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そして、想いはひとつになる。――ラブライブ!サンシャイン!! Aqours First LoveLive! ~Step! ZERO to ONE~ 感想

2017-02-27 21:40:00 | ラブライブ!サンシャ...

Aqours First LoveLive!


~Aqours 1stライブ セットリスト~

01.青空 Jumping Heart
02.恋になりたい AQUARIUM
– MC1 –
03.Aqours☆HEROS(1日目)/ハミングフレンド(2日目)
– 映像1 –
04.決めたよ Hand in Hand
05.ダイスキだったらダイジョウブ!
– MC2 –
06.夢で夜空を照らしたい
– 映像2 –
07.元気全開 DAY! DAY! DAY!
― CYaRon! MC ―
08.夜空はなんでも知ってるの?
09.トリコリコ PLEASE!!
― AZALEA MC ―
10.ときめき分類学
11.Strawberry Trapper
― Guilty Kiss MC ―
12.Guilty Night, Guilty Kiss!
― 映像3 ―
13.未熟 DREAMER
14.想いよひとつになれ
― MC3 ―
15.届かない星だとしても(1日目)/待ってて愛のうた(2日目)
― 映像4 ―
16.MIRAI TICKET
― MC4 ―
17.君のこころは輝いてるかい?

― アンコールアニメ映像 ―
EN1.Pops heart で踊るんだもん!
EN2.ユメ語るよりユメ歌おう
― MC5 ―
EN3.Step! ZERO to ONE




 Aqoursの第一歩となる1stライブが2/25(土)・2/26(日)に横浜アリーナにて開催されました。1stライブというのは特別なもので、全てが手探りの状態から始まるものです。ライブって常に一度きりのものなんですよね。仮に全く同じ会場で同じセットリストでライブをしても、絶対に同じものは再現できない。それは、ライブが一人では出来ないものだからであり、ステージに立つキャストさんがいて、そのキャストさんを客席から見つめるファンがいて、会場の演出を担当する人がいて、他にもいろいろな人が関わって1つのライブが成立している。

 当たり前ではあるけれど、僕らがライブを見ているその瞬間、「Aqours」の9人はこの広い宇宙のどこをくまなく探しても僕らの目の前にしかいない。会場には会社員の人もいれば、学生だっているし、普段は違う場所で生活をしている様々な人たちが全国各地から1つのライブをみるために会場に集まっている。でも、その会場に集まってライブを見ている僕ら、そして「Aqours」の9人はその瞬間、同じものを見て同じものを共有して、同じ一つの会場を盛り上げているんだよね。それを本質的にみんながわかっているからこそ、その一瞬を大切な思い出にしようと心から思うのです。


 そんな中で迎えた「Aqours」のライブ。「青空 Jumping Heart」から始まり、劇中曲はもちろん、カップリング曲やユニット曲まで気合いの入った演出がなされていました。Guilty Kissはライブで聴くと更にかっこよくて非常にライブ向けの曲だと思いましたし、本編をダイジェストしてからパフォーマンスされた「未熟DREAMER」の破壊力は涙のダムを見事に決壊する威力を誇っていました。「MIRAI TICKET」⇒「君のこころは輝いてるかい?」の流れもアニメ最終話を思わせるファンに寄り添った内容で、枯れ切ったはずの涙が泉のように湧き出してきたほどです。



 ライブの全ての瞬間が素晴らしいものでしたが、今回の1stライブの一番の目玉はやはり「想いよひとつになれ」でした。桜内梨子ちゃん役の逢田梨香子さんがピアノを弾き、そのピアノと共に8人が歌うという演出。ステージ上に置かれたピアノ、そして、逢田さんが階段を登り、ピアノに着席した瞬間に、込み上げてくるものを感じずにはいられなかった。逢田さんによると、相談に相談を重ねて、最後に自ら「やらせてください」と手を挙げたそうで、これは本当に凄いことですよね。楽器の演奏経験がなく、歌の練習やダンスの練習もあって、初めてのライブという緊張や不安もある中で、それでもピアノを弾くという決断には、きっと1stライブへの想い、そして梨子ちゃんへの強い想いがあったからこそでしょう。

 本当にたくさんの人の前で生演奏をするのです。1stライブから横浜アリーナというのもとても大きなプレッシャーがあったことでしょう。しかも、「想いよひとつになれ」のピアノパフォーマンスはアニメの状況をそのままライブで再現するという、言わばファンの注目を一番集める花形演出になることだって想像に難くない。だから、生半可な覚悟ではなかったでしょうし、本当に凄く努力したと思うんです。それは、本番でピアノと向き合った時に祈るような面持ちだった逢田さんを見ればひしひしと伝わってくる。


 だからこそ、2日目に失敗をして、涙する逢田さんの姿も、そんな彼女を見て、彼女の元に駆け寄って「大丈夫だよ」と励ます伊波さんたちの姿もとても印象的だった。真剣に取り組んできたからこそ悔しいんです。特に1日目は上手くいきましたから。「成功」というのは自信にもつながりますが、同時に期待も生まれます。観客席にいる我々ファンも1日目の成功を見て、2日目の成功も期待していたし、逢田さん自身もきっと「1日目のように」って頭の中でイメージしていたんだと思うんですよ。でも、だからこそ、1度ミスをしてイメージが崩れていくと、頭の中が真っ白になってしまう。


 逢田さんご本人が仰るとおり「失敗」という事実は変わりません。でも、ピアノを弾こうと決めた覚悟と、「失敗」を乗り越えようとする姿、彼女を支えるべく駆け寄るAqoursメンバー。そんな彼女たちの姿にはライブを観ていた誰もが一様にこう想ったはずです、「がんばれ!」と。

 「この曲が聴きたい!」とか「あの衣装が見たい!」とか、たくさんの人が色々な想いを抱いてライブを観に来たことでしょう。でも、あの瞬間だけはライブを観ていた全ての人がまさに「想いよひとつになれ」を体現して、みんなが同じように「がんばれ!」と祈るように逢田さんを応援していた。少なくとも僕にはそう映ったし、桜色に包まれた会場が何よりもその証だと思う。それは表面的には「失敗」が生み出したもののように思えるけれど、根本的には違う。あそこで会場の想いがひとつになったのは、逢田さんが自らピアノを弾くと決意したその強い想いと姿にみんなが強く心惹かれたからに他ないのです。

 本人は絶対成功させたいと思っていたでしょう。だから、失敗してもいいとは言えないけれど、でも失敗することも含めてライブなんです。未熟DREAMERなAqoursがそうであるように、これから成長していけばいい。失敗も挫折もハードルも、その全てを乗り越えて成長していく少女たちの物語こそが『ラブライブ!』なのですから――。

 逢田さんはその成長をステージの上で見事に見せてくれました。Aqoursメンバーや会場からのエールを受けて、もう一度やり直し、震える指で最後まで弾き切った逢田さんの姿は一生忘れられないほど脳に強く焼き付けられた光景でした。その姿はまさに「期待」に押しつぶされ、自分の音を見失って、でも千歌ちゃんと出逢って、Aqoursのみんなと出逢って、たくさんの人と触れ合って、再びピアノに向き合い始めた梨子ちゃんと重なりますよね。きっと、逢田さんを会場の一番近くで支えていたのは同じ想いを経験した梨子ちゃんだったのだろうと思います。

 
 今回のピアノ演奏を経験して、逢田さんは技術的にも精神的にも凄く成長したでしょうし、ご本人が仰ったとおり、梨子ちゃんの気持ちが本当の意味でわかったのだと思います。『ラブライブ!』におけるライブはアニメの再現だけではない。キャストの一人一人がパートナーとの関係性を築いていく過程にこそ、大きな意味がある。


 1stライブを通してこれからへと繋がっていく確かな一歩を踏み出したAqoursが、これからどんな未来を進んでいくのか、その軌跡をずっと見守っていきたいとそう改めて思った最高のライブでした。


5 コメント

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素晴らしい感想 (Unknown)
2017-02-28 20:35:58
とても胸が熱くなるライブでしたね!
自分の気持ちを言葉にするのが苦手なタイプなので、自分では上手く言語化出来ずにいたのですが、こちらの記事を拝見して何度も頷いてしまいました。そうなんです。「失敗」をしたことが美談なのではなく、逢田さんの「挑戦する姿」こそが会場の想いをひとつにしたんですよね。一生忘れられない最高のライブだったと心からそう思えます。
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Unknown (Unknown)
2017-03-01 14:38:54
今回のライブで梨子ちゃんのことが更に好きになりましたし推しも増えたかもしれないですね。
あの演出はさすがに心奪われますし。
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Unknown (Unknown)
2017-03-02 21:47:58
未だにライブの余韻が残っていて他のことが手に付かないよ......
あれほど感動したライブはfinalの時以来2度目。1stライブでこの感動は凄いよ
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Unknown (Unknown)
2017-03-03 03:14:23
さすがのエントリですね。
読んでいて思わずうるっと来てしまいました。
ピアノの演奏を行うという覚悟が非常に素晴らしいものでまさにその想いが会場に伝播してあの一体感を生んだんでしょう。
全てのキャストさんの想いが伝わってきて楽しいライブではありましたがあの日一番のMVPは逢田梨香子さんだと感じる程に彼女の熱意には惹かれるものがありました。
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Unknown (カリスマ声優白書)
2021-02-25 15:29:39
Aqoursの記念すべき1stライブはでっかい大きい横浜アリーナ。だがそこにたどり着くまでには、常に期待を求められるというプレッシャーに押しつぶされそうになったメンバーがいました。でも、今日この瞬間を迎えることができたファンにとっては歓喜と歓声が交錯していたことでしょう。今回のライブ、MVP(Most Valuable player)は、桜内梨子役の逢田梨香子さんのライブのピアノ生演奏。一度演奏が止まってしまうハプニング。本人にとっては失敗。それをみんなでフォロー。次のライブは必ず失敗しないから!9人ならできる。Aqoursアイドルの救世主。思いは一つになりました!アンコール中に2期決定!のプレゼント。こんなドラマチックなライブ、2度とないかもしれません!新たなる航海の始まりを告げる最高のライブでした。
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