『プラチナエンド』 第1巻 感想 ※以下、ネタバレにお気をつけください。

『DEATH NOTE』や『バクマン。』で知られる名コンビ、小畑健&大場つぐみ先生の新連載『プラチナエンド』。もうね、端的に言って、めったくそおもしろいな!さすがとしかいいようがない。
手に汗握る頭脳戦と先が読めないストーリーに発展していきそうな世界観は『DEATH NOTE』譲りだし、恋心を寄せているヒロインとのラブコメ的展開を匂わせるニヤニヤ感は『バクマン。』を思わせるね、うん。おもしろさが加速していく予感がプンプンします。

「プラチナエンド」は、親戚から虐待を受けて人生に絶望した少年・架橋明日が、ビルの屋上から身を投げた瞬間、突如舞い降りた天使の「ナッセ」から、どこにでも飛んで行ける「天使の翼」と射抜いた相手に好意を抱かせる「天使の矢」の二つの能力を授けられる……という所から始まる。
ボーイミーツデビルならぬボーイミーツエンジェルなところは、『DEATH NOTE』を思わせるのだけど、リュークと違って、天使のナッセが普通にかわいいじゃん!と思えるのが実に素晴らしい。天使と言えばかわいい。かわいいと言えば天使ですからね。かわいくない天使がいたらそれは詐欺ですよ、詐欺。まぁ、今んところ登場している天使で美少女なのはナッセだけなんだけどさ!
とまぁ、それは置いといて。第1話では、家族の死の原因となった事故が、彼を虐待していた親戚が資産目当てで意図的に起こしたものだったとミライはナッセから知らされる。真相を確かめるべく、人を魅了する「赤い矢」を利用するんだけれど、「死んだ方がいいのは叔母さんたちだ...」と言ってしまって、本当に叔母さんは死んでしまうというね...。

そして、目の前で人が死んだのを見て、全てに絶望し身投げまでしたミライが「死んだら幸せになれない...」と自分の心臓の鼓動を確かめ、生きていることを実感して涙する1話の導入はなかなかに見応えがあった。
世の中に厳然として存在する不公平や理不尽。ままならない現実に絶望して死にたくなった主人公が、それでも本当の死を前にして、皮肉にも生きていることの幸せに“気付く”というのは、エグイけどおもしろい。やはりこのコンビに、こういう話を描かせたらめったくそおもしろいよなぁ...。
また更におもしろいのが、2話では「天使」の能力にまつわるさまざまなルールが明らかになっていくところ。

こういう展開を待っていた!
そう、そう。こういう展開ですよ。神候補に選ばれた13人が能力を駆使して、繰り広げる頭脳バトル。「天使の矢」には、人を魅了する「赤い矢」と、人を殺せる「白い矢」の2種類が存在し、「天使の矢」は百発百中だが、「矢」の速度を越えた「天使の翼」を所有する者には回避が可能。
天使の階級には特級・1級・2級の3階級が存在し、特級天使は「赤い矢」・「白い矢」・「天使の翼」の全てを、1級天使は「赤い矢」と「天使の翼」の2つを、2級天使は「赤い矢」か「天使の翼」のどちらかのみを所有し候補者に託すことが可能だと。
そうなると、このバトルのキモはやはり、「矢」の種類が2つ存在するところだよね。ただ単純に敵を倒すだけならば、「白い矢」のみで十分なわけだけど、射抜いた相手に好意を抱かせる「赤い矢」が存在することで、一時的にでも協力者を得ることが出来る。加えて、「翼」を持った協力者がいるならば、もしもの時に「矢」を回避できる可能性が上がる。ミライの元に表れたナッセは特級天使だから全ての能力を使えるけど、少なくとも初期の段階では特級の天使は3羽しかいないのだから、候補者が減るまでは協力者を得ようと考えるのは当然の事だろう。
ただ、当の主人公は神の座には興味がないっていうのが、なかなかどうしておもしろいね。架橋 明日は、夜神 月とは違うのだよ。名前が普通じゃ絶対読めないところはそっくりなのにな!

人智を超えた能力を手に入れた主人公が求めるのは「普通の幸せ」だった。寝る場所があって、食べる物があって、学校に行けて、社会で働けて、いつか好きな人と結婚して...。そんな「普通」が幸せであることをミライは知っている。
己の欲望のために能力を行使する者、神になるために他の候補者をバッサバッサ倒していこうとする者。他の候補者が手に入れた能力を存分に使っている中、主人公だけは必要最低限でしか能力を使いたがらない。
きっと、能力を使えば欲しいものはどんな物も簡単に手に入るだろう。でも、能力ではそんな普通な幸せだけは手に入らない。だって、幸せは与えられるものではなく気づくものだから。カタチのある物は手に入るし、「赤い矢」の能力で33日の間、人の心を支配することは出来るけど、心の底にある本当のキモチだけは絶対に手に入らない。
主人公を含め、様々な候補者の欲望や心理を頭脳バトルに絡めてくるところはさすがとしか言いようがないね。人が超常的な力を手にしたときどうなるのか。こういう時にこそ、欲望や幸せに対する価値観が浮き彫りになるわけだからさ。

ヒロインの登場である。咲さんですよ!咲さん。『咲-Saki-』好きとしては反応せずにはいられない。咲という名前のおんなのこはすべからくかわいい法則である。そして、主人公が密かに好意を寄せるこのヒロインの女の子もまた...というね。ラブコメの波動を感じる!かと思いきや、またひと悶着ありそうな展開にニヤニヤ出来る。
このコンビに先の読めない続きが気になるストーリーを描かせたら本当に一級品だね。当面は、咲ちゃんと協力して他の候補たちと対峙していくのだろうか。そして、主人公の掲げる「幸せ」を咲ちゃんと育むことが出来るのか。ハッピーエンドよりも、眩しく輝く最高の『プラチナエンド』をミライ君が迎えられるかは楽しみです。2巻にも大いに期待。

プラチナエンド
『DEATH NOTE』や『バクマン。』で知られる名コンビ、小畑健&大場つぐみ先生の新連載『プラチナエンド』。もうね、端的に言って、めったくそおもしろいな!さすがとしかいいようがない。
手に汗握る頭脳戦と先が読めないストーリーに発展していきそうな世界観は『DEATH NOTE』譲りだし、恋心を寄せているヒロインとのラブコメ的展開を匂わせるニヤニヤ感は『バクマン。』を思わせるね、うん。おもしろさが加速していく予感がプンプンします。
与えられた幸せ~天使の翼と天使の矢~
~あらすじ~
“中学校の卒業式当日、同級生が卒業に浮かれるなか独り中学校を後にする、架橋明日(かけはしミライ)。彼は、家族を事故で失い、引き取られた親戚のもとでも辛い日々を送っていた。全てに絶望した少年は、中学校を卒業したその日、ビルの屋上から身を投げる。しかし、少年はそこで1羽の天使と出会う――!?これは、人と天使の物語である。”
“中学校の卒業式当日、同級生が卒業に浮かれるなか独り中学校を後にする、架橋明日(かけはしミライ)。彼は、家族を事故で失い、引き取られた親戚のもとでも辛い日々を送っていた。全てに絶望した少年は、中学校を卒業したその日、ビルの屋上から身を投げる。しかし、少年はそこで1羽の天使と出会う――!?これは、人と天使の物語である。”
(1話冒頭の試し読み→『プラチナエンド』大場つぐみ×小畑健 冒頭試し読み)

天使の翼と天使の矢
「プラチナエンド」は、親戚から虐待を受けて人生に絶望した少年・架橋明日が、ビルの屋上から身を投げた瞬間、突如舞い降りた天使の「ナッセ」から、どこにでも飛んで行ける「天使の翼」と射抜いた相手に好意を抱かせる「天使の矢」の二つの能力を授けられる……という所から始まる。
ボーイミーツデビルならぬボーイミーツエンジェルなところは、『DEATH NOTE』を思わせるのだけど、リュークと違って、天使のナッセが普通にかわいいじゃん!と思えるのが実に素晴らしい。天使と言えばかわいい。かわいいと言えば天使ですからね。かわいくない天使がいたらそれは詐欺ですよ、詐欺。まぁ、今んところ登場している天使で美少女なのはナッセだけなんだけどさ!
とまぁ、それは置いといて。第1話では、家族の死の原因となった事故が、彼を虐待していた親戚が資産目当てで意図的に起こしたものだったとミライはナッセから知らされる。真相を確かめるべく、人を魅了する「赤い矢」を利用するんだけれど、「死んだ方がいいのは叔母さんたちだ...」と言ってしまって、本当に叔母さんは死んでしまうというね...。

生きてる幸せ
そして、目の前で人が死んだのを見て、全てに絶望し身投げまでしたミライが「死んだら幸せになれない...」と自分の心臓の鼓動を確かめ、生きていることを実感して涙する1話の導入はなかなかに見応えがあった。
世の中に厳然として存在する不公平や理不尽。ままならない現実に絶望して死にたくなった主人公が、それでも本当の死を前にして、皮肉にも生きていることの幸せに“気付く”というのは、エグイけどおもしろい。やはりこのコンビに、こういう話を描かせたらめったくそおもしろいよなぁ...。
また更におもしろいのが、2話では「天使」の能力にまつわるさまざまなルールが明らかになっていくところ。

13人の神候補たちの闘い
こういう展開を待っていた!
そう、そう。こういう展開ですよ。神候補に選ばれた13人が能力を駆使して、繰り広げる頭脳バトル。「天使の矢」には、人を魅了する「赤い矢」と、人を殺せる「白い矢」の2種類が存在し、「天使の矢」は百発百中だが、「矢」の速度を越えた「天使の翼」を所有する者には回避が可能。
天使の階級には特級・1級・2級の3階級が存在し、特級天使は「赤い矢」・「白い矢」・「天使の翼」の全てを、1級天使は「赤い矢」と「天使の翼」の2つを、2級天使は「赤い矢」か「天使の翼」のどちらかのみを所有し候補者に託すことが可能だと。
そうなると、このバトルのキモはやはり、「矢」の種類が2つ存在するところだよね。ただ単純に敵を倒すだけならば、「白い矢」のみで十分なわけだけど、射抜いた相手に好意を抱かせる「赤い矢」が存在することで、一時的にでも協力者を得ることが出来る。加えて、「翼」を持った協力者がいるならば、もしもの時に「矢」を回避できる可能性が上がる。ミライの元に表れたナッセは特級天使だから全ての能力を使えるけど、少なくとも初期の段階では特級の天使は3羽しかいないのだから、候補者が減るまでは協力者を得ようと考えるのは当然の事だろう。
ただ、当の主人公は神の座には興味がないっていうのが、なかなかどうしておもしろいね。架橋 明日は、夜神 月とは違うのだよ。名前が普通じゃ絶対読めないところはそっくりなのにな!

普通の幸せ
人智を超えた能力を手に入れた主人公が求めるのは「普通の幸せ」だった。寝る場所があって、食べる物があって、学校に行けて、社会で働けて、いつか好きな人と結婚して...。そんな「普通」が幸せであることをミライは知っている。
己の欲望のために能力を行使する者、神になるために他の候補者をバッサバッサ倒していこうとする者。他の候補者が手に入れた能力を存分に使っている中、主人公だけは必要最低限でしか能力を使いたがらない。
きっと、能力を使えば欲しいものはどんな物も簡単に手に入るだろう。でも、能力ではそんな普通な幸せだけは手に入らない。だって、幸せは与えられるものではなく気づくものだから。カタチのある物は手に入るし、「赤い矢」の能力で33日の間、人の心を支配することは出来るけど、心の底にある本当のキモチだけは絶対に手に入らない。
主人公を含め、様々な候補者の欲望や心理を頭脳バトルに絡めてくるところはさすがとしか言いようがないね。人が超常的な力を手にしたときどうなるのか。こういう時にこそ、欲望や幸せに対する価値観が浮き彫りになるわけだからさ。

咲ちゃん...!?
ヒロインの登場である。咲さんですよ!咲さん。『咲-Saki-』好きとしては反応せずにはいられない。咲という名前のおんなのこはすべからくかわいい法則である。そして、主人公が密かに好意を寄せるこのヒロインの女の子もまた...というね。ラブコメの波動を感じる!かと思いきや、またひと悶着ありそうな展開にニヤニヤ出来る。
このコンビに先の読めない続きが気になるストーリーを描かせたら本当に一級品だね。当面は、咲ちゃんと協力して他の候補たちと対峙していくのだろうか。そして、主人公の掲げる「幸せ」を咲ちゃんと育むことが出来るのか。ハッピーエンドよりも、眩しく輝く最高の『プラチナエンド』をミライ君が迎えられるかは楽しみです。2巻にも大いに期待。
ルールや能力に関してはオリジナリティがあっておもしろい
能力と頭脳を駆使した戦いが上手く描かれれば人気が出てくるだろうね