望遠撮影時に手ブレに強いのは?
それぞれ、ISO感度を最高に上げて手ブレ補正効果がどれくらいの差があるかを考えてみます。FZ30を0として、それぞれ何段分有利か不利かで表していきます。
KissDigitalN | D50 | istDL | αSweetDIGITAL | |
テレ端のF値 | -2.33 | -2.33 | -2.33 | -2.33 |
ISO感度 | +2 | +2 | +3 | +3 |
手ブレ補正の有無 | -3 | -3 | -3 | 0 |
トータル | -3.33 | -3.33 | -2.33 | +0.66 |
ISO感度を最高まであげると、αSweetDIGITALが0.66段分有利だということがわかりました。では、ここで、ISO感度の画質の差を考慮してみます。なお、新しい機種についてはレビューがありませんので、FZ30についてFZ5を、istDLについてはistDを、D50についてはD70Sを、αSweetDIGITALについてはα7Dを参考にしています。多少の差はありますが、FZ5のISO200とその他の一眼レフのISO1600がだいたい同じくらいの画質に見えます。3段分の差になります。なお、画質比較についてはImagingResourceというレビューサイトの同一場面でのサンプルを参考にしました。
これらを加味してFZ30をISO200で一眼レフをISO1600で撮ったとすると以下の表のようになります。
KissDigitalN | D50 | istDL | αSweetDIGITAL | |
テレ端のF値 | -2.33 | -2.33 | -2.33 | -2.33 |
ISO感度(画質の差も込み) | +3 | +3 | +3 | +3 |
手ブレ補正の有無 | -3 | -3 | -3 | 0 |
トータル | -2.33 | -2.33 | -2.33 | +0.66 |
以上から、レンズの明るさ、画質の差、手ブレ補正の有無の差を全て考慮した上で、結局手ブレについては、αSweetDIGITALがFZ30に対して0.66段分有利で、その他の機種はFZ30より2.33段分不利ということになります。αSweetDIGITALはこの中で最も優秀ですが、レンズと合わせた価格が最安値でも132,800円と最も高いこと、重さも最も重いことが難点です。
被写体ブレについてはどうか?
デジタル一眼レフはISO感度が上げられるので、その分シャッタースピードも上げられ、被写体ブレに強いと言われています。FZ30との画質も含めたISO感度の差は約3段分有利となります。一方、今回比較している高倍率ズームレンズは望遠時はF6.3と暗いので、FZ30のF3.7と比べて2.33段分不利になります。差し引き、一眼レフの方が被写体ブレには0.66段分有利ということになります。
今回、新機種についてはISO感度のサンプルがないので、旧機種や兄弟機種で比較しました。サンプルが揃ったら改めて比較してみたいと思います。
それぞれの長所短所
一眼レフ+高倍率ズームレンズの組み合わせですと、FZ30と同じようにレンズ交換しなくても広角から望遠まで撮影することが出来ます。ただし、28-300mmのレンズですと換算42-450mmで広角側が弱くなり、18-200mmのレンズですと28-300mmとなり望遠側が弱くなります。
これらのレンズは望遠側のF値が大きい(暗い)ので、せっかく高感度で撮影できる一眼レフですが、その分を相殺してしまいますので、思ったようにシャッタースピードを上げることが出来ないため、手ブレの可能性が高くなります。FZ30のように手持ちで気軽に撮影できるのは、条件の良い時に限られてしまいます。感度で約2段分強の差です。ただし、広角側の撮影では、レンズがそれほど暗くは無いので、これらのズームレンズでも高感度で撮影することで被写体ブレにも手ブレにも、FZ30よりも有利になります。
また、いくら一眼レフが小さく軽くなったとはいえ、これらの高倍率ズームレンズと組み合わせると、FZ30よりもかなり大きく重くなってしまいます。更に、望遠時の手ぶれを防ぐためには一脚や三脚が必要になる場合も多く、そういう時にはそれらの持ち運びのことも考慮しなくてはなりません。
そういう意味で、一眼レフで比較的安く手持ちで手軽に望遠撮影を楽しもうと思うなら、コニカミノルタのαSweetDigitalが最適だと思います。他のメーカーのカメラでは、高価で大きくなりますが、手ブレ補正レンズや、明るいレンズを使えば、FZ30以上の望遠撮影を楽しむことが出来ます。
画質面では、高感度の撮影時にはFZ30よりもノイズの少ない写真を撮ることが出来ます。感度で約3段分一眼レフの方が有利です。また、ボケ味を生かした写真を撮れるのも一眼レフの強みです。FZ30は、一眼レフを除くカメラの中ではボケ味を最も出せる部類になりますが、一眼レフには及びません。逆に手前から奥までピントがあったパンフォーカス写真を撮るには、CCDの小さなFZ30の方が有利です。一眼レフでFZ30と同じ被写界深度を得ようとすると、絞りを大きく絞る必要があり、シャッタースピードが遅くなるため、ここでも三脚などのブレ防止の工夫が必要になります。
また、一般的によく言われるのが、一眼レフは一部の機種を除きCCDへのゴミの付着の心配がありますが、レンズ交換不要のカメラはその心配がありません。反面、一眼レフでは、レンズ交換することで撮影意図に応じていろいろな撮影を楽しむことができます。レンズは資産として残せるので、新しい機種が登場した時は本体だけを買い換えるといったバージョンアップができます。ただし、通常は各メーカーごとにレンズの取り付けマウントが違うので、他のメーカーに乗り換えるとレンズ資産が無駄になってしまうため、気軽に乗り換えられないという側面もあります。
他には動画撮影が出来る、液晶が自由に動かせるので、ローアングルやハイアングルでの撮影がしやすいなどの点が、一眼レフに勝る点です。
望遠撮影は高倍率コンパクトズームカメラで行い、広角の撮影は一眼レフという使い分けをしている方もたくさんいらっしゃいます。ただ、FZ30はボディサイズが大きいので、一眼レフのサブにはなかなかなりにくいと思います。撮影機能は限られますが、12倍ズームカメラ中最小最軽量のFZ5などの方が向いているかもしれません。
FZ30は、広角から望遠まで幅広い状況で本格的な撮影もしたいが、レンズや三脚をいろいろ持ち歩くのは面倒だ、低価格で望遠撮影を楽しみたいといった方にピッタリのカメラだと思います。あるいは、FZ30に新しく搭載されたEX光学ズームを使って、15.3倍(5MP時)、19.1倍(3MP時)光学ズームなど、他のカメラでは今のところ真似の出来ない性能を生かした超望遠撮影を、比較的コンパクトに行いたい方にもお勧めのカメラです。1.7倍の純正テレコンを使えば、8MP時で約714mm、5MP時で約910mm、3MP時で約1140mmの撮影が可能です。
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顔から火が出ました(笑)