日韓往来 [Journal Korea]

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「慰安婦」問題、韓国政府の立場の変遷 1995~2002年 ◆(再)

2013-02-09 15:51:45 | 戦後・「慰安婦」問題◆

資料:「慰安婦」問題、韓国政府の立場の変遷 1995~2002年
作成:原田 信一 日時: 2012年11月20日 0:03
── http://www.zephyr.dti.ne.jp/~kj8899 ──から

 韓国政府の立場:1995~2002年
 を跡づける資料。事実は事実として記録。変わるな、ではない。「変わった」なら、その理由、理解できる説明を公開してもらいたい。

「慰安婦」問題に関し、日本政府に対して(プレスに)出されたアジア女性基金(財団法人女性のためのアジア平和国民基金)関連論評など。
(*翻訳文は入手時のままとした)


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日本の「女性のためのアジア平和友好基金」設立について
韓国政府外務部当局者論評(訳)
1995年6月14日

1. 韓国政府は、従軍慰安婦問題についてのフォローアップは.基本的に日本政府が1993年8月に発表した実態調査の結果により自主的に決定する事項であるが、従軍慰安婦問題の円満な解決のためには.当事者の要求している事項が最大限反映されることが必要であることを指摘してきた。

2. 右と共に、今次日本政府の基金設立は、一部事業に対する政府予算の支援という公的性格が加味されており、また、今後右事業が行われる際、当事者に対する国家としての率直な反省及び謝罪を表明し、過去に対する真相究明を行い、これを歴史の教訓にするという意志が明確に含まれているとの点で、これまでの当事者の要求がある程度反映された誠意ある措置であると評価される。

3. 韓国政府は.今後日本が今次基金設立を契機に、様々な過去史問題に対する真実を明らかにし、右解決のための努力を積極的に傾けていくことによって、正しい歴史認識を土台にした近隣各国との未来志向的な善隣友好関係に発展させていくことを期待する。

(注)「基金」設立を、1995年6月14日、五十嵐内閣官房長官(当時)が会見で発表。
 これに対する同日の論評。
 「女性のためのアジア平和友好基金」は当時の仮称。

 =財団法人女性のためのアジア平和国民基金 原文兵衛理事長(


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アジア女性基金支給について
韓国政府外務部スポークスマン声明
1997年1月11日

1. 日本の女性のためのアジア平和国民基金は、関係者をソウルに派遣し、1月11日、軍隊慰安婦被害者5名に200万円を支給し、橋本総理名義の書簡を伝達したことが明らかになった。

2. これまで韓国政府は、機会あるごとに日本政府に対し、96年4月の国連人権委員会が採択した決議を自発的に履行し、被害者および被害者団体が総意として受け入れることのできる解決方策を講じることを求めてきた。

3. 今回、日本の基金側が問題の深刻さを認識せず、韓国政府および大多数の被害者の要求に目を背け一時金支給等を強行したことは、まことに遺憾であると考える。

4. 今日の国際社会において、新たな地位を追求している日本としては、なによりもまず女性の尊厳を傷つけた恥ずべき歴史を正しく清算せねばならない。

5. 日本政府が問題意識を新たにし、日韓関係も考慮し、わが国の被害者および被害者団体が受け入れることのできる解決策を早期に講じることを強力に求め促すものである。

(注* 会場で5人。ほか2人に自宅でとどけた。また総理のおわびの手紙などのほか償い金200万円、日本政府からの医療福祉支援事業300万円規模は「目録」だった。)


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生存する元軍隊慰安婦被害者に対する
支援金支給に際しての韓国外交通商部スポークスマン声明(訳)
1998年4月21日

1.日帝時代、旧日本軍により表現することのできない苦痛と試練を被り、余生がいくばくもない元軍隊慰安婦被害者たちは、現在も心身の苦痛により不幸な生活を送っている。

2.政府は、このような事実を重視し、自ら被害者たちの苦痛を和らげるために、かれら各々に対し支援金3,150万ウォンを支給することを決定した。また、この支援金とともに、昨年二度にわたって行われた民間の募金額650万ウォンも支給される。

3.日本は過去に行った反人道的な行為に対し心から反省し謝らなければならない。

(注*この項、4.14発表予定文では
3.わが国政府は、日本政府に対し、被害者個々人に対する賠償を要求しないつもりである。しかし、日本は過去に行った反人道的な行為に対し心から反省し謝らなければならない。
──となっていた。4月14日の国務会議で「日本の賠償に代わって」の趣旨で支援金提案がなされたが異論が出て決まらず、21日の同会議で「日本の賠償に代わって」の部分をなくすなどして支援金支給を決定した。声明文も、挺対協が外交通商部に訴えて同部が前段を削除したと伝えられた。しかし大統領スポークスマンは、政府として日本に賠償要求はしない立場表明。)

4.日本が過去の歴史を正しく認識し、謙虚な姿勢で反省してこそ、韓日両国が真の親善友好関係を発展させることができるという点を、われわれは再度強調するものである。

*4月21日、朴智元(パク・チウォン)青瓦台スポークスマンは「民間団体が日本政府に賠償を要求し続けることに対して、政府は介入しないつもり」だと述べた。「韓国政府として日本に個人賠償を求めるつもりはない」との立場を、その後も公言している。


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韓国政府の立場
1998年6月11日

わが政府の支援金支給の決定は、韓日間の最大の懸案問題である軍隊慰安婦問題が、両国の発展にこれ以上障害にならないようにするための積極的な措置であり、「基金」事業を阻止することを目的としたものではない。

当初、前政府では「基金」事業を阻止する目的で政府支援金支給の方策を検討したことは事実であるが、新政府出帆後の支援金支給の目的は「基金」事業の阻止ではなく、対日賠償問題の解消との次元へ肯定的転換をすることによって、過去史に関わる最大の懸案である慰安婦問題を韓国政府の一方的措置により妥結しようとするわが新政府の決断であることを改めて示すものである。われわれはこのような措置の背景について去る4月18日、アジア太平洋局長の訪日の際に説明したが、これに対し日本側は評価より、かえって今後「基金」の使用問題に対する「基金」側の不満を通報していることに内心失望している。

被害者への支援金支給の際、「基金」の一時金を受け取らないとの誓約書を求めたのは、韓国政府の支援金を受け取って、また「基金」の一時金も受け取るのは、他の被害者との衡平の上で不適切であるという点と、「基金」の一時金支給に反対する国内関連団体の立場を考慮した結果によるものである。また、既存の一時金を受け取った被害者に対しては、「基金」側に返却する場合、支援金を支給し、同意しない場合には一時金返却を強要しない。なお、一時金を返却する場合にも実際に支援金と一時金との差額の300万ウォンを追加支給することになる。

このようなわが政府の措置にもかかわらず、「基金」側が既存の一時金支給方式を固守する場合、これはわが政府の前向きな措置を正面から否定するものであり、慰安婦問題を韓日間の賠償問題に戻すことであることを「基金」側が十分認識すべきである。

わが政府としては「基金」事業自体を否定するのではなく、一時金支給方式に反対するのである。したがって、日本側はこのような点にかんがみ、「基金」が現在の一時金方式から発想を転換し、韓国の関連団体と大多数の被害者たちの要求通り、軍隊慰安婦問題を歴史の教訓とするための事業(たとえば慰霊塔、記念館設立など)に基金方式を変更すべきである。

わが政府は、「基金」に参加した日本の有識者の多くが良心的な方々で韓日間の過去史問題の解決のため、その間、関心を持って努力してきたことを高く評価している。21世紀に向けた新たな韓日関係を築いていく上で過去史問題が円満に解決されるためには、日本内の良心的な有識者たちの努力が何よりも重要であるだけに、今後「基金」側がわが政府の立場に十分かんがみて前向きな対応を講ずるよう願う次第である。


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金大中大統領の関連発言

韓国・金大中大統領
1998.4.29

ソウル訪問中の日本の報道各社政治部長と会見(青瓦台)

韓国政府支援金支払いについて
大統領はその趣旨について、「日本の女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)からの償い金を受け取りたくない人が、受け取らなくてもすむようにした」と説明した。(朝日4.30.若宮啓文)

金大中大統領
1998.12.

この(「慰安婦」)問題については訪日前(1998.10.の首脳会談)、私には大変な圧力がかかりました。しかし、この問題も取り上げないことにしたのです。政府は被害者に支援金を渡しましたので、それ以上日本から受け取るなとか、受け取れとかは、いわない方針です。

運動団体や被害者とよく話してみて、受け取りたいというなら受け取ればいいし、慰霊塔をたてるのがいいといえば、それをたてるのもいいし、その他の方法があればそれもいいでしょう。一回で話がつかなければ、二回、三回と話してみたらどうでしょうか。

* 同趣旨を1998年10月(離日する大阪などで)、韓国記者らにも発言し、韓国でも報道されていると伝えられている。


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アジア女性基金の韓国関連事業再開方針表明に対する
外交通商部当局者論評 東北亜一課

外交通商部スポークスマン
2002.2.21

▽日本の女性のためのアジア平和国民基金側が、2月21日(水)に、韓国に対する事業を同日再開し、5月1日に終了させることとした旨発表した。
▽これに対し、韓国政府は、韓国側被害者の大部分と関連団体が、同「基金」の一時金支給に反対している点を認識し、被害者と関連団体が受け入れられる別の方法を講じるよう求める。
▽韓国政府は、被害者に対し、支援金を自主的に支給したことがあり、毎月一定額の生活費を支援している。

(付帯資料)
韓国政府の旧軍隊慰安婦支援

▽生活安定支援法 登録者に一時金500万ウォン、毎月50万ウォン
▽支援金支給98.5から 一時金3800万ウォン(うち民間650万ウォン)
▽市、道によっては毎月5.6万~50万ウォン
▽生活保護法 毎月15.7万ウォン、死亡者50万ウォン、希望者は望郷の丘安置
▽医療保護法 外来、入院無料
▽ 老人福祉法 65歳以上に月4万ウォン、80歳以上月5万ウォン、65歳以上の希望者に健康診断実施


(追加・参考)
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* アジア女性基金実施に対抗して韓国政府は1998年5月、相当額一時金を当事者に支給(運動の募金分に上乗せ)。その際、アジア女性基金(「民間基金」という)を受け取らない「覚書」を条件とした。疑わしい者にも支給を保留した。
* その支給趣旨などを書いた文書、プレスリリース。
* これに対して日本側(アジア女性基金など)から質問、中止要請を行ったことに対して韓国政府から出された見解が「韓国政府の立場」1998年6月。
*後期には、韓国政府の立場は限りなく運動体・挺対協(挺身隊問題対策協議会)に重なっていく。


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「支給式」のあいさつ

日軍慰安婦支援金を差し上げる行事
日時:1998.5.7(木)11:30
場所:保健福祉部大会議室

保健福祉部長官

ハルモニの皆様、そしてハルモニたちのために常に尽くしてくださっている韓国・挺身隊問題対策協議会関係者、第一線の公務員、さらに後援者の皆様方が一つの席にお集まりくださいました。

本日は、特別な日であるため、ハルモニの皆様全員が集まることはできませんが、市・道を代表される方々だけでもお招きし、本日を記憶する日として席を設けようと、わざわざご来訪いただきました。

我がハルモニたちは、日帝下でどの誰よりも大きな被害を受けられた方々であられます。口にするのが困難な苦痛を経て、誰にその苦しい事情を訴えることも一度として思う通りにはならないまま一生涯を生きてこれたものと存じています。これは民族的な痛みであり、時代的な痛みともいえます。

これまで政府はハルモニたちの困難な立場を十分に察することができませんでした。しかし、幸いなことは、去る93年からハルモニちのための生活安定支援法をつくり支援金を差し上げることができるようになり、医療の恩恵と賃貸住宅入居が可能になるようになりました。しかしながら、これは年老い心身の具合が悪いハルモニたちの生活に十分にお役に立つことはできなかったと思います。

この問題には政府も当然最善を尽くし努力してましたが、これに先立ち日本政府が過去を反省し、お詫び(原文:謝過)することこそがふさわしいものでありました。しかし、むしろ、日本政府は「民間基金」をつくり、ハルモニたちを誘惑することで憤怒をかっているのが事実です。

皆様もよくご存知のように、我が国は現在、IMF経済難で国家財政が非常に難しい状況にありますが、この金額がたとえ満足のいくものとはならなくても、最善を尽くしたものであることをご理解くださるようお願い申し上げます。

今日は我々の自尊心を再確認する日です。ハルモニたちの自尊心が崩れないように我々政府も最善を尽くしていることをお見せする日です。今後、政府はハルモニたちの余生が安らかなものとなりますよう、全ての国民と共に力を合わせ努力致します。

これまでご苦労なさったハルモニたちと「挺身隊」関係者、最前線に立つ公務員の皆様のご労苦に深い感謝と称賛を捧げます。

どうかご健康で、長く長くお元気でいらっしゃいますことをお祈り申し上げます。
ありがとうございました。

1998.5.7     保健福祉部長官 金慕妊(キム・モイム)


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PRESS RELEASE
区分   報道資料 資料配布日5月6日 枚数総2枚
報道日時 5月8日朝刊から報道するようにお願いします
担当部署 女性福祉課課長、事務官(姓名、電話省略)

日本軍慰安婦 政府支援金支給

○保健福祉部は98.5.7 11:30 福祉部大会議室において慰安婦ハルモニ代表15名に対する政府支援金支給の行事を設ける一方、それ以外のハルモニにも政府支援金を個人的に支給した。

○政府支援金は一般会計予備費49億ウォンから1人当たり3,150万ウォンずつ支給され、支援金支給に先立ちハルモニたちが日本の民間基金を受け取らないという覚書も個別に請求した。

──日本の民間基金を受け取ったものと推定されるハルモニには支援金支給を保留し、最終確認を経て支給の可否を決定する予定である。

○支援金支給はハルモニたちの希望を調査し、一時払い・分割支払い・預金利子支払い方式等、多様な方法を選ぶことで支援金が無駄に流用されることがないようにする方針である。

○また、去る1月に「挺対協」主幹で募金した国民誠金も1人当たり300万ウォンずつ届けられた(日本の民間基金受領者には未支給)。

○ 一方、カンボジアに居住していた「フン」ハルモニが去る5月1日永住帰国したことに伴ってこの席に参席し、慰安婦登録通知書を受け取り、今回の政府支援金等生活安定支援金も渡された。

○慰安婦ハルモ二たちに対しては、今回の支援金以外に生活の安定のために、
──最初の登録時、一時金500万ウォンと毎月50万ウォンを支給しており、
──生活保護法による生計費(月162千ウォン)と老齢手当(月3.5万~5万ウォン)
──医療保護法による医療保護、永住賃貸アパートについての優先入住等

を支援している。

日軍慰安婦 登録状況(1998.5.4 現在)
登録 186 死亡34 生存152 海外居住2(人)

(注*保健福祉部は厚生省にあたる政府機関。支援金3150万ウォンは310万円相当。)

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すれ違い

「個人請求権」の有無,根拠
▽日韓基本条約、請求権・経済協力協定1965年で「慰安婦」の議題は出ていなかったから個人請求権ある、という韓国政府。
▽「人権問題だから」個人請求権ある、ともいう。(韓国憲法裁判所)

検討
▽そもそも請求権を相互に放棄し、損失・損害を「経済協力(金)」で一括解決する趣旨で「協定」を結んだ。
▽前提として、植民地・戦争動員の解決のため日韓会談。「請求権」のすべてをふくめて「解決」する合意があった。
▽「慰安婦」問題は「日韓関係の問題ではない」と韓国側でいう。それは「協定」の趣旨から外れるし、他方で会談で話題にならなかった(別)ともいう。
▽人権問題であって日韓の条約処理問題ではないから個人請求権がある。そんな論理は理解されない。

韓国の主張があいまい
1 個人請求権の話題自身、日韓で被害・損失についての「請求権協定」なのだから、論理をそらすことはできない。

2 国際法(条約・協定)で直接個人請求権を行使できなくしたのか否か。

 日本政府は、外交保護権のみを互いに放棄したと説明。つまり個人請求権は国際法でただちに否定されない。だから昭和40ー法144号「措置法」によって韓国人の請求権は「消滅した」とした、との説明。

3 韓国は政府間では解決とする、賠償要求などの問題は政府が国内措置で対処する──のが2国間条約による戦後・紛争の前提。
 だから現実に韓国政府は1970年代、2000年代に軍人軍属,「慰安婦」、労務動員被害について調査、支援(法)によって国内処理を進めた。
日本も、韓国においた建造物、土地その他の損失を国内措置で対処した。

4 繰り返せば、65年解決体制を日韓政府ともが了解してやってきた。「慰安婦」問題でも韓国政府は「日本は自主的に何らかの措置を」と国連等でも遠慮がちにいっていた。
それを盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で反日気分と左派・運動寄りに物言いを変えていった経緯がある。

(加筆中)



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