ユーカリは乾燥に強くて成育が早いことから緑化事業に向くとされ、発展途上国などで植林が進められている。だが、アフリカのサハラ砂漠周辺では、水分の蒸発によって土壌に多量の塩分が残され、植物が根付きにくい。
筑波大は塩分に強い新品種の開発を2004年から続けてきた。土壌のバクテリアから採取した耐塩性遺伝子をユーカリの遺伝子に組み込んで栽培したとこ ろ、従来なら海水の2割程度の濃さの塩水でも枯れていたユーカリが、5~9割と海水とほぼ同等の塩水でも育つようになった。
今後、現地の土壌や天候などを調査し、植林地域や広さを検討した上で、2年後をめどに試験栽培を始める。
同大生命環境科学研究科の渡辺和男教授は「ユーカリは条件さえあえば5~10年で十分な大きさに成長する。二酸化炭素を吸収するだけでなく、製紙に使う パルプやバイオ燃料の原料などとして複合的な利用が可能だ。技術移転に向けた人材育成も並行して進めたい」と話している。