■講演会『福祉先進国に学ぶ 中村晴美 デンマークの旅』
■講演会場
■わらしべ舎「カレー班」・「石けん班」が作った即売会
■わらしべ舎「カレー食品」・「せっけん・工芸品」・「わらしべ応援Tシャツ」チラシ
10月27日、仙台市福祉プラザふれあいホールで開催された、『福祉先進国に学ぶ 中村晴美 デンマークの旅』【わらしべ舎理事長中村晴美(なかむらさえみ)】を拝聴してきました。
今回の講演は、中村氏が今から16年前、デンマーク在住の日欧文化交流学院学院長千葉忠夫氏にお会いし、デンマークの福祉関係の話を聞いて以来、千葉氏から、「嘘だと思ったら、デンマークに行ってみてください。」と言われ、今年の8月25日から9月3日の10日間、長年の夢であった福祉先進国のデンマークへ現場研修に行ってきた帰朝報告会で、同行したのはわらしべ舎の関係者3名、総勢4名によりデンマークへの福祉関係研修旅行模様でした。
中村氏の講演は、社会福祉法人「わらしべ舎」の活動をDVDにした紹介から始まりました。
わらしベ舎は、知的障害者通所施設で1990年に発足、現在は、「カレー班」、「石けん班」、「エコ班」に三つの班に分かれての、働くことを通して、マナー・持続力・協力・生きがいを学び、就労支援を行い就労継続支援B型事業、作業や活動を通して、社会貢献・生きがいづくり、余暇の充実に取り組む生活介護事業、障害があっても、支援を受けながら自立生活を営む場所としての共同生活援助事業、自律生活に必要な経験・力を身に付けることを目的に、家庭から離れ、暮らす訓練をする場として自立体験ステイ事業など幅広い活動をしていました。
DVDは、これらの活動について1年間を通して記録したもので、わらしべ舎の事業内容が良く分かり、入所者の方々の一生懸命で献身的な作業風景を見ることができ、素晴らしいDVDになっていました。
中村氏の講演は、福祉先進国デンマークの実態を①教育+医療+福祉=社会保障はタダ(無償)、②国の財政の75%は社会保障費、③自由+自己決定+平等+共生+連帯+権利の保障=民主主義、④ペタゴー(指導教諭)の存在=女性の社会進出の四つのテーマで始まりました。
① について、デンマークは、「福祉」を「生活」に置き換えると、結局、「福祉」という言葉は必要ではなく、生活そのものが福祉と一体となっていると言っていました。極端な言葉で言うと、「ゆりかごから墓場まで」という言葉がありますが、デンマークでは、出産前の段階から医療関係が無料で、「出産前から墓場まで」無料になっていて、教育費、福祉にかかわる一切のものが、生涯、無料と言っていました。
② について、国の財政の75%が社会保障費と言いますから驚きでした。そのために25%の税金が課税されるそうですが、社会保障費が充実していることから、国民から一切不満は無いと言っていました。
③ について、自分のことは自分自身で決めるという国民性があり、共生や連帯の意識が強く、権利の保障がされていることから何事も自由で、本来の心の民主主義がデンマークにあると言っていました。
④ について、女性の社会進出が40%なそうですが、幼稚園、学童保育、障碍者施設などで働くための資格を持ったペタゴーと言われる社会生活指導教諭がいて、働く女性の大きな力になっていると言っていました。
何と言ってもデンマークは、「ノーマリゼーション」という障害のある人の生活を障害のない人の生活水準に可能な限り近づけることの意識が高く、障害者個人の一人一人に合わせた援助、教育、訓練をするなど、障害者を特別な扱いをするのではなく、人間性が公平に尊重される社会づくりがデンマークにあるということを知ることができました。
中村氏は、デンマークの福祉関係の施設を見学するだけでなく、風光明媚なところもフルに見学され、その写真を交えての有意義な講演になっていました。
最後に、金子みすずの言葉を引用し、「みんな ちがって みんないい」を「みんな ちがって みんないっしょ」という言葉で講演が終わりました。
会場には、わらしべ舎西多賀工房で作っている、「カレー食品」、「リサイクル粉せっけん涼蘭」、「液体石けん」、今回、新しく作成した「わらしべ応援Tシャツ」の即売会を実施していました。特に、「わらしべ応援Tシャツ」は、その売り上げの一部は、社会福祉法人わらしベ舎の事業資金に充てさせていただくなど趣向を凝らした販売になっていました。