賑わう町を離れた山間の 少し開けた所に山門が有り、緩やかに蛇行した坂道を登って行くと、質素な外観の寺が在る。
快楽寺だ。
住まうは年齢不詳の印慶和尚と、その弟子 光元(コウガン)・光悶(コウモン)だ。
一見 小さな山寺だが、それは前側の建物(前堂)で 一般の参拝者が入れる所。中庭を挟んだ奥に、信者が集う大きな本堂が在る。
毎月 行われる御供養会や、盆、彼岸などには数多の信者が訪れ、昼夜分かたず読経三昧の[お祀り]となる。
高い壇上には上背のある 堂々たる体躯の印慶和尚が上がり、その右に優しい面立ちながら逞しい体つきの光元、左に痩身で貴公子のような光悶が付き従い 有り難い経を唱える。
集まった信者は 皆 合掌し、目を閉じて一心に祈念する‥やがて特別な香の作用で心を解放され、特別に醸された般若湯で浄められ、一糸纏わぬ姿で互いに癒やし合う。
女性は、母にハグレた子を守るように 柔らかな肢体で相手を抱き、飢えに泣く赤子をアヤす如く乳首をふくませ、相手の欲するまま 望む限り その身体を与え続ける。
男性は、身の内に潜む[鬼/悪心]に怯える者を守るように抱きしめ、支え、共に[鬼/悪心]に打ち勝つ為 己の身を以て、相手の肉体ごと[鬼/悪心]を刺し貫く。
広い本堂で御仏に見守られながら、情念の有りっ丈を放出し、深い思い遣りで受け止める[お祀り]は、相手を選ばず 幾度と無く 結び付いては離れ 一昼夜~三昼夜に渡って行われる。
壇上から香を溶かした般若湯を撒き、信者を浄めていた光元・光悶も僧衣を脱ぎ、 自ら般若湯を浴びる。一際 大きな声で経を唱えつつ、印慶和尚の僧衣をぬがせると 壇を下りる和尚に従い、信者達の中を練り歩く。
そうして 身分の上下無く、男女の別無く すがる衆生に[情け]を与えるのだ。
今日は彼岸の中日、快楽寺の読経は続いている。
快楽寺だ。
住まうは年齢不詳の印慶和尚と、その弟子 光元(コウガン)・光悶(コウモン)だ。
一見 小さな山寺だが、それは前側の建物(前堂)で 一般の参拝者が入れる所。中庭を挟んだ奥に、信者が集う大きな本堂が在る。
毎月 行われる御供養会や、盆、彼岸などには数多の信者が訪れ、昼夜分かたず読経三昧の[お祀り]となる。
高い壇上には上背のある 堂々たる体躯の印慶和尚が上がり、その右に優しい面立ちながら逞しい体つきの光元、左に痩身で貴公子のような光悶が付き従い 有り難い経を唱える。
集まった信者は 皆 合掌し、目を閉じて一心に祈念する‥やがて特別な香の作用で心を解放され、特別に醸された般若湯で浄められ、一糸纏わぬ姿で互いに癒やし合う。
女性は、母にハグレた子を守るように 柔らかな肢体で相手を抱き、飢えに泣く赤子をアヤす如く乳首をふくませ、相手の欲するまま 望む限り その身体を与え続ける。
男性は、身の内に潜む[鬼/悪心]に怯える者を守るように抱きしめ、支え、共に[鬼/悪心]に打ち勝つ為 己の身を以て、相手の肉体ごと[鬼/悪心]を刺し貫く。
広い本堂で御仏に見守られながら、情念の有りっ丈を放出し、深い思い遣りで受け止める[お祀り]は、相手を選ばず 幾度と無く 結び付いては離れ 一昼夜~三昼夜に渡って行われる。
壇上から香を溶かした般若湯を撒き、信者を浄めていた光元・光悶も僧衣を脱ぎ、 自ら般若湯を浴びる。一際 大きな声で経を唱えつつ、印慶和尚の僧衣をぬがせると 壇を下りる和尚に従い、信者達の中を練り歩く。
そうして 身分の上下無く、男女の別無く すがる衆生に[情け]を与えるのだ。
今日は彼岸の中日、快楽寺の読経は続いている。