2006年10月23日
鹿児島地裁で、旧知事公舎跡地の購入後に産業廃棄物や墓石などが大量に埋まっていたことが露見したとして、土地購入者が県に対して損害賠償を請求した訴訟の判決がありました。判決では、契約書にある売主の瑕疵担保責任の免責特約を理由に、原告の請求を棄却しています。
以前にも書いたとおり、最終処分場が廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)によって位置づけられたのは1976年の同法改正によってです。したがって、それ以前は、自分の敷地に廃棄物を埋めるような処分がなされており、そうした土地は全国至るところにあると考えられています。今回の事件もまさにその具現化であるといえるでしょう。
市街地の土壌汚染に対しては、2002年5月に『土壌の特定有害物質(鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質(放射性物質を除く。)であって、それが土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるもの)による汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護すること』を目的とした土壌汚染対策法が制定されています。
土壌汚染対策法で調査・汚染の除去の対象となるのは、水質汚濁防止法の特定施設の使用の廃止時及び土壌汚染により人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるとき、であるため、上記のような場合は射程に入っていないことになります。また、土壌汚染対策法では、調査・汚染の除去は土地の所有者(占有者)、汚染原因者とされており、行政による代執行的な措置は規定されておりません。
一方、廃棄物処理法による場合(不適正処理、不法投棄があった場合)には、生活環境の保全上の支障の除去として(人の健康被害よりも広い範囲)の措置命令が可能ですが、不法投棄者等(不法投棄者が無資力な場合、委託基準・マニフェスト義務違反等があった場合、適正な価格を支払っていない場合の排出事業者を含む)が判明している必要があります(不明の場合は行政が実施)。また、前述の通り1976年改正以前であれば、『この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による』とされているため、遡及しません。
土地は環境問題のなかでも特別な位置づけにあると言えます。その最大の理由は、大気や水と異なり、所有権等の私権の対象であることにあります。それゆえ、予防策まで踏み込めず、事後の対策を中心とした法政策がとられているのが現状です。
【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【行政情報ウオッチング】
環境省
平成19年度環境技術実証モデル事業山岳トイレ技術分野における実証機関の応募の受付開始について
環境技術実証モデル事業検討会 山岳トイレし尿処理技術ワーキンググループ会合(平成18年度第2回)の開催について
国土交通省
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則等の一部を改正する省令案について
10月24日よりエコロード・キャンペーンを実施します~京都議定書のCO2削減目標達成のために~
【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【ISO14001】
◆「環境法令管理室」に「10月16日から10月22日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2006.10.22
◆「環境法令管理室」に「10月16日から10月22日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2006.10.22

鹿児島地裁で、旧知事公舎跡地の購入後に産業廃棄物や墓石などが大量に埋まっていたことが露見したとして、土地購入者が県に対して損害賠償を請求した訴訟の判決がありました。判決では、契約書にある売主の瑕疵担保責任の免責特約を理由に、原告の請求を棄却しています。
以前にも書いたとおり、最終処分場が廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)によって位置づけられたのは1976年の同法改正によってです。したがって、それ以前は、自分の敷地に廃棄物を埋めるような処分がなされており、そうした土地は全国至るところにあると考えられています。今回の事件もまさにその具現化であるといえるでしょう。
市街地の土壌汚染に対しては、2002年5月に『土壌の特定有害物質(鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質(放射性物質を除く。)であって、それが土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるもの)による汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護すること』を目的とした土壌汚染対策法が制定されています。
土壌汚染対策法で調査・汚染の除去の対象となるのは、水質汚濁防止法の特定施設の使用の廃止時及び土壌汚染により人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるとき、であるため、上記のような場合は射程に入っていないことになります。また、土壌汚染対策法では、調査・汚染の除去は土地の所有者(占有者)、汚染原因者とされており、行政による代執行的な措置は規定されておりません。
一方、廃棄物処理法による場合(不適正処理、不法投棄があった場合)には、生活環境の保全上の支障の除去として(人の健康被害よりも広い範囲)の措置命令が可能ですが、不法投棄者等(不法投棄者が無資力な場合、委託基準・マニフェスト義務違反等があった場合、適正な価格を支払っていない場合の排出事業者を含む)が判明している必要があります(不明の場合は行政が実施)。また、前述の通り1976年改正以前であれば、『この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による』とされているため、遡及しません。
土地は環境問題のなかでも特別な位置づけにあると言えます。その最大の理由は、大気や水と異なり、所有権等の私権の対象であることにあります。それゆえ、予防策まで踏み込めず、事後の対策を中心とした法政策がとられているのが現状です。
【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【行政情報ウオッチング】
環境省
平成19年度環境技術実証モデル事業山岳トイレ技術分野における実証機関の応募の受付開始について
環境技術実証モデル事業検討会 山岳トイレし尿処理技術ワーキンググループ会合(平成18年度第2回)の開催について
国土交通省
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則等の一部を改正する省令案について
10月24日よりエコロード・キャンペーンを実施します~京都議定書のCO2削減目標達成のために~
【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【ISO14001】
◆「環境法令管理室」に「10月16日から10月22日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2006.10.22
◆「環境法令管理室」に「10月16日から10月22日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2006.10.22