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インテリアコーディネーターのブログ。
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9月26日 塗料のあれこれ Vol.2

2005-09-26 | インテリア/建築
今年の春、自宅の外壁を塗り替えました。
新築から10年位が塗り替え時期だというのが感覚的に浸透しながらも、実際に10年経過と同時に塗り替えられるということは少なく、新築時からリフォーム用の資金計画をされていることの方が少ないのではないでしょうか。
我が家も今年で15年目になりました。外壁のクラック(ひび割れ)が気になり始め、ようやくというより、仕方なくリフォームに踏み切った。という感じです。

例えば、新婚当初や、子どもが小さいうちに新築住宅を購入された場合。
10年が経過するころには、子どもも成長し、日々の生活も忙しく、リフォームの日程を組むことができない。又は、養育費や目の前の生活に対する必要経費を考えると、とてもリフォームに充てられる予算なんてありません。

そんな最中、手を替え品を替えやって来るリフォーム業者たち・・・。
(騙されないぞ!!!)と思いながらも、(そろそろした方がいいのかしら?)(このまま放っておいて大丈夫かしら?)と不安になってしまいます。
実際のところ、どうなのでしょうか。ポストに入っている広告の価格も様々です。私たちは、何を選べば良いのでしょうか。

主に外壁仕上塗材は、次の3種類に分類することができます。

① 砂壁状仕上塗材(リシン)

砂壁状の仕上りです。仕上りはつや消し仕上げ。
表面が粗面となるため、比較的に汚れが目立ちます。明るい色味の選択には注意が必要です。

② 複層仕上げ塗材(吹付けタイル)

釉薬タイルと良く似た仕上りです。ローラータイル模様や押さえ模様などのテクスチャーバリエーションが豊富です。仕上りは艶有り仕上げが一般的ですが、艶消し仕上げも可能です。

③ 厚付仕上げ塗材(スタッコ)

リシン仕上げと吹付けタイルとの両方の特徴を持ちます。凹凸模様と押さえ模様があり、仕上りは艶消しが一般的です。
ハチセの外装仕上げ材の主流である「ハローコート(近庄化学)」や「ベルアート(エスケー化研)」の商品は、この厚付仕上げ塗材に分類され、ローラー、ガン、こて、刷毛など作業の方法により幅広い仕上りパターンの形成が可能です。
表面形状がラフなものは最も汚れが目立ちやすくなりますが、経年美という考え方からすると、それもひとつの味かも知れません。

これらは、テクスチャー上の分類になります。
また、これらにはそれぞれ機能性から次の2種に分かれます。

① 硬質タイプ
汎用的に採用され、価格が弾性タイプと比較すると安価に抑えられます。幅広い下地に対応することが可能ですが、クラックが仕上げ表面に発生しやすいことが欠点です。

② 弾性タイプ
クラックが発生しても表面に現れにくく、結果としてクラックからの水分進入を防ぐため、防水機能が高いのが特徴です。
価格は硬質タイプに比べて高く、対応不可能な下地もあります。
防水機能が高いため、一旦内部に水分が浸入すると、塗膜膨れなどの現象が発生する場合があります。

実際に仕上塗材を決定する際には「硬質リシン」、「弾性リシン」といったようにこれらの分類を組み合わせて利用します。

特に吹付けタイルのバリエーションは、主材と上塗り材に分かれます。

上塗り材は優性能・高価格の順に
 フッ素樹脂系 > シリコン樹脂系 > ウレタン樹脂系 >アクリル樹脂系
に分類されます。その耐久期間は場所(直射日光の当たるところ)などの違いによっても変わりますがおおよその目安は、シリコン樹脂系で12~15年、ウレタン樹脂系で9~11年、アクリル樹脂系で6~8年と言われています。

それでは、リシンやスタッコのようにテクスチャーを形成する材料と色相を提供する材料を兼ね備えている主材着色の塗材の塗り替え時期の目安はどれくらいなのでしょうか。
近庄化学さんに電話で質問してみました。

「弾性リシンとハローコートの塗り替え時期の目安は?」

と、いう質問に対し「おおよそ○年ですよ。」という答えを想像していたのですが、そう簡単な質問ではなかったようです。約15分間にわたり細かくご説明頂きました。

まず、立地条件(日の当たり具合、隣家との密接具合など)によって大きく変わります。また、新築当初に施工されたものなのか、それとも塗り替えにより施工されたものなのかによっても変わります。例えば最近良く使われている軽量モルタル下地に、シ-ラ-がきちんと施工されているか。全て状況によって変わります。

これら全て理想的に施工されていると想定して、弾性リシンで7年、ハローコートで10年が目安になります。
この頃が、雨だれなどの汚れの気になり始める時期で、必ずこの時期に塗り替えをしなければならない訳ではありません。

「では、モルタル下地とサイディング下地ではどちらが良いのですか?」という質問をしてみました。

まず、サイディング下地の場合、継ぎ目にコーキング材が使われます。このコーキング材にカソ材が含まれている場合があります。このカソ材は塗膜にブリード(=浮き出すこと)します。これは粘着性があるため、ここに汚れが付着します。この汚れが目立ち始めるのが、施工後2~3年後だそうです。現在では「ノンブリードタイプ」のものも出てきているので、施工の際、何を利用されているかによっても全く変わってきます。
しかし、サイディングの場合、割れの心配はありませんが、モルタルの場合クラックが入り、そこからの水の浸入により塗膜膨れなどの心配もあります。ですから、一概にどちらが良いとは言えない。と言うことです。

それでは、「弾性リシン」と「ハローコート」。一体何がどう違うのでしょうか。

リシンはJIS A 6909の「薄付け仕上塗材」に分類され、弾性と言っても実質的な性能は劣ります。その点、その塗材自体が弾性力を持つハローコートは、リシンに比べて3~4倍の弾性力があります。
しかし、ハローコートには色々なパターンがありますので、このパターンの選択により、その性能にも大きく差が出ます。
例えば、ハローコートだけで施工した場合と、寒水を加えてリシン仕上げにする場合です。要するに1㎡に対してハローコートが何kg使われているのかが重要です。

塗り替えの際には、塗材の価格も大切ですが、それに付随する足場代や手間代がかかります。長い目で見ると上質の塗材を選ぶ方が、結果的にはコストを下げることができるでしょう。また、目に見える上塗り材(仕上げ材)だけでなく、下地材や施工方法にも気を配らなければなりません。

リフォームの際には、これらを踏まえた検討が必要になります。広告上の数字だけでは判断できません。テレビやDVDなどのように、同じメーカーの同じ品番で同じ性能の商品を購入するのとは違います。これが、既製品ではない「住宅」という難しさだと思います。

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