外を普通に、いつも通り歩いていた。
前には、男性がひとり歩いていた。
私は、喉がムズムズしてきて、咳払いをした。
ウウン、ウウンって感じで。
その時、前を歩いていた男性が、クルッと振り向いた。
エッ?と思い、男性を顔を見つめた。
上下ジャージ姿の男性。勿論、顔見知りではない。
年齢は、60~70代位だろうか。
なんだろ?と思っていたが・・・
男性の視線が、決して好意的ではないことに気が付いた。
好意的どころか・・・不愉快感を見ることができた。
いや、もしかしたら、悪意も・・・
ジッと私を見ている。
いつもならば「何か?」と問い掛けるのだが、コレは言えなかった。
怖い。そう思った。
ジッと見つめている。
有り難いことに、私の自動車は、直ぐそこにあった。
自動車に近づく・・・男性は私から目を離さない。
それどころか、私に向かってきそうな気配さえ感じた。
その時、頭の中を巡ったのは・・・
私の咳払いを、自分に対するものと受け止めたのかも?だった。
それも、私が男性に対し、何か「意図を持って」音を出したって。
そして、それは男性不快にさせる、ものだったのだろう、と。
まぁ短く言うと、私が男性を挑発?バカにした?と思ったのかも。
そして、同時に思ったのは、
あぁ、こうやって、道で襲われるんだなってこと。
これは、冷静に頭で考えた。考えが出てきた。
私は、何か意図を持って行なったことではない。
単に、喉の調子が~だった。
でも、男性は、そう受け止めなかったのだろう。
男性の目は・・・私が、このようなことを思うからか、
どうも焦点が空ろなように思えた。
何考えているのか分からない・・・・そんな風に思えた。
自動車のロックを外し、乗り込もうと・・・
その時、前方から人が歩いてきた。
男性が、目を離した瞬間、私は車に乗り込み、ロックした。
エンジンをかけて・・・男性の後姿が見える。
歩き始めたようだ。
それでも、振り返り、私を見ている。
私は、そのまま走り出した・・・
本当にコレは怖かった。
あのまま、もしかしたら・・・と思えた。覚悟はしないが。
今まで、このような咳払いや咳で、こういうことはなかった。
だから、私は自分が悪意や何か考えが~とは思えない。
私が、そんなこと思っていないし。
でも、その男性は「何か」を感じたのだろう。
ニュースで、見知らぬ人にいきなり暴力を、殺意を向けられた、と報道がある。
私は、そういう目に遭うかも、だったのか?
なんて、簡単なんだろ、と思えた。
人に襲われるなんて。こんなに簡単に被害に遭う・・・心底認識できた。
どうやって防ぐ?こりゃ、防ぎようが無いよ。
危険って、こんなに身近にあったんだ・・・
今更ながら、甘ちゃんだった。
で、後日、このことを次男に話したら・・・
「相手を観察するとか、自分を分析するとか、じゃなくて
さっさと逃げろよ」
でした。
そうだわそうだわ。それが正解。
今度、このようなことがあったら
脱兎のごとく、逃げることを誓います!
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