社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「医療機関からみた地域包括ケア」井上健朗(2013)

2014-03-24 20:34:35 | 社会福祉学
『躍進するソーシャルワーク活動』中央法規

ソーシャルワーク活動について、制度や政策の概要の後に、その下での活動の実際を報告している。
タイトル論文はその中の1章。急性期病院からみた、地域包括ケアについて述べている。

引用
・急に大きなけがをしたり、具合が悪くなったりしたら「救急で大病院にかかればいい」という知識はあっても、病気が慢性化し、後遺症が残り、介護や医療が継続的に必要なのに大きい病院で「もうできることはありません」といわれた時にどうしたらよいかという予備知識を事前にもっている人は少ない。
・多職種連携におけるソーシャルワーカーの特性
 ⇒◯多職種の評価を取り込んでジェネラリストとしての判断(包括的アセスメント)ができる
  ◯クライエントの主体性を確保し、権利擁護(アドボケイト)を実践できる
  ◯地域の社会資源、制度に精通している(ネットワーカー)


退院援助業務に看護師が配置されることが増え、その役割分担に頭を抱えるソーシャルワーカーが少なくないと聞く。
本書を読むことで、その糸口が少し見えるような気がする。
得意分野の違い、視点の違い、互いの足りない部分の補足などなど…冷静に考えれば当たり前のことであるが、
現実にはなかなかスムーズにはいかないことも多いであろう。
でも、上記の多職種連携におけるソーシャルワーカーの特性をじ~っと見ていると、
やはり医療の領域にソーシャルワーカーは必要であり、他職種では代わりのきかない職種であると強く思う。


躍進するソーシャルワーク活動―「震災」「虐待」「貧困・ホームレス」「地域包括ケア」をめぐって
クリエーター情報なし
中央法規出版
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「累犯障害者」山本譲司(2009)

2014-03-18 14:58:57 | その他
刑務所のなかで生活をしている、障害者、高齢者についてのルポタージュ。
彼らが法を犯すまでの背景と、出所後の行く末について、書かれている。

引用
・『矯正統計年報』に「出所者の帰住先」という項目があるが、2004年の出所者総数29,553名のうち、社会福祉施設が受け入れた出所者は、わずか24名にとどまっている。
・受刑者と成り果てた障害者への地域定着支援も重要だが、やはりここは、障害者を刑事司法の入り口に向かわせないための「制度改革」と「意識改革」も同時に進めていく必要があるだろう。生まれながらの障害を抱えるがゆえに孤立し、排除されてしまう。その後の行き先が刑務所ということでは、あまりにも理不尽すぎる。


前科を持っている障害者や高齢者に対し、福祉関係者は腫れ物を触るように扱う…という文脈があった。
まさにそのとおりである。
それは「処遇方法が分からない」「何だか怖い」からである。もちろんこれは、個人的な意見だが。

それでもそこに至る背景に着目すれば、その人の本質的なものが見えてくるであろうし、
適切な処遇方法を、何となくでも、見つけることができるのではないだろうか。
本書を通して、そう思った。

累犯障害者 (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする