荷物を持って移動するロヒンギャ族の避難民=インドネシア北西部ロクスコン、古谷祐伸撮影

 ミャンマーで民族対立から追い詰められたイスラム教徒のロヒンギャ族などが乗った船が周辺国に漂着している問題で、マレーシアやタイなどが船の追い返しを始めた。難民の大量流入を警戒する措置だが、海上には6千人が漂流しているとの推計もあり、懸念の声が上がっている。

 マレーシア政府は10日にタイ国境に近いランカウィ島に漂着したロヒンギャ族バングラデシュ人ら1158人を保護し、施設に一時収容した。だが、同時に沿岸警備当局や海軍がマラッカ海峡沖合に船舶約10隻を展開し、密航船の排除に乗り出した。

 ロヒンギャ族らがマレーシアをめざすのは、難民認定に比較的寛容で、かつイスラム教徒が多い国であるためだ。だが、増える難民や不法移民に国内では治安面などで不安が高まりつつある。収容施設はすでにほぼ満杯で、予算の制約もある。

 タイ海軍も14日、マレーシアと国境を接する最南部サトゥーン県沖で約300人が乗った船に退去を指示、領海外に押し出した。タイ政府報道官は14日、「乗船者の目的地がマレーシアなどだったため、食料などの物資を提供したうえで立ち去ってもらった」と説明した。

■「早く出て行ってほしい」