肉食べるといいよ!

天体写真を中心とした趣味のブログ

惑星状星雲 大・中・小!

2016-08-30 | 天体写真

こんばんは!


今週末は遠征に行きたいのですが、今のところ天気は厳しそう・・・
次の遠征までの間隔が空いてしまうと、また撮り方を忘れてしまいそう・・・

かすかな希望に望みをつないで週末を待つことにします!!


 

さて、今回は8月アタマの天城遠征で撮ってきた残りを放出してしまいたいと思います!

とは言っても、まだ真面目な画像処理など何もやっていません。
フラット処理もコンポジットもしていない撮って出しJPEG1枚画像をフォトショでチョチョイといじった『簡単フィニッシュ(笑)』です。

 

銀塩時代には色々な対象を撮ってきましたが、無意識に避けていたカテゴリーがあります。

そう、『惑星状星雲』です。

別に意識して避けていたというわけではないのですが、

①おおむね小っさいので中判1000mm程度未満の画角では・・・
②単位面積当たりの輝度が対象毎に大きく異なるので露出が難しく銀塩だとたまの遠征で撮影するにはリスクが大きい

などの理由で、どうしても後回しになった結果、あまり良い作品は手元に残っていませんでした。

そこで、せっかくデジタルになって、気軽に試写しながら撮れるし、画角もブローニーに比べて焦点距離2倍分換算だし、撮ってみるか!
ということで、先日の天城で撮ってきたというわけです。


 

ではさっそく、 『大』からいきましょう!

みずがめ座NGC7293らせん状星雲です。

撮影日時 2016年8月6日2:46から6分30秒露光
撮影光学系 タカハシFSQ-106ED(530mm・F5主焦点)
撮影デバイス D810A(ISO3200・jpeg・WBオート)
架台 iOptron CEM60-EC
ガイド M-GENによるオートガイド(ガイド鏡:コーワLM100JC)
撮影地 天城高原 

個人的には好きな星雲のTOP5に入ります!
かっちょいいですよねえ・・・!!!
こいつは銀塩時代に3時間露出したコマが手元に残っていますが、流石にこの簡単フィニッシュよりは良く写っています。
リング内のおたまじゃくしやリングの外側の赤いひげみたいなところまでしっかりと写っています。

真面目に画像処理してどこまで変わるのか楽しみですねえ。

 

お次は『中』!

こぎつね座M27亜鈴状星雲です。

撮影日時 2016年8月6日0:36から6分秒露光
撮影光学系 タカハシFSQ-106ED(530mm・F5主焦点)
撮影デバイス D810A(ISO3200・jpeg・WBオート)
架台 iOptron CEM60-EC
ガイド M-GENによるオートガイド(ガイド鏡:コーワLM100JC)
撮影地 天城高原 

画像サイズがまちまちなのは、トリミングがテキトーだからです笑

こいつは実は銀塩時代に撮ったことがありません。
なぜかいつも後回しで、結局一回も撮る機会がありませんでした。
格好いいんですけどねえ。

こういう有名なのになぜか撮っていない対象や、撮ったもののいつも失敗作になってしまう相性が悪い対象ってありますよね~ 

大学卒業間際くらいに自分のバイト代貯めて初めて購入した望遠鏡が当時ビクセン扱いのセレストロンC9.25シュミカセとGP-D赤道儀のセットだったのですが、コイツがとても良く見える望遠鏡で当時ものすごく気に入ってたんですね。
(もちろん初めての望遠鏡なので思い出美化補正込みですよ笑)
で、写真始める前はこのシュミカセで観望してたのですが、今から思うとコイツで見た色々な星雲星団は写真とは違った感動がありました。
当然眼視ですから写真のようなカラフルで鮮やかな風には見えませんが、眼視ならではの感動って絶対にありますよね。
特に、このM27は初めて見たときに本当に本で見たような亜鈴というか砂時計というかという形に見えて、そのときの思い出は未だに消えません。
撮影に慣れてきたら大口径ドブソニアンかなんか購入して眼視も同時に楽しむたんていう贅沢をしてみたいです。 
最近ではスカイウオッチャーの自動導入ドブがとても気になっています笑 

 

最後は『小』

こと座M57ドーナツ星雲です。

撮影日時 2016年8月8日23:20から30秒露光
撮影光学系 タカハシFSQ-106ED(530mm・F5主焦点)
撮影デバイス D810A(ISO3200・jpeg・WBオート)
架台 iOptron CEM60-EC
ガイド M-GENによるオートガイド(ガイド鏡:コーワLM100JC)
撮影地 天城高原 

めっちゃ強拡大しています笑
だって、小っちゃいんだもん笑
本来530mmフルサイズで撮る対象ではないです。
しかし、小っちゃいけどめちゃくちゃ明るいです!
30秒露出でももしかしたら露出オーバーかもしれませんね。
コイツは適正露出がどの程
度なのかもう少し研究せねばいかんようです。


冬にはカニ撮りたいなぁ...


アンドロメダは難しい

2016-08-22 | 天体写真

台風直撃の影響で今日一日フリーになりました笑


というわけで、朝から軽めの更新を一つ。

ご存知、M31アンドロメダ大星雲です。(1枚画像の『簡単フィニッシュ』ですよ)

撮影日時 2016年8月8日22:50から6分露光
撮影光学系 タカハシFSQ-106ED(530mm・F5主焦点)
撮影デバイス D810A(ISO3200・jpeg・WBオート)
架台 iOptron CEM60-EC
ガイド M-GENによるオートガイド(ガイド鏡:コーワLM100JC)
撮影地 天城高原 

 

うーん・・・い!!笑

この日は薄雲が次々通過する悪条件の中での撮影で、赤味が強いのもその影響かなと。
たぶんこれは真面目にフラットやコンポジットなどの画像処理をしても変わらないような気がします。 

露出ももう少し引っ張れそうです。
周辺まだまだ炙り出せそう。(これはコンポジットでもう少し改善しそうですが)
1枚あたりの露光量ももう少しだけ引っ張りたいし、総露出時間ももう少し稼がないと。 

うーん、こいつは撮り直しですなあ。。。


アンドロメダは本当に難しいですね。
明るくて大きいので良く写るのですが、満足のいくキレイな仕上げにもっていくのが本当に難しい。
銀塩の頃もそうでした。 

本当は青や黄色やHαの点々やらの鮮やかで透明感のあるイメージに写したいし仕上げたいのですが、なかなか難しい。


そういえば相棒のM&M氏は銀塩時代にM31でSKY WATCHER誌で表紙入選してたなあ。
あれは素晴らしい作品だった。 

 

次回はHDRっぽく露出の違うコマのコンポジットなんかにも挑戦してみたいですねえ!


やっぱ『赤』だよね!

2016-08-21 | 天体写真

天体写真用一眼レフカメラNikonD810A...


(なぜ2台も・・・)


銀塩時代から「Hαの赤が写るか否か」というのが天文屋、特に直焦点屋にとっては極めて重要なテーマの一つでした...
103aE、SR400、G400、E100S、E200、雅、PPF、TP・・・思えば自分も色々なフィルムを使ってきました。 
赤が写るフィルム、写らないフィルム...Hαの赤が写るフィルムというのは当時とても貴重だったのです。
新しいフィルムが出るたびに試写をして赤が良く写るフィルムを探し、そいつが生産中止になったときには大粒の涙を流したものです。
生産中止で赤が撮れなくなる悪夢に怯え、冷凍庫には冷凍食品を押し退けて買い溜めしたPPFやE200やTPが我が物顔で居座っていたのがまるで昨日のことのようです笑
(そういえば昔運営してたHPでフィルムデータベースやってたなぁ)


そして時代は流れ、デジタルへ・・・

世はかつてのフィルムにかわり、デジタルカメラへと世代交代。

しかし、赤が写るか否かという大問題は世代(?)を超えて天文屋を悩ませます。

なぜならHαの赤が満足に写るセンサーをもったカメラは極めて少なく、私が天体写真から離れている間も天文屋のみなさんにとっての大きな悩みだったようです。

EOS60Daのようなメーカー純正の天文特化機がごく稀に発売されるようなことはあったようですが、実質的な選択肢は天文SHOP魔改造のキヤノンを使うというほぼ一択しかなく、Nikon党の自分にとってこれが復帰への足かせになっていました。
(Nikonで赤を写すには水道橋のSTARSHOPで改造してもらう選択肢くらいしかなかったでしょうかね)


そこに赤い彗星のように現れた救世主D810A!


Hαの写りよし!カラーバランスよし!高画素高精細よし!
自分にとって夢のようなカメラの登場です。 

これで復帰への決心がつきました。

こいつを手に入れたからには、やっぱりHα領域を撮りたいというものですよね!


というわけで、前置きが長くなりましたが天城遠征で撮ってきた『赤い奴ら』です。(『簡単フィニッシュ』ですよ)


まずは北米

撮影日時 2016年8月6日1:19から6分30秒露光
撮影光学系 タカハシFSQ-106ED(530mm・F5主焦点)
撮影デバイス D810A(ISO3200・jpeg・WBオート)
架台 iOptron CEM60-EC
ガイド M-GENによるオートガイド(ガイド鏡:コーワLM100JC) 
撮影地 天城高原 

北アメリカとペリカンは個人的には横構図よりも縦構図の方が緊張感があって好きです。


お次はγ-Cyg付近

撮影日時 2016年8月9日0:19から6分露光
撮影光学系 タカハシFSQ-106ED(530mm・F5主焦点)
撮影デバイス D810A(ISO3200・jpeg・WBオート)
架台 iOptron CEM60-EC
ガイド M-GENによるオートガイド(ガイド鏡:コーワLM100JC) 
撮影地 天城高原 

この日は薄雲が次々通過する条件の悪い日だったため、γ星などがにじみまくっています汗


そしてこいつも定番M16&M17

撮影日時 2016年8月5日23:32から6分露光
撮影光学系 タカハシFSQ-106ED(530mm・F5主焦点)
撮影デバイス D810A(ISO3200・jpeg・WBオート)
架台 iOptron CEM60-EC
ガイド M-GENによるオートガイド(ガイド鏡:コーワLM100JC) 
撮影地 天城高原 

こいつらホントかっちょいいですよね~大好きですよ


最後に少し南下してM8&M20

撮影日時 2016年8月5日22:20から5分30秒露光
撮影光学系 タカハシFSQ-106ED(530mm・F5主焦点)
撮影デバイス D810A(ISO3200・jpeg・WBオート)
架台 iOptron CEM60-EC
ガイド M-GENによるオートガイド(ガイド鏡:コーワLM100JC) 
撮影地 天城高原

構図ミスっています。
M8の左側の熊の手みたいな部分が切れてしまった・・・汗
こいつは次の機会にF3レデューサーで広めに撮りたいですな

 

うーん・・・高々6分前後の露出なのに昔撮った銀塩のコマよりよく写っている・・・笑
しかも、まだ真面目に画像処理すらしていないのに・・・

デジタル恐るべし!!! 


ちょうこくしつ座NGC253&NGC288 『簡単フィニッシュ』

2016-08-20 | 天体写真

というわけで、この前撮影してきた ちょうこくしつ座NGC253銀河&NGC288球状星団 です。

撮影日時 2016年8月9日0:45から5分露光
撮影光学系 タカハシFSQ-106ED(530mm・F5主焦点)
撮影デバイス D810A(ISO3200)jpeg WBオート
架台 iOptron CEM60-EC
ガイド M-GENによるオートガイド(ガイド鏡:コーワLM100JC) 
撮影地 天城高原 


フラット処理やコンポジットにまだ手をつけていないので、とりあえず『簡単フィニッシュ』でのものになります。

ちなみに、jpegの1枚画像をフラットな部分だけトリミングしてフォトショで少しいじっただけの処理を私は勝手に『簡単フィニッシュ』と呼んでいます。
本来『簡単フィニッシュ』とはプラモデルの世界で最近よく用いられている用語です。
最近はガンプラを代表として、未塗装のプラの段階でかなりリアルに色分けされたプラモデルキットが増えています。
で、そのプラの成型色をそのまま活かして無理に全塗装せず、汚し(ウェザリング)や部分塗装など、ほんの一手間くらい加えて簡単に仕上げるお手軽なやり方が『簡単フィニッシュ』と呼ばれているのです。


というわけで、まだ真面目に画像処理をしていませんが、天城の南天の暗さとFSQ106ED主焦点のフラットさは十分にわかりました笑

このシステムで撮影すると、D810AかNikonマウント由来の、長方形の周に沿ったケラレが出ます。
そこだけトリミングしてしまえば、FSQ106ED主焦点がフラットなおかげでソコソコ見れてしまうのがなんとも・・・ですね笑
もちろん、ちゃんと真面目にフラット処理すればトリミングの必要は無いのですが、まずは様子を見るためのお試しなので・・・ね!笑笑
ちなみに1月の遠征ではF3レデューサーで撮りましたが、こちらは光学系由来の周辺減光がわかっちゃうのでちゃんとフラット処理をした方が良いと思います。 


NGC253はカッコいいですね! この銀河は大好きです!
近くに球状星団NGC288もあって見応えがあります!

この対象は銀塩時代に浄土平や富士山でチャレンジしたことがありますが、撮影地の南天の条件の悪さなどから当時はあまり満足のいくコマを得ることができませんでした。
しかし、今回は天城の南天の条件の良さとデジタルのパワーに助けられ、それなりの画像は取得できたと思います。
この空であれば、こんどは難物247や55にチャレンジしてみようかな~ (焦点距離530mmじゃ短いかな・・・) 


ところで、復帰してから撮影するたびに思いますが、本当にデジタルは良く写るので楽しいですね~
画像取得までのプロセスは昔の銀塩時代に比べれば圧倒的にハードルが低くなったと感じます。

ただ、その分画像処理の負担が私にとっては重いのですが・・・ 

私は撮るまでが好きな人間なんだとつくづく思います。
本質的に画像処理のような後処理がキライなのが最近よくわかります。
あ、これは決して「画像に手を加えるのはうんぬん・・・」のような写真哲学的な高尚な理由ではなく、単にメンドウなだけですよ笑

まあ、フォトコンに興味は無いので〆切もないことですし、いつになるかはわかりませんが、モチベーションが高まったところで真面目に画像処理します汗

(次回も『簡単フィニッシュ』のコマです。たぶん...)


天城遠征2連発!(8/5~6、8/8~9)

2016-08-15 | 遠征~天体写真撮影遠征の記録

もう1週間ほど経ちますが、天体写真に復帰してから3回目と4回目の遠征に行ってきました!

 

ちなみに、復帰遠征は昨年10月の富士山富士宮口五合目遠征で、このときはまだ直焦点の撮影機材を持っていなかったので、スカイメモRとカメラレンズでの撮影でした。
ガイド撮影自体が銀塩時代以来15年以上ぶりのことで、極軸合わせから何から非常に新鮮な気持ちで楽しめました。
スカイメモRの所謂スカイメモタイプ極望が優秀で、私のような超久しぶりの出戻り者にも優しい方式で助かりました。 

富士山でのコマ↓

荒れ荒れですね笑 酷い有様です笑
圧縮のやり方とかもあるんでしょうが・・・笑


そして復帰2回目は今年1月の花立遠征。

暮れに直焦点撮影用システムを揃えてから初めての本格復帰遠征となりました。 

ちなみに花立ではこんな写真が撮れました↓

うーん。。。他にもいくつか撮ったのですが、ご覧の通り『微妙』という表現がピッタリ笑
画像処理の未熟さは当然ですが、ピントは甘く露出アンダー、昔の自分からも程遠い出来で、まあそんなに甘くないということですね。 
画像も自己流で色々適当にいじってるだけなので、ずいぶん荒れてたりディティールも妙な感じになっていたりと、昔の自分の作品の出来に追いつくことすらまだまだ先が長いと痛感しました。

ただ、この遠征では昔の銀塩時代の仲間2人との遠征となり、本当に楽しい1夜でした。
やっぱり仲間と一緒に楽しむほうが私には合っています。 


それから半年以上の時が流れ・・・

ようやく8月になり、仕事の休みと天候がシンクロし、7ヶ月ぶりの遠征に行くことができました。

まず悩んだのが遠征先。

昔、銀塩時代の遠征先は、春~秋が浄土平、冬場は里美牧場、ときどき御嶽山や戦場ヶ原、という感じでほぼ固定されていました。
ところが、浄土平が火山活動の影響で現状夜間使用不可能となっていることから夏場の遠征先の宛てが無く困ってしまいました。
なるべく標高の高いところに行きたかったので房総や茨城は最後の手段とし、八ヶ岳周辺、奥日光周辺、信州(しらびそor御嶽)、富士山周辺、天城あたりを候補にして仲間とあれこれ検討した結果、GPV予報も良かった天城に行くことになりました。

とは言っても、天城が著名な撮影地の一つであることは知っていましたが、私自身は1回も行ったことが無く、現地の様子などネットで情報収集したりとそれなりに研究して遠征に臨みました。

私の住む千葉から伊豆半島へのアクセスは、東京を突っ切り、東名に乗り、厚木から小田原を通り、箱根に上がって南下するか、海沿いを南下するというイメージしかありません。
遠くて混んで時間がかかるという先入観がありましたが、youtubeで見つけた動画で東名の沼津から伊豆縦貫道などを経て修善寺から山に上がるルートを知りました。
実際に走ってみると非常に快適で予想以上に素早く現地にアクセスできました。
山に上がる寸前の中伊豆の町でコンビニやスーパーに寄れるのもありがたかったです。
(道も穏やかで良いので富士山五合目よりもラクかも・・・)

現地はきれいな舗装の駐車場。
トイレもあり(ちょっと明かりがまぶしいけど大した影響は無い)、天文屋以外の駐車場への出入りが結構ある他は非常に快適な観測地でした。


さて、遠征当日の様子です。


5日(金)は仲間と2人での遠征でした。(下の写真は、手前が仲間のシステム、後ろが私のシステムです)

初めての場所でもあり、金曜でもあり混み合うかと思い、まだ日のあるうちの現地入りをしたのですが、予想に反して天文屋の方は少なく、結局は私と仲間以外に3台程でした。
しかし、翌日は奥の駐車場が天文屋で埋っていたようで、土日に訪れるときは現地入りから色々気をつけなければいけない場所だと感じました。
(facebookグループで、ドアの開閉に関して苦言を呈されている方がいたり、夜間の駐車場進入時の車のライトに関する対立も話題になっていましたね)

この日は薄明終了してしばらくしてから快晴となり、一晩中素晴らしい空を楽しむことが出来ました。(この日はGPVを信じて良かった!)
1月の遠征以来だったので、望遠鏡のセッティングから写真の撮り方に至るまで、すべて一つ一つ思い出しながらの作業でしたが、何とか撮影をこなすことができました。
1月の遠征の反省から、ピントを真面目に丁寧に合わせることと、ヒストグラムを見ながら十分な露出時間を確保することを意識して撮影しましたが、その辺はおおむね上手くいったように思います。

ただ、この日は湿度が非常に高く、機材はびしょびしょでした。
主鏡FSQには強力なケンドリックのヒーターをつけていたので、全く曇ることはありませんでしたが、ガイド鏡のコーワの100mmレンズにつけていたアストロアーツのヒーターの方は頑張っていたものの最後のほうに力尽きました。(ガイド鏡の対物レンズを拭いてなんとか持ちこたえました) 

また、上の機材の写真を見てもらえばわかると思いますが、今回は三脚を伸ばして運用してみました。
昔(今も?)は、なるべくガタの原因を減らし、振動をもらうリスクを下げ、風などの影響を抑えるため重心を下げるため三脚は伸ばさないのがセオリーでしたが、あえて三脚を伸ばすことにしました。
理由は簡単で、現状PCレスの撮影システムを組んだため、構図の確認は試写と調整を繰り返します。
ところが、三脚を伸ばさず縮めたままだと、試写したコマを確認して、カメラ本体のライブビューで確認しながら調整し・・・という作業を地面に張り付くような非常に厳しい体勢で繰り返さなくてはならず、1月の遠征の際にもこの作業が最も苦しかったからです。
今回これで撮影してみましたが流れているコマは皆無でした。
無理な体勢での作業を回避できたことだけでも撮影中のQOLが何十倍にもなったような気がします笑。
現代のデジタルならではの短時間露出主体の撮り方であれば、三脚を伸ばしておくリスクも上手くなんとかなることがわかりました。
風があまり強くなく振動源も少ないなどの条件さえクリアしていれば今後は積極的に三脚は伸ばして使うことにしようと思います。 (もちろん触ればグラグラしますよ)

中1日空いて、8日(月)は単独での遠征となりました。
単独遠征は、D700を買ってから何回か星景写真を撮りに御嶽山や八ヶ岳や瑞牆山などに数回行ったっきりで、久しぶりでした。
台風5号の雲の影響が心配でしたが、GPVでは伊豆半島だけ晴れっぽい感じでしたので、意を決して職場から直接現地に向かいました。(バッテリー充電しておいてよかった!)

現地には同じ千葉の眼視の方(Ninja320!かっこよかった!)が先着されていた以外は誰もおらず、最終的にも天文屋は私を入れて4台だけでした。
どこもそうかもしれませんが、混むときとそうでないときの差が激しいようです。 

この日は夕方は良い感じの夕焼けで晴れへの期待が高まりました。
が、GPV予報に反して一晩中全天に薄雲がかかったようなぼやけた空で、動きの遅い筋状の雲が居座り、わずかなマシな方向に筒を向けるしかないという苦しい条件でした。
夜半過ぎには完全に曇りになってしまったので、フラットの撮影を色々なパターンで行い、薄明開始頃に撤収して家路につきました。 
湿度も低く、さわやかで快適な気温だったのですが、肝心の天気がイマイチでした。 

まあ、決して良い条件ではありませんでしたが、その中でも何とか前回に続いて経験値を蓄積できたので善しとしています。


今回2回の遠征はそれなりに充実した遠征となりました。

1月の反省も克服できたし、ひとつひとつハードルを越えていく楽しさを味わっています。

また、今回はFSQ106EDのF5主焦点で初めて撮影でき、改めて非常にフラットでシャープな光学系であることがわかりました。


そして、初めて訪れた天城ですが、特筆すべきは南天の暗さ。

これは、私が今までに行ったことがある観測地の中でもトップクラスの条件の良さだと感じます。 
関東近辺の観測地だと、どうしても南天が明るい場所が多く、そういった意味では非常に貴重な場所だと思います。
南の低空の対象でも十分撮影に耐える空ということがわかったので、今後は積極的に訪れたいと思いました。
(駐車場の構造上、南の低空の撮影中に夜間駐車場に入ってくる車のライトの光をもらうリスクはありますが、短時間露出のデジタルであれば撮り直せば良いだけの話です) 

ただ、夏場の低山の宿命でもありますが、とにかく虫(蚊だけでなくもしかしたらブヨも!?)が凄い!
気温が高かったので一晩中アロハシャツで過ごしたのですが、両腕の肘から先におびただしいほどの虫刺されが・・・ムヒを携帯していて本当に良かったと思いました。
未だに刺された跡が消えずに残っています。 

天城も標高1000m程度ありますが、私の一番好きな観測地である浄土平(標高1500mちょい)に比べても虫(特に蚊)の多さには驚きました。
次は虫除けスプレーも用意したほうがよさそうです。 


まだコンポジットやフラット処理などのきちんとした画像処理に全く手をつけていませんので、こちらはゆっくりと画像処理の研究をしながらやっていきたいと思います。
(JPEG撮って出しの1枚からなんちゃって画像処理した『簡単フィニッシュ』の画像は次の更新でアップしようと思っています笑)


P.S. もの凄くシカが多い場所でした笑

 

再開時のシステム

2016-08-10 | 機材~天文機材や写真機材など

天体写真を再開するにあたって、機材の選定は最大の問題でした。
直焦点星野写真の分野では、やはり機材の占めるウェイトが非常に大きく、それなりに考えてシステムを組む必要がありました。 

 

銀塩時代の撮影システムは,,,

 PENTAX MS-4赤道儀 + PENTAX125SDHFとPENTAX105SDHFの2連同架 + ST-5cオートガイド
   Takahashi EM-10赤道儀+ PENTAX105SDUFⅡメイン鏡筒 + TakahashiFC60NC + ST-4オートガイド

という2台出しのなかなか大掛かりなシステムでした。
場合によってはVixenのVISAC VC200Lを使うときもありました。 

とりわけ、今は手放してしまいましたが、メイン架台として使っていたMS-4赤道儀が非常に優秀で、長時間ガイド成功率の高さとデザインの格好良さもあって本当に気に入っていました。

このシステムで焦点距離800mm+6×9中判2~3時間の露出をコンスタントに成功させていたわけです。


そして、今回復帰するにあたり、撮影システムをどうするかを楽しく悩み抜きました。

ポイントは,,,

 1 銀塩時代はそれなりの結果を出していたので、そこからクオリティをあまり落としたくない
 2 その要求水準の中で、なるべくシンプルなシステムにしたい(特にPCレス)
 3 写真中断前からの機材の進化を味わい楽しみたい
 4 それなりの所有満足感があり、さらに一ひねり効いたものにしたい 
 5 銀塩時代にやり残した長焦点による小銀河の撮影にも耐え得る鏡筒に拡張できる余裕があるシステムを組みたい 

そして、デジタル全盛の現代では、銀塩時代のような超長時間露出が不要であり、短時間の露出を複数枚撮影して事後にコンポジットする撮影法が主流であることを知り、それを踏まえてシステム選定に入りました。


そんな中、出てきたいくつかのポイントは,,,

架台系統については,,,PCレスで自動導入可能、PCレスでオートガイド可能、搭載重量はMS-4の20kgと同等かそれ以上
撮影光学系については,,,銀塩時代の中版400mm/640mm/800mm/1120mmをできるだけ置き換えられる明るい筒

という感じでした。


撮影デバイスはNikonの天体写真用フルサイズD810Aで決まっていたので、昔の中判の画角と同じ画角を得るのであれば、焦点距離は昔の半分でよく、メイン光学系は焦点距離200~600mmあたりから選択することにしました。
ただ、カメラレンズでSIGMAの180mmマクロを持っていたため、焦点距離300mm以上のタカハシFSQ-106ED・FSQ-85ED・FSQ-130ED・ε-130D・ε-180EDおよびVixen VSD100F3.8を候補にして検討の日々になったのです。

今回は、撮影光学系から架台から電源に至るまで初期投資として一通り揃えなければならず、予算の関係で高額なFSQ-130EDは候補から外れました。
さらに、反射系の鏡筒は私の性格から考えて光軸調整などの細やかなメンテがネックで、しかも焦点距離の切り替えができないこともあり、εも候補から外れました。
そして、残ったFSQ-106EDとFSQ-85EDとVSD100の中で、上の条件に最も合致していたFSQ-106EDに決めました。
コンバージョンレンズのF3レデューサーが出たばかりであり、主焦点500mmちょいと300mmちょいの2系統を切り替えることがでることと、ユーザーの方が多く実績十分であることが決め手となりました。
実は購入寸前まで昔愛用していた『ツチノコ』PENTAX100SDUFⅡの面影を色濃く残すVSD100とどちらにしようか悩んだのですが、Nikon用の強化カメラマウントやコンバージョンレンズなどの周辺が未整備で価格も高いことで最後の最後に外れてしまいました。

次に架台系統ですが、PCレスで自動導入不可能なことからまずタカハシの架台が候補から外れ、VixenのSXP・AXD、iOptronのCEM60-EC・iEQ45Pro、スカイウオッチャー(ケンコー扱い)のEQ6、セレストロンCGEMあたりから選ぶことにしました。

価格とスペックのバランスから国産Vixenは厳しく、また、一つのパッケージとして海外製品との完成度の差は歴然で、最初にVixenが候補から外れました。
今回は、英語に難を抱える私としては非常に不安ながらも海外製品から選ぶことを決心し、実質的に中国製のiOptronかセレストロン、スカイウオッチャーのどれにするかでメイン光学系以上に悩み抜きました。

そんな中、秋葉原の三基やKYOEIで展示してあったCEM60-ECの独特なフォルムに心奪われ、若干高いながらもこれに決めたというわけです。

ガイドシステムについてはPCレスシステムでいきたいと思っていたので、Vixenかセレストロンか新星M-GENから選ぶことにしました。
架台でVixenを候補から外したため、事実上の2択でしたが、感度が高いということでM-GENでいくことにしました。

これで、再開時のシステムが固まったわけです。 

今回の再開にあたってシステムを検討してみて思ったのが、海外製品の品質が想像以上に上がっていたこと。
特に中国製や中国生産の機材の品質の上昇には驚かされました。

また、自由で合理的な発想からくる製品が多く、正直言って国産品よりもワクワクするものが多いと感じました。

今回購入したiOptronのCEM60-ECも架台本体に自動導入、三脚、アルミケース、電源ケーブル(DC12VとAC100Vの両方)が初めからセットになっており、鏡筒があれば即観望可能というオールインワンパッケージとして非常にシンプルで優秀だと感じています。

価格も安いので、国産は今後相当苦戦するだろうと感じます。
今年のCP+を見てビクセンが海外を追いかけ始めたような印象をもっていますが、よい意味で切磋琢磨してほしいですね。 

一方で昨年15年以上ぶりの撮影遠征で富士山五合目に行ったとき、昔のタカハシとペンタックス一辺倒の状況からは想像もつかないほど撮影機材のバラエティが富んでいて
驚きました。
優秀で安価な海外製品がどんどん入ってくることで選択肢の豊富さという意味では非常に幸せで楽しい時代になったものだと感じます。

色々な選択肢があると楽しいですね。(お金がいくらあっても足りませんね笑)


 


はじめまして!

2016-08-10 | その他

はじめまして!

 

この度、天体写真撮影趣味の本格的な再開をきっかけにブログ開設してみました。

テキトーな性格なので定期更新も怪しく、いつまで続くかも心配ですが、やれるところまで気楽にやっていきたいと思います。

 

天体写真は15年以上前の銀塩フィルム写真全盛の頃にずいぶん熱心に撮っていました。


当時は天文3誌(天文ガイド・SKY WATCHER・月刊天文)やその他フォトコンにも積極的にチャレンジしていて、ずいぶん入選することもできました。
PENTAXのMS-4に125SDHFや105SDHF、タカハシのEM-10に105SDUFⅡの2台出しで浄土平や里美牧場にしょっちゅう遠征していました。

しかし、フォトコンで勝つための撮影で消耗したのかだんだんモチベーションが下がり、仕事が急激に忙しくなっていく中、当時持っていた望遠鏡やカメラなどの撮影機材全てを売り払い事実上の引退状態になっていました。

 

その後10年近くカメラすら触らず仕事に没頭していましたが、NikonD700の登場を知り再びカメラを購入。
銀塩時代とはケタ違いの高感度に度肝を抜かされ、写真の趣味をじわじわと再開。
星景写真をほんのたまに何かのついでに少しだけ撮ってみるなど徐々に写欲が高まっていました。

しかし、風景などの写真が中心で、本格的な天体写真、特に機材も大掛かりになる直焦点星野写真の分野の再開には二の足を踏んでいました。

その後、スカイメモを再び購入するも赤(Hα)が写るNikonのカメラが純正では存在せず、今一気分が乗り切れませんでした。 
(元来のNikon好きでレンズもNikon中心に揃えていたのでCanonに乗り換える気にはなりませんでした)

 

しかし昨年状況が一変します。

D810Aが登場し一気に気分が高まり、同じタイミングで昔の仲間とも再会し再びこの趣味を再開。

昨年秋に、再会した仲間と富士山富士宮五合目に15年以上ぶりとなる遠征。
スカイメモRとカメラレンズで15年以上ぶりのガイド撮影を楽しみました。 

そして、暮れに直焦点撮影の機材を再び揃え、今に至ります。


あの頃のバイタリティーはありませんし、フォトコンなどの競争の世界に再び足を踏み入れるつもりも今のところありません。
「人は気にせず自己満足を大切に」肩の力を抜いて趣味を楽しみたいと思っています。
仕事も忙しいですし、ヘンな消耗をせずに長く楽しみたいですからね。

 

ところで、自分がこの天体写真の世界を離れている間にずいぶん環境が変わって驚きました。

雑誌では、天文ガイドこそ健在であるもののSKY WATCHERは星ナビに変わり、いつのまにか月刊天文は休刊になってしまい寂しい限りです。 
昔なじみの天文ショップ(三ツ星)もいつのまにか店をたたんでしまい、昔の仲間の多くは音信不通です。

そして何より今はデジタル全盛の時代。

当時の銀塩とは撮り方からなにから別世界で右も左もわかりません。 
画像処理もよく解らないので適当に自己流でチャレンジしています。 
その辺もゆっくりと勉強していきたいですね。

 

天体写真の他にはプラモデルが好きで、これも細々と楽しんでいます。 
スケールモデルからガンプラまで何でもつくりますよ!

 

では、よろしくお願いします!

 

★撮影機材★

タカハシ FSQ-106ED

iOptron CEM60-EC 
Kenko スカイメモS 
Kenko スカイメモR

Nikon D810A×2 
Nikon D3S 
RICOH GR digitalⅣ×2

など

★flickrもやっています!大きい写真はこちらでどうぞ!

https://www.flickr.com/photos/126921994@N08/


先日の天城高原遠征にて