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世界はやがてジャパネスクの時代を迎える(非公式)

なぜ今、ロシアそしてバルト海なのか? プーチン脅威説を越えて「これから起きる本当のこと」を考える

2014-05-26 | 民間外交・論調・出張報告

皆様、こんばんは~(^^)/ 原田武夫です。

無事に羽田に戻りきや・・・いきなり打ち合わせ。
うまく行きそうです、次なるお仕事!

さてさて。
実は羽田までの快適なフライトの間に、こんなのをヤフーニュース(個人)で今朝8時にアップして頂いていました。

是非ご覧ください!!

これからの起きることの「本当のこと」を知りたい全ての方へ・・・。
バルト、ロシア・・・これがその”本当のこと”なのです。

歴史を知らぬ者は・・・現実に対しても闇、ですね。

※いつものとおり、Yanoo!画面上でシェア頂くか、ツイートして頂ければ幸いです。いつも本当にどうもありがとうございます!

では!宜しくお願い致します☆

http://bylines.news.yahoo.co.jp/haradatakeo/20140526-00035666/

 

https://www.facebook.com/iisia.jp/posts/668005526604005


 

2014年5月26日 8時0分

米国からの横槍でロシアを忌避し始めた日本 その陰でグレート・ゲームが始まっている

今年もまた「あのフォーラム」がロシアで開催された

22日から3日にわたりロシア・サンクトペテルブルクで第18回目となる「サンクト・ペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF2014)」が開催された。私は、我が国本国から唯一のパネリストとして招かれ、専門家としてこれに出席した。華々しく我が国でも協力企業たちによってPRされている「世界経済フォーラム(通称「ダヴォス会議」)に比べると我が国では全く知られていないこの国際会議であるが、ロシアが官民の総力を挙げて開催しているのみならず、毎回、プーチン大統領自身が出席し、世界中から集まった出席者たちに対して直接演説するという点に特徴がある。

特に今回の会合ではウクライナ危機の真っただ中ということもあって、プーチン大統領がこの危機に関する見通しについてどのように語るのかに何といっても注目が集まっていた。そしてそれを大前提としながら、米欧そして我が国による「金融・経済制裁」を通じて明らかにショックが生じてしまったロシア経済をどのように修復し、回復させようとしているのかも注目点であった。

国際会議における「論調」を知り、それを共に創り上げる重要性とは

こうした国際会議を私は「定点観測(fixed point observation)」するよう心掛けている。なぜならばそこで重要なのは何といっても、米欧を中心に事実上織り成されている国際的な論調(narratives)を肌感覚でつかむことだからだ。我が国では政官財問わず、未だに「外国といえば米国」「米国でも我が国を相手にしてくれる要人(対日利権グループ=ジャパン・ハンドラ―)と会えば良い」と誤解している向きが多い。しかし彼らは所詮、米欧が重層的に行っているゲームの一端(あるいは「末端」)を担っているに過ぎないのである。そうではなくて、米欧が至るところで行っているこうした国際会議にこまめに脚を運び、そこで何が語られているのかを継続的につかみ続けることこそ、「これからグローバル・マクロ(国際的な資金循環)とそれを取り巻く国内外情勢がどちらに向けられるのか」を考えるにあたっては必須の作業なのである。ところがこの肝心かなめなところに、我が国企業のほぼすべてが投資を全く行っていない。せいぜいのところ、2・3年に1度交替する現地駐在員が出席するか、あるいは本国からロシアなら「ロシア専門家」が半分趣味で出席するに過ぎないのだ。その結果、こうした「論調」を追い、その先を考えるという作業を一切怠っているのが現実なのだ。

しかもこうした継続的な出席は単に出発点に過ぎないのであって、今度は「論調」の形成そのものに関わるチャンスが降って来ることになる。だが、ここでまたしても政官財を問わず我が国からの出席者、特にビジネスパーソンたちは重大な障壁にぶつかるのである。なぜならば、そこで行われるのは「論調」の形成なのであって、下僚たちが準備した原稿を読み上げたり、あるいは官僚の世界で言うならば「国会答弁」「応答要領」のようなものを受け身で言うことが求められているわけではないのだ。ところがたいていの場合、日本からの出席者たちはそのどちらかに終始してしまう。自由に個人として、そうglobal citizenとして発言して「論調」を形成すべきなのに、そのチャンスをみすみす失ってしまうのである。その結果、「あぁ、また日本人か。自分たちのことしか話さない」となってしまう。無論、次回から招待状が届けられることは無くなってしまうというわけなのだ。

もっとも、難しいのはそれでは何でも話して良いのかというとそうでもないということである。こうした国際会議には必ずナレッジ・パートナーという役割を担う組織がある。多くの場合、グローバルなコンサルティング・ファームがこれを務めており、「論調」のベースは明らかにそうしたファームたちが形成している。これに世界銀行や国際通貨基金(IMF)、さらには経済開発協力機構(OECD)といった国際機関における、これまた米欧人であるコンサルタントたちが加わる場合もある。そして国際会議の場においては、彼らが重層的に提示してくる「論調」のベースに立ちつつも、それに明確な付加価値を加え、時にはその枠組みを超えるものを提示するような高度に知的なプレゼンテーションが基調演説者やパネリストたちに求められているというわけなのである。そうした「価値ある発言」「『論調』の形成に貢献している発言」を述べている限りにおいて、実のところ英語の発音など全く問題とされない。あくまでも基準となるのは当該人物が「考えているか、考えていないか」だけなのである。

「プーチン脅威論」を語る米欧こそ、今ロシアに入り込んでいる

我が国ではウクライナ危機で米国を筆頭に対ロ制裁が発動され、しかもここに来てカナダ訪問中のチャールズ英皇太子までもが「プーチン大統領はナチスのヒトラーと同じだ」といった”暴言”までしていたことが明らかになるなどする中、「プーチン脅威論」とでもいうべきものが政官財メディアの枠を超えて流布されている。事実、今回の「サンクト・ペテルブルク国際経済フォーラム」においては元来予定されていた我が国政府系金融機関のハイレヴェルによる出席が取りやめられるなどの動きがあったと聞いた。

だが、何事も百聞は一見に如かずなのである。現地に来てみると米国を筆頭にフランス、イタリア、そしてドイツなど欧州の財界要人がまとぞろ集まっていた。それにそもそもこのフォーラムのナレッジ・パートナーはプライスハウスウォータークーパースであり、車両の提供をしているのはメルセデスベンツなのである。しかも昨年にもまして大規模な代表団を組織してプレゼンスを確保していたのが韓国であった。それに比べ我が国はといえば基本的に「現地駐在員レヴェル」が数名といった程度であり、「論調」の形成へのコミットメントはおろか、まったくもって相手にされていないといった様子であった。なぜそうなのかというと、政財官メディアを問わず、私たち日本人がロシアというと「旧ソ連」のあのおどろおどろしい体制のイメージに未だ囚われており、その根本にあって、しかもこれからのグローバル・マクロ(国際的な資金循環)が織り成す世界史の大変動と直結している要素に関心を持っていないという根本的な問題があるからなのだ。いや、米欧がロシアに注目せざるを得ず、だからこそ創り出しつつある「論調」の根底にあるものに気づいてすらいないというのが本当のところなのだ。

(ラトヴィア・リガにある大聖堂の中庭(筆者撮影))

(ラトヴィア・リガにある大聖堂の中庭(筆者撮影))

「気候変動」が過去にもたらしたのがロシア帝国の発足

それではその根底にあるものとは一体何なのだろうか。―――このニュース・コラムはサンクト・ペテルブルクでの会合を終えて訪問したロシアの隣国ラトヴィアの首都リガで書いているのであるが、窓外に見える大聖堂にある回廊を見て、この問いに対する答えを確信することが出来た。

今、なぜ米欧はロシア、そしてその脅威から守ると称してバルト3国に拘るのか。その理由を知りたいのであればバルト海を巡る歴史を紐解けば良い。欧州は10世紀から14世紀にかけて「中世の温暖期」と呼ばれる時期に置かれていた。すなわち温暖な気候が続く中、人口は爆発的に増え、人々は新しい土地を求め、一つには東へ、東へと進み始めたのである。これがいわゆる「東方植民」である。そしてその中で創られた、繁栄し始めたのがラトヴィアのリガを含む「ハンザ都市」であった。

ところが、である。15世紀に入ると欧州は今度は一点して極端な寒冷期に入り始める。経済は一気に縮小し始め、限られた富を巡って激しい奪い合いが生じるようになった。ところが大変興味深いのはこの時代にむしろ元気になったのは北方の諸国、すなわちバルト海沿岸の勢力だったという事実である。その中で最終的に「草刈り場」となったのがポーランドであり(「大洪水時代」)、そしてスウェーデン、ロシアといったますます強大化する勢力同士で争われたのが17世紀の「北方戦争」だったのである。その後、いわゆる西欧諸国が諸侯相乱れて大混乱に陥っている中、大北方戦争に勝利し、ロシア最初の皇帝の座についたのがピョートル大帝だったのであり、これでこの地域におけるロシアの覇権が確立するに至ったのだ。このように気候変動が「温暖化」から「寒冷化」へと移る中でかえって元気になり、やがては覇権を握ったのがロシアであり、その現場となったのがバルト海であったという事実は記憶にとどめておくべきである。

加速する「気候変動」こそ、米欧がロシアに拘る本当の理由だ

なぜならば今、再び始まっているのが気候変動であり、明らかに北極圏とその周辺を除き、北半球では極端な寒冷化が顕著になりつつあるからである。逆に北極圏とその周辺では温暖化が進行しており、今回のサンクト・ペテルブルク国際経済フォーラムの最中にも気温が28度を越えるという、旧ソ連時代には考えられなかった「夏日」が到来していた。一見すると何気ないことのように思えるかもしれないが、そうした気候の不可逆的な展開を踏まえ、誰よりも早く先取りするために動くのが米欧の統治エリートたちの常である以上、このことはグローバル・マクロとそれを取り巻く国内外情勢の今とこれからを考えるにあたって重大な意味を持つはずなのである。

事実、このように考え始めると符合すること、合点がいくことが多々ある。―――ヴァティカンがなぜ、大量の資金をパナマ経由でポーランドの反体制組織「連帯」へと渡し、これをもって「ベルリンの壁崩壊」を頂点とする東欧革命を惹起したのか。2007年夏から始まり未だに終わらない金融メルトダウンの中でなぜ、ポーランド経済だけが好調なのか。金融マーケットでキプロス危機が発生する中、そこに秘匿されていたマネーがなぜ、バルト海沿いのラトヴィアへと大量に移動したのか。国家機密を暴露したエドワード・スノーデンをかくまっているロシアに対して、なぜ米国は強腰に出ないのか。そしてまた、ウクライナ危機の真っ最中だというのに「サンクト・ペテルブルク国際経済フォーラム」にはどうしてかくも大勢の米欧財界エリートたちが集まるのか。そう、全ては気候変動を巡って「あの時」と全く同じか、あるいはそれ以上の事態に陥るという判断があってのことなのである。そしてそのことを知らないのは、私たち日本人だけなのだ。

「北方領土返還」のために安倍晋三総理大臣が今すぐやるべき本当のこと

安倍晋三政権がウクライナ危機にあたってギリギリのタイミングで「NSC事務局長」をプーチン大統領側近の下に派遣したり、あるいは未だに骨董品のような旧ソ連時代の「想い出」や、その後の徒花であったエリツィン政権時代における自称”インテリジェンス”の「武功」を喧伝する向きをロシア専門家・異能の人などと言っているようでは、我が国の先が実に思いやられるのである。大事なことは、気候変動とロシアの立ち位置が密接に連関しているというのが米欧の隠された「論調」であり、それが織り成す本当のゲームの中でいかに最高得点を挙げていくかなのである。そもそも「2014年秋のプーチン訪日が実現するかどうか」などと議論する暇はないのであって、この「論調」の形成そのものに我が国がいかに食い込み、さらにはそれをわが物にしてしまうかという戦略的なアプローチを、グローバル・マクロ(国際的な資金循環)のダイナミズムを知っているという意味での我が国のベスト・アンド・ブライテストを結集して考えることこそ、今行われなければならないことなのだ。その先においてこそ、初めて「北方領土返還」という悲願が実現されるのである。正直、そのレヴェルまで我が国の側が議論出来、かつコミットするというのであれば四島であれ、二島であれ、プーチン大統領にとってはどうでも良いことであるはずだ。なぜならば主戦場は「バルト海」なのであるから。

未来を創り上げるための気付きを得るためには、本当の過去を知らなければならない。今、着実に加速をつけつつあるロシア、そしてバルト海を巡るグレート・ゲームはその典型とでもいうべき例なのである。


原田武夫

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)代表取締役

http://bylines.news.yahoo.co.jp/haradatakeo/20140526-00035666/


Takeo Harada

今回のSPIEF2014で私が出席した「OPEN DATA」セッションの様子を動画でご覧いただけます。11分36秒頃より、まずは冒頭発言を私が行っています。是非ご覧ください。これがグローバルな世界で「論調(narratives)」をつくっていく、ということなのです:
http://www.forumspb.com/en/2014/sections/30/materials/229/sessions/705#translation

 

なぜ今、ロシア、そしてバルト海なのか?プーチン脅威論を越えて (連載「パックス・ジャポニカへの道)

http://blog.goo.ne.jp/shiome/e/09d450c16016efabae4bd34611e02d39



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