おフランスの子育て事情・少子化対策

先進諸国の中でもトップクラスの出生率を維持しているフランスの子育ての様子、少子化対策をご紹介します。

おフランスのスキー場

2007-02-25 | 子どもの余暇

二月の中旬から3月の上旬は、おフランスの学校はまたまたお休みですが、この季節の休暇の人気のある過ごし方はスキーです。

今年のヨーロッパは暖冬で、フランスも含めてどこのスキー場でも雪がなくて困っているそうですが、一般的にはフランスはスキー場に恵まれています。スイスやイタリアとの国境近くのアルプス山脈には世界的に有名なスキーリゾートが何ヵ所もありますし、スペインとの国境周辺にはピレネー山脈もありますのでフランスのスキー (スノーボートも含めて) 人口は多いんですよ。

スキー場の質も良いのですが、スキー場についている託児所や子供用のスキー教室も充実しています。家族連れでスキーに行く人たちで、親が自分の子どもに教えている人たちももちろんいますが、自分がスキーをしたくて行く親がたくさんいますから、逆に、こういうものを揃えていないとお客さんも集まらないんですね。

日本のスキー場で、我が家の子どもをスキー教室に行かせたことがあります。丸一日のレッスンに申し込んでも、お昼どきには親が一度迎えに行ってごはんを食べさせ、また、午後のレッスン開始の時間に連れて行かなくてはならず、ずいぶんせわしい思いをした覚えがあります。

フランスで丸一日といえば、朝預けたらお昼も食べさせてくれて、午後のレッスンの終わりのお迎えの時間まで全部面倒を見てくれます。もちろん、フランスの親は「楽しい一日を過ごしてね。バイバイ。」と子どもにお別れすると、全く後ろ髪を引かれる思いなどはなくスキーをしに行ってしまいます。


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おフランスの謝恩会2

2007-02-23 | 教育制度
謝恩会のやり方ですが、当日に、それぞれ親がジュースや自分で焼いてきたケーキやお菓子等を持ち寄ります。働いているお母さんで「ケーキを焼いている時間がなかったから、」と市販のケーキを買ってくる人もいます。予定していた時間になると、みんなでそろそろ始めましょうか、と子どもの教室の机を移動させて簡単なパーティー会場にします。

子どもたちが詩の朗読など、ちょっとした出し物を準備してくれたりすることもありますし、ただ、子どもと父兄と先生が一緒にお茶を飲んで、みんなで雑談して、先生にプレゼントを渡しておしまい、ということもあります。というより、こちらの方がほとんどです。時間にしても一時間ちょっとくらいでおひらきになります。これなら、毎年あっても大丈夫ですね。

ここで私が「フランスらしいなあ、」と思うのはこのお茶会もプレゼントも完全に自由参加なのです。先生に感謝したい気持ちのある人が何かすれば良いので、半ば強制なんていうことはありません。強制しても「そんなことは強制されてするものではない。」と返事が返ってくるお国柄ですし。日本の謝恩会は全員参加で、都合が悪くて来れなくても高い会費だけは支払わなくてはならないようですし、欠席するのもとても難しいと聞きました。

フランスの学校ですと、来る気があってもたまたま用事が入ってしまって欠席という父兄もいますし、「今年の担任の先生とうちの子どもがうまくいかなかったから、プレゼントなんかあげる気はない。パーティーも参加しない。」と理由を言って断る親だっていますが、非難されることなんてありません。声をかける役員の方も、「参加しませんね、はい、わかりました。」でおしまいです。


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おフランスの謝恩会 1

2007-02-21 | 教育制度

日本では学年末が近づいてきて、そろそろ謝恩会の準備が始まっているころですね。日本の場合は謝恩会の会場も内容も豪華なので、準備も大変ですし、かかる費用もかなり親の負担が大きいものになっています。

おフランスの方はというと、まず『謝恩会』という言葉を使おうかどうしようか迷ったのですが、内容からして一応謝恩会と言えるかなというものはあります。でも、日本でするような役員が中心になって時間をかけて、会の出し物も準備をして、大きな会場を借りて、なんていうのを想像しないで下さい。入学式も卒業式も存在しない国ですから、日本のような立派な謝恩会も開催されません。

もっと正確に言うとお茶会みたいなものです。学校が半日の土曜日のお昼どきなどが多いのですが、各クラスの役員が中心になって先生の都合に合わせて日時を決めます。幼稚園から小学校の最終学年まで、どの学年でも年度の終わりには各クラス単位で開かれます。卒園、卒業年の学年だけが開催するものではありません。日本の場合、毎年、学年末に謝恩会があったら父兄は悲鳴をあげてしまいますね。

役員はあらかじめ父兄からカンパを募り、何かプレゼントすることがよくあります。カンパの額は人それぞれ、出したい人が出したいだけで決めます。プレゼントの中身だって先生に直接「何が欲しい?」とはっきり聞いてしまうことも珍しくありません。その場合、先生も「いや、お気持ちだけでありがたい。」なんて建前をいわず、「じゃあ、これがいい。」と返事してくれます。「不要なもの、気に入らないものをもらうよりは、はっきりと欲しいものを言った方が、」という日本には無い合理的な考え方でしょうか。


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おフランスの学芸会

2007-02-18 | 教育制度

日本の学校では、現在でも学芸会は学校行事として続いているのでしょうか?
おフランスでは、現在でも幼稚園や小学校では、日本の学芸会に該当するものがあり、学年度末にあたる五月末か六月はじめ頃に開催されます。

フランスの学校の場合、練習時間が少ないから学芸会の出来も日本のレベルと比較したりすれば(比較しなくても)はっきり言ってへたくそです。台詞を忘れたり、間違えたり。出し物と出し物のあいだで出演者がうまく入れ替われなくてバタバタしたりなんてことは頻繁にあります。舞台の上から自分の親を見つけて喜んで手を振る子だっています。でも、ご愛嬌。それで済んでしまうのです。自分の子が出演しているのを親はニコニコとして見ています。下手でも失敗してもかわいいし、笑ってしまうのです。

子どもの学芸会なのだから、プロの仕事をお金を払って見に来たのではありません。練習させる先生も、見に行く親たちも完璧なレベルの出来上がりを目指してもいないし、期待してもいません。子どもが失敗しても、先生も親もあとからしかったりしません。

会の中途の休憩時間か終わりに、飲み物とケーキの販売があります。飲み物はもちろん業者から仕入れたものですが、ケーキは父兄が家庭で作って持ってきたものを販売します。この売り上げはバザーと同じで学校の活動資金になります。毎回、飲み物とケーキを販売しているのは子どもたちの先生でした。校長先生までケーキの売り子さんをしていました。先生方は慣れていないのでとても手際が悪くて時間がかかるのですが、父兄のほうもおとなしく並んで待っています。

一般のお店でちょっと時間がかかったり接待が悪かったりするとすぐに文句を言い始め、簡単に喧嘩になるフランス人にしては、おとなしく待っているのはすごく珍しいことです。学校の学芸会やバザーで販売している人たちがその仕事でお金をもらっているプロではないこと、学校の資金集めのために厚意で協力していることがわかっているので非難は出ないのです。


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おフランスのバレンタインデー

2007-02-14 | その他
バレンタインさんは古代ローマ時代のキリスト教の僧侶で、恋人を作ったり結婚するのを禁じられていた兵隊たちの秘密の恋を擁護したために、死刑に処せられた人のようです。

欧米ではどちらかというと「愛を祝って、いろいろな人に愛情表現する日」なので、男女の仲に限らず、親子、家族間、友人等でもカードやお花を贈り合ったりもします。もちろん「ラブラブ」な方の参加もたくさんありますが。

「女性からチョコレートを贈って愛を告白して」というのは日本独自で、チョコレートのメーカーが仕掛けたのではないか、と巷の噂ですが、私はそこのところの真相は知りません。「義理チョコ」という日本ならではの習慣もできてしまいましたが、なかなかできない「告白」を思い切って、と利用できる機会があるのも悪くないですよね。

バレンタインのお祝いが盛んになったのは、おフランスでも最近のことです。十年くらい前なら「何それ?」という人だって、案外たくさんいたと思います。ハロウィーンなども同じですが、もともと存在しなかった習慣をせっせと盛り上げるのは、だいたいが経済効果を狙ったものが多いですね。これにかこつけて、花束、ワイン、カード、アクセサリー… 売れる物はたくさんありますから。

おフランスはもともと普段からの愛情表現が頻繁に行われる文化ですから、日本で急に同じことを言ったら、言った方も言われた方も赤面するようなことを簡単に言い合います。

「シェリー (いとしい人)」
「モン アムール(愛する人)」
「モン プチ プサン (私のひよこちゃん)」
「マ ビッシュ(私の小鹿ちゃん)」
「モン クール(私のハート)」

これらの表現は親が子どもに対してもとてもよく使う言葉です。
せっかくの聖バレンタインデーです。子どもにすてきな呼び名を見つけて呼びかけてみてはいかがでしょう。案外喜んでくれますよ。


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おフランスの産休中の給与保障

2007-02-11 | 法的制度

「長い産休をしっかりとってもクビにならないよ。」と言われても、生活費が保証されなくては、ほとんどの人が働く方を選ぶことになってしまいますね。

前回の記事で、「フランスでは子育て支援に関して特に表彰される企業がないのは、みんなが同じようにしているから。」と書きましたが、産休や育休を取っている間、給与保障をしているのは雇用主ではありません。

育児支援の前向きな姿勢の雇用主は給与保障をするし、無関心なところでは無給で産休を取る、では従業員側も困ってしまいますし、また、雇用主側だって出産年齢の女性従業員が多くて、みんなが次から次へと産休に入ってしまったらしまいには給与保障も続けられなくなる、なんていう状況にもなってしまいかねません。親切心だけではなんにでも限界がありますね。

産休中の給与保障は社会保険からされます。職種によっては、組合の規定で雇用主も追加の手当てを払わなくてはならない、という場合もありますが、この場合にはその職種で女性を雇う場合には雇用主ははじめから、その可能性も覚悟しておくとこということです。

保障金額の計算方法は給与所得者か、フリーランスか、小売業や農業か等によって異なりますが、残念ながらどの職種であっても上限があります。高所得者ほど普段の給与と産休中の保障額との間に差ができるわけです。大変な赤字財政状態の社会保険からすれば当然の措置かもしれません。

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おフランスの産休 取得対象となるのは?

2007-02-10 | 法的制度

日本では少子化対策のために、子育て支援を積極的に行っている企業や自治体を表彰したり、マスコミが特別に取り上げたりしていますが、おフランスではこれはほとんど聞いたことがありません。といっても子育て支援をしていないからではありません。

労働法等で細かく規定された子育て支援内容が、全雇用主、全従業員に適用されるからです。その最低限とされた規定内容はなかなかのものです。これに加えて雇用主や職種別に特別手当をつけることもありますが、それが無くても不満は出ないほどに充実した内容と言えます。みんながしているので、特別に表彰されたり、話題にあがったりしないのです。雇用者側はそれを守らないとすぐに訴えられて、逆にニュースになるかもしれません。

日本のように、どこかの良心的な企業が個別に支援をするのはとてもありがたいことですが、これでは極く一部の人たちしかその恩恵を受けられません。その企業に働いていない人たちはがまん、自分で何とかしろ、ではみんなが安心して子育てできる環境ではありませんね。

おフランスの産休の日数の長さや、職場に気兼ねなくしっかり取る環境、休暇中の収入の保障等、そのしっかりとした内容には感心させられますが、さらに私がすごいなと驚いたのは、農業、自営業、フリーランス等、日本では理由は何であれ、本人が働かなければ即、収入がストップしてしまうような職種の人たちにも産休とそのための手当てが存在することです。

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おフランスの産休とヴァカンス

2007-02-08 | 法的制度
フランス人は生活費を稼ぐために働いているのか、ヴァカンスを取るために働いているのか、どちらなのかよくわからない人が多いのですが、とにかくヴァカンスというのは「取る必要があって、取らなくてはならない。」とみんなまじめな顔で言います。

一日でも半日でも有給休暇は多く欲しがりますし、その日数の算出の仕方も労働法で詳しく規定されています。ただでさえ労働時間が短くて、他の国よりもたっぷりとヴァカンスを取るのに、この有給休暇日数はあの長い産休を取っても左右されないからすごいと思います。

簡単に言うと、有給休暇日数は一ヶ月働くと2.5日の休暇が取れることになっています。2.5日が12ヶ月分で一年に30日の有給休暇になりますね。休暇取得の時期と休暇を使える時期にズレがあるので、いくらおフランスでも新しく会社に就職して、その翌月から早速2.5日取りますというわけにはいきませんが、ヴァカンス以外にも病気・怪我、忌引き、職業訓練の研修などなど、有給になるものはたくさんあります。

有給休暇の取得日数を数える基本となる稼働日には産休、労災による病気や怪我の欠勤 (労災ではない病欠や怪我は対象外です)、忌引き等の欠勤日も含まれます。理由は何であれ長期欠席をしたあとで職場に戻ると、日本人なら周囲に遠慮して「あんなに休んだあとで、すぐまたヴァカンス休暇なんてとても申請できない。」と考えそうなところですが、フランス人はそんなことお構いなしです。

もっとも、長い産休をとっても取得できる有給休暇の日数に影響は出ませんが、一応フランスでも、職場の同僚たちと休暇をとる時期を調整しなくてはならないということはあります。

「産休が終わって職場に出てみたら自分が休暇を取りたい時期にすでに同僚が休みを取ってしまっているので、取りたいときに取れなかったのよ。」
なんて不平をいうのは日本人から見たら羨ましい限りですよね。

2月1日はおフランスではクレープの日

2007-02-07 | その他
日本では二月の行事は節分でしょうか。
小さい子どもと大きな声を張り上げて「鬼はぁーそとぉー… 」と豆まきするのも楽しいですよね。ストレス発散にもなるかもしれないし。

おフランスは二月一日前後には昔からクレープを焼く家庭が多いのですが、この日にクレープを焼くこと自体には、宗教的な意味はないようです。
「じゃあ、どうしてこの日に焼くの? 」
というと、昔はこの季節にそろそろ、ニワトリがたまごを産み始めるからなのだそうです。今ではスーパーに行けば、卵は一年中いつでも安い値段で買えますが、昔は卵にも季節があったのですね。

クレープはフランスでは子どもが大好きなおやつですから、一年を通していろいろな機会に作るものですが、それでも二月一日にクレープを焼くのは季節感を持たせる食育のひとつですね。

ところで、焼いて食べることに宗教的な意味は無くても、クレープの焼き方のほうには迷信じみた運試しのようなものがあります。そのやり方は地方によっても違いはあるようです。私が聞いたやり方では、クレープを焼いて裏面にひっくり返すときに空中にポンと投げて返すことが多いのですが、このときにフライパンを握る手の中にコインを持って上手くクルリとできたら今年は運が良い年、とか。最初の一枚目はひっくり返すときに幸運を祈りながら高く放り投げて食器棚の上に着陸させ、一年間そのまま放っておく、というのもありました。

何か、もとになった逸話があるのでしょうね。

おフランスの産休 問題が起きたときは?

2007-02-06 | 法的制度
我が家の末っ子は私がフランスでフルタイムで働いている時に生まれたのですが、妊娠中から問題があって産休に入る前の夏のヴァカンスの最中にドクターストップがかかり、これに法定の産休を取ったので、約九ヶ月の休みとなりました。

4週間のヴァカンスに病欠が4週、三人目なので法定産休が26週で計34週です。産後に職場復帰して出勤したら、「あれ、まだここにいたの? 辞めたのかと思った。」と、同僚から言われてしまいました。確かに忘れられるほど長い産休です。

万が一、母親が出産後に死亡した場合には、休暇の日数、給与などに関して、父親が全く同じ条件の産休を取ることができます。

出産後に赤ちゃんが長期入院してしまって、その入院期間が6週間を超える時には赤ちゃんが退院してきた時点で産休を取り直す、ということも可能です。産休は母体の休息のみのためではなく、赤ちゃんのためでもあるのです。家族が一人増えるということはそれなりの準備も必要なら、一定の適応の期間も必要だからです。

フランスでは養子をとることも珍しくなく、アメリカや欧州の他の国々同様に、明るく「養子を取りました。」と公言しますが、この養子のときにも産休は認められています。