてしまった経験もあります。
カタログを見ても、それぞれ良いことしか見えて来ないので、判断がつきません。

電気が良いのか?ガスが良いのか?
その答えはありません。どちらも、日々改良し、良い商品が発表されています。
何事についても言えることですが、「自分に合ったもの」が一番良いものだと思います。
個人的にはガス派ですので、この比較内容も公平に書くことを心がけつつもガスをひいきした内容になっているかもしれません。
ただ、ひとつ言えるとするならば、長い間お使いのキッチンの場合、大抵がガスコンロを利用されていると思います。
「慣れ親しんだものを変える」という作業は、簡単なことではありません。特にIHヒーターを選ばれる際には、ショールームなどへ足を運び、実際に体験した上で納得したものを購入されることをおすすめします。
実際に調理したものを試食できるイベントも行われていますのでぜひ、ご活用ください。

最後に私が思うIHヒーターのメリットを付け加えておきましょう。
ずばり!!!
「夏の調理も快適!!!」
ガスコンロでの調理って、とても暑いですよね?
お料理しながら、(なんでこんなに汗をかかなければならないの?)って感じることありませんか?
その点、IHヒーターなら、その特性からも想像がつく通り、エアコンの快適温度を保ったままで、お料理ができるというわけです。


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