環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

家電リサイクル法と廃棄物処理法の関係

2006-11-13 07:41:57 | リデュース・リユース・リサイクル
2006年11月13日 
 『某県某市の一般廃棄物処理業者が、地域の消費者から有料で引き取った冷蔵庫やテレビを、廃棄物処理法で定められた処理をせずに処分していたことが分かった。地域ぐるみで小売店やリサイクル義務のあるメーカーを通さないこうした処理を推進、市も黙認していた。環境省や県は、同法違反と指摘する。』とのニュースがありました(自治体名は伏せました)。
 廃家電の扱いと廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)との関係について、整理をしてみます。

1.ニュース内容の整理
 上記のニュース記事ですが、文面を読む限り廃棄物処理法違反ではなく、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に反する行為であると思います。家電リサイクル法では、廃棄物となった冷蔵庫・テレビ・洗濯機・エアコンについて、小売業者・指定法人・市町村の引取・引渡義務が定められています。
 また、消費者は、『特定家庭用機器をなるべく長期間使用することにより、特定家庭用機器廃棄物の排出を抑制するよう努めるとともに、特定家庭用機器廃棄物を排出する場合にあっては、当該特定家庭用機器廃棄物の再商品化等が確実に実施されるよう、特定家庭用機器廃棄物の収集若しくは運搬をする者又は再商品化等をする者に適切に引き渡し、その求めに応じ料金の支払に応じることにより、これらの者がこの法律の目的を達成するために行う措置に協力(第6条)』することが義務付けられています。
 そして、上記廃家電が排出されてから再商品化等される過程は、特定家庭用機器廃棄物管理票(第43条、第44条)によって管理されることとされています。
 したがって、消費者が排出した廃冷蔵庫や廃テレビを引取義務のある小売店やメーカーを通さないで処分する行為は、家電リサイクル法のリサイクルルートを逸脱した行為であるといえます。

2.廃棄物でない場合 ただし、売却価格<運送費等=廃棄物
 家電リサイクル法は、あくまで廃棄物となった冷蔵庫・テレビ・洗濯機・エアコンについてのリサイクル方法を定めた法律ですので、たとえば有価物としてリサイクルショップ等に売り渡す場合には適用されません。
 ここで問題となるのが、中古品等としてリサイクルショップ等へ売却するケースです。再使用可能なものを再使用するために売買すること自体には問題はありません。しかし、売却価格より運送費等の費用のほうが高く、結果として売り手側がマイナスとなる場合には、廃棄物と判定されることになりますので注意が必要です(平成3年10月18日衛産第50号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課産業廃棄物対策室長通知、平成17年3月25日環廃産発第050325002号環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長通知)。つまり、売却価格<運送費等の場合は、中古品ではなく廃棄物であるため、家電リサイクル法上の正式ルートへ乗せる必要が生じる、ということになります。

3.廃家電の収集運搬
 なお、廃棄物となった廃家電の収集運搬については、『小売業者又は指定法人若しくは指定法人の委託を受けて特定家庭用機器廃棄物の収集若しくは運搬を業として行う者は、廃棄物処理法第7条第1項又は第14条第1項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、特定家庭用機器廃棄物の収集又は運搬(第9条の規定による引取り若しくは第10条の規定による引渡し又は第33条第3号に掲げる業務に係るものに限る。)を業として行うことができる(第49条)』とされ、廃棄物処理法の特定規定が設けられています。ただし、その場合であっても廃棄物処理法に規定されている基準にしたがって処理にあたることが求められています。

【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
環境省
本年度の「COOL BIZ」の成果について
平成18年度環境技術実証モデル事業検討会山岳トイレし尿処理技術ワーキンググループ会合(第2回)議事要旨
第10回環境コミュニケーション大賞の募集について
地球環境パートナーシッププラザ(GEIC)10周年記念シンポジウム開催のお知らせ
環境政策提言能力向上セミナーの開催について

国土交通省
「航空法施行規則」、「航空機による爆発物等の輸送基準を定める告示」、「航空機による放射性物質等の輸送基準を定める告示」等の一部改正に関するご意見の募集について

資源エネルギー庁
レアメタル生産動態統計2006(平成18)年度9月分
我が国の主要非鉄金属の国別形態別輸入状況2006(平成18)年度9月分
非鉄金属等需給動態統計調査2006(平成18)年度9月分

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆「環境法令管理室」に「11月6日から11月12日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2006.11.11
◆「環境法令管理室」に「11月6日から11月12日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2006.11.11