甘酸っぱい日々

面白くても何ともならない世界で 何とかしようとする人達のために

1月19日 うしろシティ第3回単独ライブ『アメリカンショートヘア』

2013-02-06 23:45:22 | 単独ライブ
うしろシティの単独ライブ、初日と千秋楽に行ってきました。
単独を2回見るのは初めてだったんですが、たった4日間の間で相当変えてきていて、
もちろん最初から面白いけれど、何回もやっていく中で磨いていく方たちなんだなぁと改めて。
ネタ順は千秋楽のものに合わせています。
毎度の事ながら、今後この中のネタをやることもあると思いますので、
初日と千秋楽の変更点をメモしつつ、基本は感想だけになっています。
また、コントのタイトルは私が勝手につけています。
千秋楽にはカメラも入っていたので、DVDになるか、どこかのサービスで配信されるようになるかもしれません。
ネタバレになるようなことは書かないつもりでおりますが、どこかで見るまで待ちたいという方はご注意ください。

(2013/11 追記)
DVD発売が決定しました。
ネタバレ回避の方は、ぜひご覧になってから読んで頂くことをおすすめします。

うしろシティ単独ライブ「アメリカンショートヘア」 [DVD]
クリエーター情報なし
アニプレックス




・オープニングコント 
<卒業証書、授与>
相変わらず、単独のオープニングは一瞬で笑えるショートネタ。
千秋楽は、金子さんがメガネをやめた分、笑いどころが一カ所に定まってスッキリした感じに。
短い時間で、ストーン!と落ちる快感が気持ちいい。


・OPVTR
単独のタイトルにちなみ、お魚くわえたネコちゃんを追いかける二人。
とっても可愛らしくて、癒されるなぁと思っていたのに、最後急激にシュール(笑)


・チェンジ
<入れ替わったってことですよ!>
初日はだいぶ後半にやっていたネタですが、千秋楽はこの位置と交換。
入れ替わりネタは定番と言えば定番ですが、この二人のはまたそれとも違って。
自分達の強みを生かした、なんともあざといネタに(笑)
顔のところはずるいね。こういうことを堂々とやりきっちゃうハートの強さ。


・漫画の持ち込み
<…ヒロインだぁ!>
これは金子さんが相当キャラを変えてきてました。
初日ではだいぶ当たりが強いイヤミなおじさんだったのが、千秋楽ではちょっとやわらかい感じに。
こういうネタは、笑いどころに入るまでの導入が好きです。
客側が、「あぁ、こういう仕掛けなんだ」って気付いていく感じは、ある種さらばと似ているのかも。


・ブリッジVTR 阿諏訪とネコのかわいい映像
阿諏訪さんが猫カフェで猫ちゃん達と戯れている映像を見ている金子さん。
その様子がワイプで抜かれている。
「あーかわいい」「阿諏訪のこういう表情普段見れないもんね」とか言いながら。
ところがそんな金子さんに突然銃がつきつけられて、銃撃戦がはじまる……。
という、つまり、「ネコの映像よりもワイプの方が気になるよ!」というVTR。
いやー、本当にすごい人達だな(笑)
最後に金子さんが銃を突き付けられて、最期を悟った瞬間の表情が素晴らしかったです。
息が止まりそうなほどドキドキした。


・物件
<ちょっと迷ってますね……>
金子さんの「普通の好青年」役のハマりっぷりがすごい。きらきらしてる。
中盤の、説明しないことによる怖さのところが秀逸でした。


・ヒーロー
<どうしたんだ、フェニックス!>
初日から楽しそうだったけど、千秋楽では特に更に楽しくなっちゃったのか、
金子さんの喋りが止まらなくて全然先に進まない(笑)
阿諏訪さんも思わずキャラをちょっと降りて、「早く行けよ!」と笑いながら言っちゃってました(笑)
「ガンダム入ってる」のところがシュールすぎて苦しくなるくらい笑った(笑)


・ブリッジVTR 金子とネコのかわいい映像
先ほどの逆バージョンで、金子さんが戯れている映像を見ている阿諏訪さんに、
催眠術がかけられて……。
普段クールな感じがする阿諏訪さんが、やりたい放題ひっかきまわされてる。


・サッカー部
<思い切り泣きなさい……>
とってもアニメっぽくてかわいらしいドタバタ劇。
何気ない一言ひとことが、本当に練られているなぁ。
千秋楽ではオチに行く流れが綺麗に作られていて、こういうところさすがだなぁと。


・ブリッジVTR 人気ドラマ蔵出しNG集
これはもう何と言うか、怖さしか感じませんでした…。
最初に「何これ!(笑) なんでこれがOKテイクなの!(笑)」と思ったところからしばらくして、
金子さんがTAKE2で絆創膏を貼って出てきたところで、「そういうことか!」とわかった瞬間の怖さったら!
最初は阿諏訪さんのミスをからかっている感じの金子さんが、回を重ねるごとに明らかに機嫌が悪くなっていくところとか、
プレッシャーでどんどん追いつめられていく阿諏訪さんとか、
こんな過酷な状況に不釣り合いな陽気なナレーションとか(笑)
なんかあらゆる怖さが一気に凝縮されたようなVTRでした。結構ブラック。


・転任
<みんな、見送りに行こう!>
ピュアな金子さんに振りまわされる阿諏訪さん、という黄金パターン。
なんだけど、一見すると阿諏訪さんの方が変なのに、話が進んでいくに従って金子さんの方が変だと明らかになっていく感じ。
その導線が綺麗だから、こちらも注目する人物をちゃんとシフトしていける。


・ヒッチハイク
<『北海道』>
個人的には、今回一番好きなコントでした。
もうすごい。本当に、見事としか言えない。
ヒッチハイクという、散々やり尽くされたであろう設定で、
よくここまで自分達の色を出して、自分達にしか出来ないことをできるなぁって。
これまでによくあるヒッチハイクのネタは、ひたすらボケていくようなものが多くて、
それが悪いわけではないんですが、ふとした瞬間に、
「なんでこの人達はこんなにボケてるんだろう?」 と思ってしまうことがあって。
それに対してうしろシティは、なんでこういう状況になってしまったのか、という理由付け、ストーリーがちゃんと出来ている。
前にも書きましたが、アンジャッシュの渡部さんの、自分達はコントにおいて「マジメな教育」を受けてしまったという話。
例えば喫茶店のコントだったら、変な店員さんとそれにツッコむお客さんという感じで、ただ面白ければいいと思っていた。
でも養成所の先生に、「そんな非常識な店員だったら、普通はお客さん帰っちゃうから、
例えばその喫茶店で待ち合わせしているから帰れないとか、そういう理由がなきゃダメだよ」と言われたと。
このコントを見ながら、渡部さんのこの話を思い出していました。
しかもその理由付けを、一切台詞の説明なしで、表情だけで伝えている。そこがすごい。
どちらも悪者ではないのに、なんだか組み合わせの悪い二人が出会ってしまって、変な方向に向かってしまう。それがすごい。
そんなことをネタの最中に思ってしまって、 思わず感嘆のため息をついてしまいました。
……迷惑な客ですね(笑)
これ、KOCの予選でやったら映えるだろうなぁ。
色々なネタがあるなかでも、 絶対に埋もれないだろうし印象に残るだろうから。
でも、準決勝のBLITZは広いから、表情や文字が見えなくなっちゃうかなぁ。
そういう理由で出来ないとしたらもったいないなぁ、いいネタなのになぁ。
……とまでネタ中に思ってしまった、本当に迷惑な客ですね(笑)


・ブリッジVTR 岡崎さんの呼び出し①
ある日岡崎マネージャーに呼び出されたうしろシティ。
君達のネタは台本はいいけど、演技力が足りないと言い出す。
そこで岡崎さんと本間さん(松竹のスタッフさん)が、転校生のネタをやってみる。


・上京
<そういう中で、やれるか?>
阿諏訪さんのキャラがキレキレ(笑)
それを直球のフレーズでバシバシ斬っていく金子さんも気持ち良くって(笑)
こんなにひどいこと言ってるのに、全部面白いんだもんなぁ(笑)


・あいざわさん
<……あの、あいざわさんですよね?>
金子さんの一つ前のコントとの差が激しすぎる!本当に怖い。
何回も繰り返される阿諏訪さんの「やっべー」にひーひー笑った(笑)
あとは、話シティを見ている人ならさらに面白く感じるようなくだりも入っていたりして、
私も毎日見れているわけじゃないけれど、こういうのはボーナス的な感じで嬉しくなりますね。
オチも綺麗。


・ブリッジVTR 岡崎さんの呼び出し②
岡崎さんと本間さんがちゃんと衣装も着て、改めて転校生ネタを。
なんか、そりゃ当たり前でしょうということを言いますけれども、
やっぱり、うしろシティって本当に演技上手いんだなぁって……(笑)
こんなことを、岡崎さんと本間さんのやっているところを見て思うのは、
双方に対して本当に失礼だということは、わかってるんですけども(笑)
お二人はスタッフさんだしね(笑)
そりゃそうなりますよね。
でもやっぱり、さりげない驚きの表情とか口調とか、それが自然に見えるようにやるというのは
いかに難しいことなのかを思い知らされた感じがする。


・呼び出し
<お前、芽生えたな>
2人とも不良なのに、なんだか憎めないかわいらしい不良。
最後の金子さんの切り返しが楽しかったなー!


・EDVTR
冬の温かい日差しの中を歩く二人。
ライブが終わってしまう寂しさと、温かい空気が漂う幸せな雰囲気。
人は、一生のうちにどれだけ、こういう幸せを味わうことができるんだろうなぁ、
なんて考えていた。


EDVTRの後に出てきた二人の表情がまた素敵。
阿諏訪さんは、終わったー!と、天を仰ぎながらかみしめるような表情。
いやぁ、本当に、本当に大変だったんだろうなぁと……。
金子さんは、客席の拍手に合わせて、自分もぱちぱち。
単独としては以上なのですが、この後収録のために、追加で2本ネタをやってくれていました。
この2本がまた、素晴らしいチョイスで!
まだまだ彼らにはこんなパターンがあるのだよということを、見せつけられるようなネタだと感じました。


今回の単独では、阿諏訪さんのキャラがさらに可愛らしく魅力的になっているものが多いなと思いました。
金子さんに翻弄されるものでも、あまりかわいそうにならず、アニメっぽくコミカルな表情や演技をできるのが素敵。
一つひとつのキャラがさらに定まってきて、その中で振りきれる部分はきちんと振りきれている感じがしました。
そして金子さんは、普段も魅力的だけど、単独で見るとさらにその演技力に驚かされます。
どんな役柄も自然に自分のものにして、変幻自在に操る。
これで、自分は演技力があるとは思っていない、金子のままで演じている、と考えているのがすごいよなぁ。

ネタももちろん全部面白かったのですが、忘れちゃいけないのがブリッジの存在。
この、ブリッジが全体的にシュール極まりない件はどう処理したらいいのでしょうか(笑)
彼らは普段のコントで出さない部分、本当はやりたいけどコントじゃなかなか難しい部分を、
こうやってブリッジでやっているのかなぁ。
それにしても、ネコのかわいい映像のところはやられました。
かわいいとか、アイドル売りとか、色々言われているのはきっと本人達もわかっていて、
それを認めた上で逆手にとっちゃう感じ。
直接的に抵抗するのではなく、乗っかって活かしたうえで、裏切る感じ。
その計算高さと熱い気持ちが見え隠れする感じがして、ちょっと震える。

私は、前回の単独ライブの時の感想で、
「この人達が売れなかったら、嘘だ」
と、ちょっと強めのことを書きました。
それは別に、本人達にプレッシャーをかけているわけではなくて。
こんなに売れる要素がある人達がいるのに、この人達が売れなかったら、
もうそんな世界に期待することは何もない、と、そういう意味合いで書きました。
去年のKOCで、金子さんの言葉を借りるなら、やっと「自分達の声が届いた」という感じで、
多くの人達に認知されるようになって、人気も急上昇して。
きっと、各所から色々な思いが乗せられているんだと思います。
プレッシャーをかけられている部分もあるんだと思います。
でも、今回彼らは、そういう声をいい意味であまり気にせずに、
自分達に出来るのはいいネタを作ることだと、腹を決めていたような感じがしました。

この二人が、どこまで行くのか見てみたい。
一人は、前の相方さんには、自分のやりたいことが伝わらなくて解散してしまって。
一人は、前のコンビでは、自分だけでネタを作っていて。
そんな二人が出会って、コンビを組むことになって。
そうしたら、一人は、今の相方さんとは面白いと思うポイントが同じで、一人で全部頑張っていたという肩の荷が下りて。
一人は、二人で笑い合いながらネタを作れたのが嬉しくて、そして以前から知っている人に驚かれるくらい明るくなって。
嘘みたいだ、と思う。
書いていても嘘みたいだ。
まるで、出来すぎの、爽やかすぎの、青春マンガみたい。
ドラマチックなコントをやる人達だけど、
実はこの二人自身のストーリーこそが、何よりもドラマチックだ。
彼らのコントの登場人物達のストーリーを追いたくなるように、
彼ら自身がこれからどんなストーリーを紡いでいくのか、見ていきたいの。


この千秋楽からわずか3日後に、衝撃の発表があって、
詳しいことはわからないけれど、今の私は、ただただショックで、寂しくて仕方がありません。
彼らの新しい道を応援すべきなのはわかっているけど、
ちょっと今は、そこまで気持ちを持っていくことができません。
もう、痛いほどわかったよ。
いつもと同じように、いつもと同じ場所で、いつもと同じ大好きな人を見るということが、
いかに突然なくなってしまうものか、痛いほどわかったよ。
普段はそんなこと意識してないし、意識したくもないけれど、
でもそれが現実なんだって、痛いほどわかったよ。
イタトンは、心の痛みには効かないんだよ。
現実は、常に、私の想像の遥か上を行く。
もはやこの世界に、「確かなこと」なんてないのかもしれない。
今日も、明日も、明後日も、同じように未来が続いていくなんて、幻想なのかもしれない。
だけど、だからこそ、信じたい。
この二人は、ずっとずっと変わらずに、いつもと同じように、二人で笑いあいながら、
素敵なコントを見せ続けてくれるって、信じたい。
どんなに周りが変わっても、どんなに時が流れても。





そして世界や 宇宙や いつもの街の景色が 変わってしまっても
弱気になんかならないで
規格外の
ストーリーを
君の声で聞かせて
                   (まつきあゆむ/シュレーディンガーの子供たち)

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