ファーマー・スタジオ「革&ものづくり工房」の日々

人の暮らしに寄り添うものづくりを。
小さな工房で革を中心に体験教室や様々なものづくりをしています。

ファーマー・スタジオ休止のお知らせ

2020-11-20 10:24:20 | お知らせ
ご無沙汰しました。
15年にわたり活動してきた「ファーマー・スタジオ」ですが、年内をもちましてほぼほぼ活動を停止することになりました。
ほぼほぼ、というのは一部の活動のみ継続する部分があるからです。
奈良教室の一部と大阪での「フェニックス教室」、遠方(主に関東方面)でのワークショップに関しては今後も活動を続けていきます。
2007年に始めたファーマー・スタジオの活動ですが優秀な生徒も輩出し一定の成果を収めたと感じています。

私は「ものづくり」という括りで沢山の活動をして来ました。
その中で最もこだわり、ライフワークと感じているのは「デザイン」です。
「デザイン」という言葉には「指し示す」という意味があります。
貴方の職業は何ですか?と問われれば迷いなく「デザイナー」だと答えます。
革の仕事は「寄り道」だったと言えば言葉が軽すぎます。
15年間という時間はそんな軽い言葉で片付けられるような期間ではありませんでした。
しかしそれ以前に25年間人生の一部であった「デザイナー」としての活動はそれ以上の意味があります。

デザイナー時代に欠けていたものが「ものづくりの現場」と「お客様の顔を見ること」でした。
デザインはほとんどを頭の中と紙の上で行います。
だから出来上がったものがお客様にとってどんな価値を持っているのかを自分の目で確かめる事が出来ません。
「革の縫製」「革カバン」を作る事はそれを実感として感じるために必要な事でした。
そしてもう一つの事業である「ちてはこ菓子店」でのタルト作りもまたお客様に直接届けることの出来るものです。
以前のデザイナーは結果や数字にほとんど責任を持たずに仕事をしていました。
しかし現在のデザイナーは自分がデザインした商品やプロモーションに対して責任を持たなくてはなりません。

この15年間はそれを確かめるための年月でもありました。
自分がデザインしたものが本当に力があって効果があるのかどうか、については
自分自身がデザインしたものを商品として扱い、事業として成功するのかどうかを確かめる必要がありました。
8年間の苦難の後、ここ三年間「革縫製」を縮小しながら自分が行っている商品やプロモーションに本気で取り組む期間を作りました。
しょっぱなにくも膜下出血で倒れるというハプニングがありましたが
それも決断を強くするきっかけになりました。
「ちてはこ菓子店」というプロジェクトは幸いここ数年で大きく育ち始めました。
自信を持って業績を公開する、というにはまだ少し早いかもしれませんが
これから2年間の間にそういう状態に持っていければ良いと思っています。

これから私が始める事は「コンサルティング」という分野に含まれるのだと思うのですが、
私はこの「コンサル」という言葉が大嫌いなので(笑)。
デザイナー時代に「コンサル」という名前でクリエイターを道具のように扱い
自分自身は何の責任も取らない人たちを沢山見てきたからだと思います。
特に中小企業の方達はこれからしばらくは苦境に喘ぐのに違いないのに、
金銭だけ要求して成果を残さないデザインコンサルティングなど必要ないと思っています。
そしてコンサルティングにこれから求められるのは「経営を苦境から救う力」であって
そのためには「デザイン」というエリアだけでなく「財務」や「支援」「ネットワーク」「ビジネスマッチング」など
様々な手法で事業者を引き上げながら、次の飛躍のために「デザイン」を活用する、そういう活動が必要で、
デザイナーはデザインの能力だけでなくそのための知識と経験を必要とすることになると思います。

私がこの三年間行ってきた事は当事者としてそれを実践する期間であったように思います。
まだこの先も実践し続ける必要がありますが、その一部でも社会に還元したいと思っています。

「デザイン」の話が別の方向に進んでいるように思われるかもしれません。

最初に述べたように「デザイン」には「指し示す」という意味が含まれています。
企業が見失っている進むべき道に導くためのお手伝いが出来ればと考えています。
ファーマー・スタジオのファーマーは「Father's Hand & Mother's Heart 」の略。
「父の手と母の心」。つまり生まれた赤ん坊を導く人たち。
最初から気持ちは何ら変わってはいません。

新しい会社(?)の名前は Lifs Garden(Life Style Garden)。
「ちてはこ菓子店」と「リフスガーデン・デザイン」はその事業部ということになります。
そして取り組むプロジェクトの名前は Sefy Project(Seed on Field Project)「大地の小さな種」。
その小さな種を育てるためのプロジェクトを始めます。

間も無く新しいブログを開くことになります。
しばらくはこのブログは開示しますが、数ヶ月後には閉じることになります。
よろしくお願いします。

長らく申し訳ありませんでした。

2020-09-02 14:36:50 | ビジネスに対する考察
ファーマー・スタジオのブログを長く放置して申し訳ありませんでした。
今年からコロナが蔓延していますが、それとは関係なくファーマー・スタジオの在り方について
ずいぶん長く考えてきました。
革カバンを作ること、職人という存在、そしてコロナ後の社会の変化。

コロナが革業界にマイナスに働くとは考えてはいません。

むしろ時間はかかるけれども「職人」という存在の大切さは再確認され始めるのではないかと考えています。
今回のファーマー・スタジオのあり方に対する考えは自分自身、つまり私の生き方に起因しています。

私は以前から書いているようにデザイナーに長く就いていました。
デザイナーから革職人への転職は「うつ病」の発症や業界のモラルの悪化などいくつかの要因の結果でした。

教室が拡大し生徒数が50名を超える頃から、自分の立ち位置を疑問に思うことが多くなりました。
生徒からの要望が増えるたびに教室の中でがんじがらめになり思っている方向とは
違う方向に進まなくてはならなくなっている自分に気づいていました。

生徒の人数には関係なく、彼らの未来や方向性に対する責任は重く、
プロを輩出出来る教室のあり方を続ける限りそこからは逃れられないことを自覚していました。

私は自分のことを良く「種を蒔く人」と呼んで位置付けてきました。
それは今でも変わっていません。

現実に私のような未熟な講師であっても、私の教室からは数名のプロを輩出しています。
それは「プロ」と「アマチュア」の差は技術などではなく、
ものづくりに対する意識の違いだという信念に共感できた生徒たちが存在したからだと思っています。

技術はその意識の下で本人が育て上げるものだと思っています。

最近よくデザインのことを考えます。
それは望郷のように懐かしい感覚ではなく、もっと奥底から湧きあがる情熱に近いものです。

この15年の間に歳を取り、命に関わるような病気も経験しましたが、まだ生かされている自分自身と
この新しい情熱に対して、諦めず、前を向き、立ち向かうことが自分の使命のように感じ始めています。

「革」とか「鞄」という枠に囚われず、
もっと大きなフィールドで「種を撒き」育てなくてはならない。
そんな気がしています。

これまでの経験が役に立ち、また役に立たないかもしれない、という覚悟をして
踏み出すべきだと心の中で叫んでいます。

「革や鞄」を捨てるのではなく、それらを全て包括して、目の前の荒野に種を蒔く。
花が咲くのか実がなるのか分からないけれど、自分自身がそうだったように
小さな種から小さな芽が出るのを見てみたいと感じています。

活力に溢れ体力もあった30代の頃と同じように踏み出す自分にワクワクしています。
燃え尽きる直前のロウソクは明るく輝くと言いますが、
私のロウソクはこの三年間で知恵と経験を蓄えてゆっくりと消えることなくまだ燃えています。

いろんなことにチャレンジし、経験をさせていただき、様々な人に迷惑をかけ、
それでも我がままを押し通させていただいてきたことに感謝します。

恩を返すことができるかなんてわかりませんが、
もう一度我がままをさせていただきたいと思います。
大地に水をまき、光を注ぎ、種を落とすことをお許し下さい。
これが私の我がままです。

運があればまたお目にかかれるかも知れません。

まずは、最初の花を咲かせようとしています。

この花があなたの目に届きますように。

あけましておめでとうございます。

2020-01-10 17:12:59 | 日記
新年の挨拶が遅くなりました。

みなさん、あけましておめでとうございます。

2019年10月をもちまして森ノ宮の大阪教室は閉講いたしました。

報告が遅れまして申し訳ありません。

引き続き不定期ですが大阪難波にある「フェニックス(https://l-phoenix.shop-pro.jp/)」3階のフリールームにて教室を開催しております。

詳しくはお問い合わせ下さい。(fahmoh@lake.ocn.ne.jp)

さて長らくブログを休止しておりました。

その間に俯瞰の視点で革業界や自分の今後について見つめ直しておりました。

(奈良教室は変わりなく営業しています)

革業界だけでなく全ての製造業において苦難の時代となりました、

ただし見方を変えればそう悪いことばかりでもないと感じています。

新しい年2020年(令和元年)を迎えて、次のステップへの模索をはじめています。

これまで行ってきたような革縫い教室は乱立の時代となりましたが

今後は過度競争となって幾つもの教室が閉鎖に追い込まれるものと思います。

アマチュアが商品(?)を作りアマチュアとプロのボーダーのないマーケットで販売競争をする時代となりました。

しかしそれも商品の供給過多によって値崩れを起こしつつあります。

誰でも出来る事の中で戦うという事は別の意味で言えば技術の喪失や職能の消失を意味します。

ものごとを深く理解した上で「ものづくり」を維持し、継続してゆくということは、

「人(ユーザー)が望むモノやサービスを提供するための考え方」そのものを提供する仕事を作ってゆくという事ではないかと考えています。

たとえば諸外国の製品が流入した場合やその逆、自分達の製品を諸外国で販売するときに

日本という国が培って育て、戦うための武器となるものは「考え方の構築力」つまりいわゆる「ソフト」にあたる部分。

デザイン、プランニング力、ブランド力などの力だと考えます。

今後はこれらを核としたビジネスモデルの構築を考えています。

それはITやプログラムなどのデジタルの話ではありません。

これから必要な職能は今言ったデジタルに関する能力かも知れませんが、

そのデジタルに至る以前の「考える力」が出発点となって様々な事業を起こしていく能力が問われる時代となるのだと理解しています。

日本はバブルの崩壊以後、これらの能力を急速に失っていきました。

私がデザインを志していた時代にはまだこれらが煌めくように溢れていました。

バブル時代に人は「驕り」、バブルの崩壊が「気力の喪失」を産んで人は「考え生み出す」力を失ってしまったのだと思います。

現在はまだどのようなビジネスモデルを生み出してゆくか模索中です。

小さな案件から手がけてゆきたいと思います。

「結果」を出せなければ仕事は育たない事をよく知っています。

これからコツコツなんて言うつもりはありません。

来年還暦を迎える人間にはコツコツなんてしている暇はないのです。

まずは踏み出す。

いつも言っている通りの事をはじめるだけです。

今日より明日。明日より明後日。

まずは踏み出す。

ワークショップ中止のお知らせ

2019-11-08 15:28:58 | お知らせ
23日と24日の二日間のワークショップはキャンセルになりました。
お声がけしたのに申し訳ありません。
こちらの準備不足と募集をはじめた時期が遅かったなど
いろいろ考えた結果キャンセルにしたほうがご迷惑をかけずに済むだろうと判断しました。
ご連絡が遅くなり申し訳ありませんでした。

来春に仕切り直しますのでよろしくお願いします。

ファーマー・スタジオ岩井

追伸/23日に東京にはおります。
   24日は家内が日比谷にあるToday's Specialというお店の中で出店させていただきます。
   お菓子類(タルト)の販売になります。時間があればお越しください。
https://www.todaysspecial.jp/event/4785/

2019年ファーマー・スタジオ生徒作品展開催/9月15日〜23日

2019-09-01 09:57:10 | ビジネスに対する考察
2019年9月15日(土)〜23日(月)ファーマー・スタジオの生徒による作品展が開催されます。

「第11回ファーマー・スタジオ生徒作品展」

今年も力作が揃いました。

生徒の経験年数もベテランが増え、新人さんたちも刺激を受けて頑張っています。



開催期間/2019年9月15日(土)〜23日(月)(17日(火)のみ休み)

場所/ちてはこカフェ(菓子店) 奈良市法蓮町1232 1F

※期間中2F教室の見学も出来ます(開講日 火曜・木曜・日曜)

※販売もあります。(生徒の作品、卒業生も参加)

みなさんお誘い合わせの上ご来場下さい。




もう少しで完成です/ボストン型リュック

2019-08-23 21:28:38 | 生徒さんの作品
生徒さんの作品が完成に近づきました。

まだ肩ベルトが完成していませんが

本体はほぼ完成しました。




四角いボストンタイプのリュックです。

大きくて大容量のリュックになります。

旅行などにも重宝しそうです。

背中側の部分にはクッション材を縫いこんで当たりを良くしています。

内側も豚革を貼り込んだ贅沢な作りです。

ミシンでの縫製ですが、少しづつ上達してきました。

ここからは数をこなして慣れていって下さいね。

生徒さんの作品/ペン先ホルダー

2019-08-23 21:17:21 | 生徒さんの作品
生徒さんの作品が完成しました。



開くとこんな感じ。



右側に並んでいるのはペン先を入れておくためのホルダー。

ペンと言っても通常のものではなく

製図や漫画などを書くのに使うペン先を交換できるインクに浸して書くタイプのペン。

このようなペンはペン先のタイプが「カブラペン」「Gペン」「丸ペン」など様々なタイプに交換するため

交換用のペン先を常備しておく必要があります。

またペン軸にも様々な種類がありそれらも保管する必要があります。

インクも製図用のものからペン画用のカラーインクなど、

ヨーロッパ製のインクなどは美しい発色の様々なインクがあり、

さらにインクの入ったボトルも美しいものが多く、

ペン先同様コレクションの対象にもなります。

一つのことを追求すると身の回りのものにまでこだわりが出てくるものですね。

インテックス大阪/ロハスフェスタ南港1

2019-08-18 09:43:35 | 日記
遅ればせながら先日行われたロハスフェスタのご報告。

今回は教室OBの方2名と合同出展でOBの方は商品販売でしたが、

私はワークショップ(体験教室)での出展となりました。





体験教室では

●ミニポシェット
●ペンケース
●ブックカバー

の三点を用意。
どれもが約30分で完成するように考えてあります。

開始早々お子様連れのお客様たちがやってきました。

ポシェットは「かわいい」と好評。

「おじさんですけど女子力高いんです」とウケを狙っておいて
「実は子供でも作れるんですよ」
と振ると、やっぱり子供たちが作りたいと群がってきました。

で、出来上がるとやっぱり「かわいい」。





続いて「ブックカバー」を目当てのお母様方が。

どうも他のブースで売っているブックカバーが高すぎるらしい。





一日目はキャメルのポシェットが売り切れ、
続いてブックカバーも売り切れ。

二日目はブックカバーを少しだけ足して、残りペンケースのみとなりました。




こちらも好評で何とか売り上げを確保しました。

こういう大型のマーケット出展は2度目になりますが、

私のようにワークショップ出展の場合スペースを必要とするので
出展料がどうしても高くなります。

物販の場合でも出展料に見合うだけの売り上げを確保できるかどうか難しいですね。

ほとんどの出展者は知り合いに声をかけて集客しているようですが
言ってみれば「サロン」を屋外で開催しているのに近いのでしょうか?

実力だけで売り上げが上がるものでもなく、
なんども開催すればするほど集客が難しくなるでしょうね。
出展先それぞれに顧客のコミュニティが必要になってくると思います。

顧客単価もマーケットの市場に合わせると高くは出来ず
そうなれば全体としての商品の質も下がってしまうと思います。

この中からいろんな要素が絡み合ってカリスマ的なスタープレイヤーが生まれれば
その人のところにだけ人が集まるようになる可能性はありますね。


ロハスフェスタ南港/インテックス大阪に出展しています。

2019-08-11 06:01:02 | お知らせ
本日8月11日と12日の2日間、

大阪南港のインテックス大阪でのロハスフェスタに「ファーマー・スタジオ」にて出展しています。

私はワークショップ3種。

他にも元生徒が2名共同出展しています(販売)。




ミニポシェット


ブックカバー


ペンケース

ぜひ見に来てくださいね。

2号館Dゲート 083ブースにて出展。

生徒さんの作品/大型横型外縫いリュック

2019-07-23 22:47:39 | 生徒さんの作品
ビジネスバッグに肩ベルトを装着してリュックにしました。

かなり大きなカバンになりました。




横型のカバンに関しては横幅を38cm〜42cm程度を推奨しています。

なぜなら、それより大きくなると電車の中などで膝の上に置いた時に

隣の方に当たってしまう可能性があるからです。

皆さんA4のサイズはご存知でしょうか?

長いほうが297mm、短いほうが210mmです。

これをB4サイズのファイルに入れるとすると

ファイルのサイズは長いほうは364mm、短いほうが257mmとなります。

多少の誤差があるとしても

カバンのサイズは380mmと300mmあればファイルが入ることになります。

厚みに関してはお弁当箱が入るサイズ、つまり奥行き100mm程度あれば

大抵の荷物は入ることになります。

もちろん人によって持ち物が違うでしょうから

その人によって必要なカバンのサイズは違っています。

でも最低限の知識としてカバンを作るにはカバンに入れるもののサイズは知っておくべきだと思います。