「ベンチがひとつ」
竹下文子・作 鈴木まもる・絵
講談社 32p
1985年4月
2011年5月新装版で復刊
公園の大きな木の下にある白いベンチ。
朝、いつものおじさんが、おそうじをはじめます。
散歩のおじいさん。待ち合わせの人。遊ぶ子どもたち。
さまざまな人がおとずれるベンチの一日。
とびら
こうえんに いちばんのりは はやおきの ひと。
たいそうを する ひと。いぬを つれた ひと。
しろい ベンチも めを さます。
あ、いつもの おじさんが、ちいさな くるまで やってきた。
(p4-5)
つぎに きたのは、あかちゃんと おかあさん。
「ひなたぼっこしましょ。しろい ベンチに おひさまが いっぱい」
ばあ、ばあって あかちゃん。ほう、ほうって おじいさん。
ふたりで なんの おはなし しているの?
(p10-11)
ひるやすみの こうえん。いろんな ひとが くる。
「ひるねには やっぱり この ベンチが いちばん いいや」
ふんわり そよかぜが いい きもち。
ベンチも いっしょに うっとりする。
(p16-17)
「こうえんで あおうね。いつもの しろい ベンチでね」って
やくそくしたのに、なかなか こない ともだち。
やくそく わすれていないかなあ。
(おや、ベンチの うえに だれかの わすれもの)
(p18-19)
裏表紙
新装版の裏表紙
〈画家コメント〉
早朝の朝もやの空気、都会のビルの間から顔を出した太陽の光、
小鳥やねこ、犬、子どもたちの声。夕立のにおい。
車や、いろいろな人達の会話などの混ざった町の音・・。
最後の夜の街灯の場面まで、26年前の描いていた時のことを思い出しました。
「つえを ついて ゆっくり。いそがないで ゆっくり。」
そんなことばに合うよう、コマ絵を考えたこと。
ひとりひとりの生活を考えながら、たくさんの人の行動を描いたこと。
でも、いちばん思い出したのは、自分の子どもをひざに乗せて、この絵本を
読んでいる時の、子どもの重さや、髪の毛やほっぺたのやわらかさでした。
最近、おおぜいの子どもを相手にした読み聞かせが流行っているそうです。
それはそれでいいけど、子どもをひざにのせて細かい絵を見たり、
ゆっくり言葉の世界にはいっていける絵本が、ぼくは好きです。
そんなふうに読んでもらえたら嬉しいです。
(2011年5月 講談社「絵本通信」より)
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新装版 ベンチが ひとつ (講談社の創作絵本) | |
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