Peace of Mind を求めて…

悲しいことがあっても、必ず新しい朝は来るのですよね

ゆきちゃんが天国へ旅立ちました…

2023-12-24 22:25:33 | ゆきちゃん
2014年1月25日の記事で「新しい家族」として我が家に迎え入れた保護猫ゆきちゃん……
その後、大切な家族として10年近くを共に過ごし、つらい時期の我が家を愛犬リンと一緒に支えてくれたゆきちゃんが、2023年12月19日、天国へ旅立ちました…

昨年5月に、ゆきちゃんの右耳の横に直径3センチ程の固いしこりができ、左右の瞳孔の大きさが異なっているのに気づき、これは単純な病気ではないと不安になり、人間並みの最新治療を施してくれることで有名な倉敷のアイビー動物クリニックへ連れて行きました。CTやMRI検査を受け、診断された病名は「骨の多小葉性腫瘍」。
頭にできた骨のガンで、ガンが脳に浸潤しているので、手術ですべてを取り除くことは困難との診断を受けました。
今できる治療として、岡山県で唯一放射線治療を行っている津山のラン動物病院を紹介され、昨年6月から7月にかけて毎週土曜日、合計7回、片道2時間高速を使って津山まで通いました。…ゆきちゃんも本当によく頑張って治療を受けてくれました。
…その後の1年半…ゆきちゃんは食欲もあり、穏やかに、マイペースに私たちと生活を共にしてくれていましたが…今年11月、左耳の横にもしこりができているのに気づきました…ガンが再発していたのです。これと同時に、ゆきちゃんの行動に変化が表れ始めました。これまでトイレの失敗など滅多になかったゆきちゃんが、あちこちでおしっこをするようになり、ウロウロと徘徊するようになりました。家具と壁のすきまにはさまって動けなくなっていることもありました。小型犬用のおしめを買ってきてつけてみましたが、足の付け根のあたりがいつもおしっこで汚れてしまい、ゆるい便も漏れるようなってしまったため、朝晩洗面所で下半身をお湯で洗ってはドライヤーで乾かしてやりました。
 藁にもすがる思いでアイビー動物クリニックへ連れて行くと、鼻から栄養を入れたり、胃瘻をする選択肢もあると言われましたが、無理な延命治療より、苦しまず静かに天国へ見送ってやりたいと思いました…
 それからゆきちゃんはごはんが食べられなくなり、水は少しだけ口にすることができましたが、どんどんやせていきました……起き上がることもできなくなってからは、もの悲しい声で鳴いて、何かを訴えているようでした。最後の3日間は呼吸をしているだけの状態でしたが、名前を呼ぶと微かに反応してくれているように思えました…毎晩腕枕をして身体をなでてやりながら添い寝して……ゆきちゃんに「うちに来てくれてありがとう。」といっぱい伝えながら泣きながら一緒に眠りました。今も骨壺を見るだけで涙がこぼれるけれど、娘たちに、私が死んだときはゆきちゃんの遺骨と一緒にまいてほしいと頼んでいます。

ゆきちゃん、10年間本当にありがとう。ゆきちゃんと一緒に暮らせてとても幸せでした。天国で待っていてね!
1年前のゆきちゃん…ガンが発見されたころ…

長い年月が過ぎ去りました…

2023-12-15 12:50:33 | 日記
最後に記事をアップしたのが、2014年の3月1日…
それから本当に長い年月が過ぎ去りました…
このブログに投稿していた当時、家庭状況は決して平穏ではなく、追い詰められ、苦しみ、どこかに救いを求め、歯を食いしばって生きていましたが…
何年かのちには、きっとこの苦しみは和らいで、穏やかな気持ちで過ごせているのではないか…という微かな望みも抱いていました…
でも……10年近い時が過ぎた現在(2023年12月)、さらに状況が悪化しているとは…人生は本当に過酷です…

さっ、お散歩行くよ~

2014-03-01 21:58:48 | 愛犬リン
我が家の愛犬リン

犬を飼っておられる方は皆さんそうかなと思いますが、、、朝晩のお散歩が欠かせません。

幼いころは、ゲージの中でトイレをすませてくれたのですが、1歳を過ぎたころから、朝晩の散歩でしか用を足さなくなってしまいました。

…なので、寒い日も暑い日も、、、雨が降っても雪が降っても、、、外へお散歩に連れて行きます。

今日はあいにくの雨

さっ、お散歩に行くよ~!

準備万端で~す!

穏やかな1日

2014-02-22 23:20:32 | ゆきちゃん
2月は深夜残業が続き、日々をこなしていくのに精一杯で、本を読んだり映画を観たりする余裕がなく…

ほこりがたまった部屋の掃除や洗濯、食事作り、4月から大阪で寮生活を始める娘Tの手続きや買い物で休日も慌ただしく…

そんなとき…リンとゆきちゃんの姿を見ていると、心がほっこりしてきます。

こんな穏やかな日がずっと続いてほしいな~


我が家にやってきた当初はおとなしかったゆきちゃんも、今ではおてんばでにぎやかな女の子に変身しました。

ごはんもいっぱい食べるし、とにかくお腹がすくとニャーニャーとものすごくにぎやかです

ごはんまだですか???

新しい家族☆

2014-01-25 22:53:16 | ゆきちゃん
長い間ブログを書けずにいましたが……その間になんと、新しい家族ができました!!!

白い子猫のゆきちゃんです
白いから「ゆき(雪)ちゃん」という名前をつけました☆単純ですね

この子も愛犬リンと同じく「里親募集中」のHPに掲載されていた写真に私が一目ぼれしました。
2ヶ月くらい、どうしよう~今引き取っても大丈夫だろうか……4月に娘が大学に入学し、家を離れてからにしたほうがいいのかな~と悩んでいたのですが、ゆきちゃんの可愛らしさに日々思いが募り、とうとう保護主さんに連絡を入れてしまいました!

最初に「里親募集中」に掲載されていた写真です☆

お目目とお耳が大きくて、なんとなく宇宙人っぽいところがカワイイな~と気になり、毎日毎日ホームページにアップされていた写真をストーカーのように眺めていました

保護主さんのお宅には、保護猫22匹・保護犬5匹がおられるのだとか!!!
倉敷の保健所から殺処分になる猫や、飼育放棄された犬を引き取ってこられ、新しい里親さんを探してくださっています。

ゆきちゃんは、兄弟5匹と一緒にダンボール箱に入れられ、保護主さん宅前に捨てられていたそうです
兄弟の中で一匹だけ極端に小さく、子猫の群れの中に出来損ないのハツカネズミが混じっているようだったそうです
最初は育つかどうかわからないと心配されたようですが、保護主さんに大切に育てられ、ちっちゃいけれどたくましく生き抜いてくれました!
少し大きくなって掲載されていた写真です。


保護主さんに連絡を入れてから、すぐにでも引き取りたかったのですが…
ゆきちゃんは、カビがはえたり(真菌症:人間の水虫のようなもの?)、3度も骨折を繰り返し……
……なかなか連れてきてもらうことができませんでした。

骨が弱いゆきちゃんを、共稼ぎで留守番時間の長い我が家に迎えても大丈夫だろうか…と少しだけ心配でしたが、良いエサを食べさせてあげれば成長するにつれて丈夫になってくれるかもしれない!我が家で大切に育ててあげたいと思い、冬休みに入った年末、ゆきちゃんは我が家にやってきました☆
我が家にやってきた日のゆきちゃんです。ちょっと不安そう。。。


先住犬のリンにとっては大変なできごとです
お互いに、いったいだれ???状態です(笑)
ゆきちゃんは、ガン見! リンはよそ見!(笑)


リンはにおいをかぎにゆきちゃんに近づこうとするのですが。。。
ゆきちゃんは、ず~っと「ボ~~~」といううなり声?のような警戒音を発していて(笑)
リンがしっぽをふって近づくと、怒って猫パンチをおみまいしていましたよ!

こんな感じでスタートしたゆきちゃんとの生活ですが。。。

この後、お正月にゆきちゃんは我が家で4度目の骨折!
しばらく元気がなく、足をひきずりながら暮らしていました…

でもね、今ではほら♪♪♪



ゆきちゃんがリンのことを受け入れてくれるようになり、2匹で走り回ってじゃれあうようになりました☆

仕事から帰宅し、ゆきちゃんを抱っこして身体をなでてやると、とっても気持ちよさそうな顔をしてのどをゴロゴロならしてくれ…
ゆきちゃんやリンと過ごす我が家での時間は、私にとって至福の時です☆
最初は猫を飼うことにあまり乗り気ではなかった夫も、ゆきちゃんが膝の上にのってくると、うれしそうになでてやっています。

ゆきちゃん☆我が家に来てくれて本当にありがとう☆
これからもリンと仲良くしてね! 

NO NUKES えひめ

2013-12-02 22:11:04 | おでかけ
12月1日(日)は、「NO NUKES えひめ」(伊方原発再稼働反対集会)に参加するため、愛媛県松山市までバスで出かけました。

様々な団体の方たちの中に加えていただき、岡山駅西口から貸切バス2台で松山市堀之内の城山公園 やすらぎ広場へ!

バスの中の自己紹介で、若い参加者の皆さん(小さい子どもさんを連れたお母さんたちが多い!)が話す言葉の力強さと切実さは本物で、なんとなく遠足気分でウキウキしていた私は、少し恥じ入ったのでした…

この力強い若者たちの団体(RDP 放射能防護プロジェクト岡山)は、東京や千葉、茨城から岡山へ避難してこられた方たちがメンバーで、移住を決断された方たちですから、問題意識の高い方たちばかりです!!!
放射能のことを考え、だしを取るための瀬戸内海産のかつおぶし以外、魚は一切食べていないという方もおられました。

のほほんと暮らし、どこか他人事としかとらえていない人が多い岡山県民とは違うな~と、自分自身も含めてちょっと反省しましたよ。

12時30分…バスは城山公園へ到着しました。

私たちが到着したのは、ちょうど第2部が少し始まったころでした。

岡山は快晴のお天気で、雨の気配が全くなかったので、ついつい油断して雨具を何も持参していなかったのに…
松山は、ちょうど昼過ぎから雲行きが怪しくなり…
集会に集まった人々の上に、無情の雨を降らせ始めました…


広瀬隆さんの力強い呼びかけ!

伊方原発の敷地内には原子炉直下に断層がある!!! 絶対に再稼働をさせてはいけない!!! すごい迫力です。

元宇宙飛行士の秋山豊寛さん!

福島へ移住して、しいたけを作っておられたそうですが、今は京都?へ避難しておられるようです。

今何かと話題の山本太郎さん!

右翼の街宣車もこの方を標的にして集まってきていましたが、やっぱり訴える力はすごく強いと思いましたよ!

八幡浜・原発から子どもを守る女の会の斉間淳子さん!

3.11の事故が起きる前から、地元で闘ってこられた方なのでしょう。淳子コールがひびいていました!

集会決議が提案され、採択された後、北回りコースと南回りコースに分かれて、松山市内をデモしました。


私も大きな声で「再稼働反対!!!!!」と、何度も何度も叫びました。

雨に濡れながら叫んでいるうちに、なんだか胸がつまって……涙が出そうになりました。
こんなにみんなで頑張ってデモして、大きな声で叫んでも、巨大な権力の前では無力に等しいのかもしれない…

原発を再稼働させようとし、外国にまで売りつけようとしている政府に対し、それでもNO!という意志表示をしなければ!!!

岡山を、みんなが避難してこられる場所として、これからも守っていかなければ…!!!

「カタロゥガン!ロラたちに正義を!」上映&講演会

2013-10-27 23:19:41 | 映画・テレビ
岡山シティミュージアムで開催された、フィリピン人元「慰安婦」の方たちの闘いを追ったドキュメンタリー映画「カタロゥガン!ロラたちに正義を!」の上映と竹見智恵子監督講演会に参加してきました。

 
太平洋戦争時、フィリピンを占領した日本軍は「アメリカの支配から解放し、フィリピン人のための国家を建設する」と言いながら、フィリピンの人たちに対し過酷な統制を行い、略奪、暴力、強姦を繰り返しました。

映画の中には、道を歩いていて…洗濯をしていて…そんな日常の生活の場から突然連れ去られ、「慰安婦」にされた被害女性たちが次々と登場し、つらい過去を語り始めます。まだ十代の幼い少女だった彼女たちの体験は、あまりにむごく衝撃的で…人間はそこまで残虐になれるものなのかと震撼しました……

ゲリラをかくまっているという容疑をかけられた父親は日本兵に銃剣で皮膚をはがされ、その父親を助けようとした弟と妹は目の前で銃剣で突き刺されて殺され…その後自分も連行され、強姦された女性もおられました……

こんな酷い目にあって……その後の人生をどれだけ苦しんでこられたのか…心にどれだけ大きな傷を負って生きてこられたのか…

もしも自分だったら…もしも自分の娘だったら……と考えるとあまりに恐ろしく…胸が張り裂けるような思いでした。

某大学で学生さんを対象に「慰安婦」の勉強会?をした際の様子も紹介されていましたが、その大学の中国人女子留学生は「慰安婦」について教科書で習ってよく知っていたのに対し、日本人学生はみんな全く知らなかったのにはショックを受けました。…おまけに「自分も同じことをしたかもしれない。」「家族には言えないから、なかったことにする」と平然と話す男子学生に、かなりガックリきました。

実際の残虐行為を実行した元日本兵(BC級戦犯として服役後釈放)の老人も登場し、ゲリラとみなした民間人を家族もろとも容赦なく殺害した様子、若い日本兵に「人間らしい生き方」(!!!???)をさせてやるため「慰安婦」をあてがったことなどを話されるのですが、ただ上官からの命令に従っただけで、従わなければ自分がひどい目にあわされたと主張されるだけで、今でも反省しているような様子は見受けられませんでした。

その当時は、明日は死ぬかもしれないという極限状態にあり、暴力の渦の中に巻き込まれ、その波に逆らうことはむずかしかったのかもしれないけれど、時がたち、冷静に客観的に考える余裕ができたとき、自分の犯したとてつもない大罪と、どのように向き合われたのでしょうか…
被害者の方たちに謝罪し、何らかの形で償いたいという気持ちは湧き起ってこなかったのでしょうか……

勇気をふりしぼり名乗り出てくださった被害者の方たちに対し、「お金がほしいから」「でっち上げだ」などと心無い言葉を浴びせる人たちがいます。せめてそのような無知な人たちに対し、真実を…人間としての尊厳を奪われた多くの女性たちがいたことを語り続けていくことは、せめてもの贖罪なのではないでしょうか。

「女性への暴力がなくなるように」「次の世代のために何かを残したい」…年老いた元「慰安婦」の方たちは強い思いを抱き、最後の力をふりしぼって闘っておられます!!!お金のためなんかじゃないんです!!!!!

上映後のトークで竹見智恵子監督は、元「慰安婦」の女性たちが年老いて次々亡くなっていく中、今しかインタビューできない!と強い危機感を持ち、撮影を開始されたことを語ってくださいました。
最初は弱々しかった彼女たちが、Victim(被害者)→ Survivor(生き残った人)→Activist(活動家)として仲間と共に成長し、元気を取り戻し、活動を続けておられる…その勇気に胸が熱くなりました。

被害者のお一人であるレメディアス・フェリアスさんが描かれた絵日記『もうひとつのレイテ戦-日本軍に捕らえられた少女の絵日記』を購入して帰りました。

本当につらい、記憶から消し去りたい出来事だったと思いますが…悲しみのいっぱいつまった、とても美しい絵本です。 

イヌの記憶

2013-08-16 23:56:08 | アート
瀬戸内市立美術館で開催されている「イヌの記憶」という展覧会に出かけてきました。

夏休み中も、疲れがたまっているのか、ほとんど1日中寝たきりの夫を、「私が運転するから一緒に行かない?」と誘い、なんとか連れ出しました。(だってこのままだと、今年の夏休みの思い出は「なし!」になってしまうので…(笑))


瀬戸内市立美術館って、瀬戸内市役所牛窓庁舎の3・4階を美術館にしているんですね。


広々とした木製のエレベーターで4階まで上がると、エレベーターの出口に、はや「犬」がいましたよ! ワクワク☆


入ってすぐの部屋には、壁面いっぱいに川埜龍三さんの描かれたイヌが!

川埜さんは今、「犬島ハウスプロジェクト」に取り組んでおられます。
造形された巨大なイヌは、海沿いに立つ川埜さんのアトリエから船に乗り、瀬戸内海横断散歩と銘打って瀬戸内海の島々へ寄港しながら犬島の「ホワイトハウス」まで運ばれたようです。

そのときの映像がずっと会場で流されていました。なんだかおもしろそう☆


イヌの模型もありましたよ。


今回の展覧会は、ほとんどの作品が撮影可、触るのもOKだったので、何枚か撮らせてもらいました☆
橘 宣行さんの作品

小さい子どもたちは、この上にまたがって遊んでいましたよ!

小林 陽介さんの作品

こんなワンちゃんが家に飾ってあったら、楽しいだろうな~

藤本 高廣さんの作品

この作品も触るとユラユラ前後にゆれておもしろい動きをしていました。

細見 博子さんの作品

観る角度によって、いろんな表情を見せてくれるピカピカのかわいいワンちゃんです☆

青地 大輔さんの作品

犬島のワンちゃんを連れた女性の写真の横に、犬島の様々な時刻における風景が次々に映し出されていきます。
このワンちゃんの写真、以前「犬島時間」のポスターでも拝見したような気がします。

かわいいです☆

楽しい作品の数々を堪能した後は、てれやカフェへ寄りましたよ☆
真夏の日差しの中、駐車場から必死でカフェに辿り着き、中に入ったとたん、一瞬心の中で「しまった~!!!」と叫びましたよ!
なぜかって? だって~……冷房がきいてなくて、店内もがんがんの暑さだったんですよ~!

でも、覚悟を決めて(笑)奥の座敷に腰をおろし、30年くらい前の?古~い扇風機の風にあたっていると、そのうち身体が暑さになじんで
涼しく感じられてきて……居心地が良くなってきましたよ。

この空間が素敵なんです☆
夫はコーヒー、私はベリージュースをたのみました。ベリージュース☆おいしかったです!
 

今日はいろんなワンちゃんを見てきましたが、やっぱり一番かわいいのは、この子ですね(笑)


暑さで毎日ぐったり、のほほんと過ごしておられます。さっ、そろそろ散歩に行こうかな!

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(村上 春樹 著 ・ 文藝春秋)

2013-08-14 23:02:36 | 
村上春樹さんの3年ぶりの新作を読みました。

すごい人気なんですね~! (そして辛辣な批評もいっぱい……)

たまたま図書館に行ったら、テーブルに並べられた本の中にこれがさりげなく置かれていて…
えっ、こんなに人気のある本がすんなり借りられるのかな……
予約がいっぱいなんじゃないのかな…???と思いながらも、恐る恐るカウンターに差し出し……無事に借りてきました(笑) ラッキー!

今回の作品は、今までの村上作品と比べると、とてもわかりやすくて読みやすい物語だったと思います。

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』というタイトルも、(読む前は何のことかわかりませんが)この物語の内容そのままなんですね。

物語は、次の一文から始まります…

「大学2年生の7月から、翌年の1月にかけて、多崎つくるはほとんど死ぬことだけを考えて生きていた。」

主人公つくるの容貌を激変させてしまうほど心に深い傷を負わせ、死の淵まで追い詰めた事件とは…

……つくるは高校時代、男子2人「アカ」赤松・「アオ」青梅、女子2人「シロ」白根・「クロ」黒埜の4人の親友と、調和のとれた正五角形のように親密な共同体を形作り、その一体感の中で充実した思春期を送っていたのですが……
(つくる以外の4人は名前に色が含まれていたため、お互いを「アカ」「アオ」「シロ」「クロ」と色で呼び合い、つくるだけ色がないため「つくる」と呼ばれていたのです…)

その、大切にしていた高校時代の親友4人から、ある日突然理由もわからず「顔を合わせたくないし、口をききたくもない」と拒絶され、切り捨てられてしまったのです…

それは…「まるで航行している船のデッキから夜の海に、突然一人で放り出されたような気分だった」…(うまいですね!)

つくるはガールフレンドの沙羅の助言で、音信不通になっている親友4人と16年ぶりに会って話し、あのとき一体何があったのか、過去と正面から向き合おうと決心します……(巡礼の旅ですね)

16年の歳月が、高校生だった彼らをどのように変えていったのか…
一人一人のエピソードがとても切ないです。。。
なぜつくるが切り捨てられたのか…そうせざるを得なかった当時の複雑な状況も解き明かされていきます…

村上さんの作品ではいつも、さりげなく音楽が語られますよね。
今回は、高校時代の親友の一人、清楚で美人だった「シロ」がピアノでいつも弾いていた、リストの「ル・マル・デュ・ペイ」が大事なアクセントになっています。
この作品がきっかけとなって、CDがすごく売れているそうです。やっぱり気になりますよね(笑)
物悲しい曲で……これを静かに弾いていた「シロ」の姿が目に浮かんできます。

つくるの大学時代の友人、灰田はどうなったのか??
灰田の父親が出会ったピアニストは6本指だったのか??
ガールフレンドの沙羅は、年上の男とつくるとどっちを選ぶのか??

う~む、いろんな謎?が未解決のままです。
続編を読んでみたいです☆

久しぶりの映画

2013-08-12 23:30:03 | 映画・テレビ
久しぶりにTSUTAYAへ行き、DVDを借りてきました。

映画を観ることが一番の楽しみなのに、精神的に余裕がなくて、ず~っと観ていなかったんです。
たくさんの作品の中から今回選んできたのは「孤独な惑星」と「鍵泥棒のメソッド」です。

★「孤独な惑星」(監督:筒井 武文)

DVDの写真から私の好きな自主制作映画風の雰囲気が感じられたので、監督にも役者さんにもなじみがなかったのですが、イチかバチか(笑)借りてみました。

これが大正解!!!
主役の2人(竹厚綾さんと綾野剛さん)が不思議な透明感ある演技で…とても素敵でした☆

ストーリーは、事務員として都会で単調な日々を送る真里(竹厚綾)のアパートのベランダへ、隣の部屋で気性の激しい彼女と同棲している哲男(綾野剛)がころがりこみ、数日間を過ごして帰っていく…という、なんじゃそりゃ?(笑)という内容なのですが…

きりっとしているのにどこか寂しそうな竹厚さんと、中性的で母性本能をくすぐる綾野さんの嫌味のない演技が、静かにすっと心に入り込んできて…最後はすごく切ない気持ちになりました…

2人を隔てるガラス窓越しの、味噌汁や携帯電話の受け渡し、物干しざおを使って、ソファーで眠ってしまった真里に哲男が毛布をかけるシーンなど、ユーモアのセンスもよくて…

ちょっとだけ寂しくて…
ちょっとだけだれかに甘えたくて…
ちょっとだけ今より幸せになりたくて…

自分の心の奥底に普段は封じ込めている、静かな願いが揺れ動いてしまう…そんな作品でした。

綾野剛さんは、8月の「キネマ旬報」の表紙を飾っています☆(髪型が変わられましたね!)

今が旬の役者さんなんですね♪

★「鍵泥棒のメソッド」(監督:内田 けんじ)

内田けんじ監督の作品は、いつも途中でだまされていたことに気づき、あっ、そうだったんだ~!!!と驚かされ、うれしくなってしまうのですが、この作品にも、その手腕が120パーセント発揮されていて、すっかりだまされてしまいましたよ~(笑)

最初のシーンはちょっと衝撃的で……
だからその後、香川照之の生真面目で几帳面な行動や、広末涼子に対する微笑ましい言動に、ちょっとあったかい気持ちが湧いてきても、「でも、この人は…」と否定的な感情がそれを打ち消してしまっていたのです。

しか~し、香川照之扮する殺し屋の謎が解き明かされていくうちに、心の中でわだかまっていたこのマイナス感情がさらっとプラスに転換され、とても気持ちよく、安堵と共に納得させられました。

堺雅人も広末涼子もよかったけれど、香川照之さんの、記憶をなくす前と後の演技の違いに笑わされました。
家族みんなで楽しめる作品ですね☆


『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(池上 正樹 文、加藤 順子 文・写真 : 青志社)

2013-06-29 23:08:30 | 
3.11の大津波で、全校児童108人のうち74人の子どもたちと10人の教師が犠牲になった、石巻市立大川小学校のことはマスコミでもたびたび取り上げられたので多くの人の記憶に留まっていると思います。

ニュースで見た、行方不明の子どもさんを重機を使って捜し続けるお母さんの姿が今も目に浮かび、本当に気の毒で胸が痛かったのを思い出します。

でも、改めてこの本を読み、あの事故は「人災」であったという思いを強くしました。

地震の直後、「山へ逃げよう」と言っていた児童が何人もいて、実際山へ駆け上った児童もいたのに、先生に連れ戻されていた…
津波が襲ってくるまでの約50分間、子どもたちは校庭で待機させられていた…
ようやく避難を開始したのは、津波が到達する1分前だった…

目撃者の証言から、次々と大川小学校の悲劇の真実が明らかになっていくけれど、市教委がその後何度か開催した保護者説明会で説明した内容は、真実とは程遠く、遺族に不信感を抱かせるものばかり…

生き残った児童から聞き取った調査報告書から「山へ逃げよう」と言った子どもたちの情報が削除されていたり…
唯一生き残った教諭の取った当時の行動が、目撃者の証言と全く食い違っていたり…

「メモは捨てました」「メールは削除しました」「忘れました」「記憶がはっきりしません」と言うばかりの市教委の対応には明らかな隠蔽工作、責任逃れが疑われるのです。

特に、震災時、年休をとり学校に不在だった校長の非常識な言動には、こんな人が校長だったのか…と強い怒りが湧いてきました。
行方不明の子どもたちの捜索の様子を一度も見に行かなかったことも驚きでしたが、震災からまだ2週間あまり、行方不明の子どもたちを捜す人たちで騒然としていた時期に間借り先の学校で登校式を強行し、「友達は少なくなったが、笑顔がいっぱいの学校を作ろう」と子どもたちに呼びかけたらしいのです!あまりの無神経さに唖然としてしまいました!!!

報道でこのことを知った遺族の方たちは、強い違和感を覚え、「学校から突然置き去りにされた気がした」と書かれています。当たり前ですよね!

奇跡的に生還した、5年生男児の父親(長女、妻、父の3人を失う)が、非常識な校長や誠意を示そうとしない教育委員会を相手に真相の究明、防災マニュアル作りに奔走するのは、亡くなった家族3人のためと、生き残った息子に「大人の背中を見せてやらねば」という強い思いから……

この方の、校長や教育委員会に対する以下の思いにすべてが表されていると感じました。

「素直に遺族に『申し訳ありませんでした…』と、謝ってさえくれれば……。嘘でもいいから、泣きながら子どもたちの遺体の捜索を一緒にしてくれていれば…。
 学校も教育委員会も、子どもが亡くなった遺族の気持ちを逆なですることしかしませんでした。自分はずっと、『なぜ自分の子どもを亡くして、家族を亡くして、こんな仕打ちを受けなきゃならないのか』と思い、頑張ってきました。『絶対に間違っている!!!』。それを正そうと頑張ってきました」

遺族の方たちは、唯一生き残った教諭を責めたり非難したりする気持ちはなく、ただただ真実を知りたい、子どもたちの死に意味を持たせたい…という当然の思いで、市教委側にも対話の場つくりをしようと呼びかけています。

そんな遺族の方たちに誠意ある対応ができない市教委について、本書では次のような分析を行っています。

「これだけの非常事態にあっても、遺族に寄り沿った対応ができずにきてしまっているのは、指導主事という出世コースを歩んでいる先生たちの間で組織の都合やお互いの立場を優先するあまり、本来持ち合わせているはずの個の良い部分や、教育者として育んできたものが、発揮できなくなってしまっているせいではないだろうか。」

大津市でのいじめ自殺問題のときにも露呈されましたが、教育委員会って、何のために存在するのでしょうか……
知れば知るほど、日本的な組織内部の負の部分が見えてきて、やるせない気持ちになりました。

84人の子どもたちと先生方の死を無駄にしないためにも、真実が検証されることを願わずにはいられません。

悲しいできごと

2013-06-02 23:20:53 | かわいいもの
日曜日の朝、いつものようにリンの散歩に出かけたときのこと…

最初に立ち寄るいつもの公園で、側溝の枯葉の上をカサコソと動き回る音が聞こえました。

なんだろう???…と音のする方をさがしてみると……

1羽のかわいい鳥さんがいました。(あまり見たことのない小鳥です)
巣立つ前に巣から落ちてしまったのかな?…


ヒナを保護することについては、以前、つらい失敗経験があったので、勝手に連れて帰ってはいけない!ということが頭にあり…
どこかでお母さん鳥がちゃんと見ていて、エサを運んできているのかもしれない。。。
このままそっとしておこう。。。と気になりながらもその場を離れました。

散歩から帰って、やっぱり気になって公園へ見に行くと、さっきの小鳥が同じ場所でじっとしていました。
さっきは動き回っていたのに、今度は私が触っても逃げようとしません…少し弱ってきているようです…

大変だ!お母さん、早く助けに来てあげて!!!
そっとつかまえて、近くの木の上に乗せました。お母さん鳥が早く見つけてくれますように、と祈りながら。。。

しばらく離れて様子を見ていたのですが…
人間がいたら、お母さん鳥が近づけないかもしれない…と思い、後ろ髪をひかれる思いで帰宅しました。

それからまたまた気になって…
30分ほどして様子を見に行ったら…

…小鳥は木から落ちて……動かなくなっていました。。。


…手のひらにそっと乗せ、泣き泣き家までつれて帰り、庭に埋めました。。。


弱っていたんだ…
早く保護して動物病院へ連れて行ってやるべきだったのか…
さっきまで生きていたのに…
何か私にできることがあったんじゃないか…

後悔しても、もう小さな命はもどってきません…
今、これを書いていても涙がこぼれてきます…

助けてあげられなくて、本当に本当にごめんなさい

第1回 総社芸術祭 2013

2013-05-25 23:01:30 | おでかけ
5月19日(日)~26日(日)まで総社市で芸術祭が開催され、市内のあちこちで様々なイベントがありました。

私も5月25日(土)午後から時間ができたので、一人で車を飛ばし、2ヶ所回って楽しんできました。

最初に到着したのは、砂川公園です☆


「ドリーム・タイム・フォー・ザ・チルドレン」と銘打ったイベントが開催されていて、ライブあり、ワークショップあり、農民市あり…

3月に参加した別の講演会で、このフライヤーをもらって以来心惹かれ、ぜひ行ってみたいと楽しみにしていました。

開催の10日前から岡部玄さんがトラック2台分の流木を運び込み、仲間たちと巨大なドームを作っておられます。

この中でライブが開催されているのですが、音源には太陽光パネルで作った電気を使っているんですよ♪

一種独特の、昔のヒッピー風の若者が大勢集まっていて、なんだかカッコイイお祭りです☆
 

おいしそうなエスニック系?のごはんがいろいろあったのですが、私は薬膳カレー(500円)をいただきました☆
お土産にかりんとう(200円)とシナモンパン(350円)も買いました☆ 美味しかった~!!!
 

公園にテントを張ってキャンプしている方たちも大勢いて、木陰にはワイルド系の犬さんたちがお昼寝しています。
 

そして、見つけてしまいました!「猫 里親募集中」の張り紙を!

あまりの可愛らしさにふらふらと引き寄せられ、飼い主の方と話し込んでしまいました。
飼い主さんは、震災後、子どもさんのために東京から県北の真庭市へ避難して来られ、築100年の民家を借りて家族3人で住んでおられるのだそうです。子どもさんが寂しくないようにと飼っておられた猫が、まだ幼いからと油断していたら妊娠し、5匹も子猫を産んでしまったのだそうです。2人目の子どもさんを妊娠中だし、親猫も含めて6匹はとても飼えないと困っておられました。
真庭市での生活についてお聞きしたら、子どもさんが通う保育園の給食の食材について要望を出したところ、なかなか理解してもらえなくてつらい思いをしたこと等、いろいろ話してくださいました。岡山県人は震災による直接被害を受けておらず、自然災害も少ない、恵まれた土地に住んでいるため、放射能の問題にも危機感がなく、どこか他人事としかとらえていないからなぁ……給食の問題は、園児みんなに関係する大事なことなのに……

猫を飼いたい!という気持ちが芽生えている私は、しっかり電話番号をお聞きして帰りましたよ!→(しかし、帰宅後の家族会議では、もう少し(猫を飼う)時期を遅らせてほしいとの意見が多数(夫&娘たち)で、私の野望はかなえられませんでした ごめんなさいね!

次に向かったのは、屋外美術展が開催されている井山宝福寺です。
高校の同級生の木口くん(家具作家)が出展していることを知らせてくれたので、楽しみに出かけました☆

ここは、雪舟が幼少期に修行したお寺で、涙を足の親指につけ、床にねずみを描いた逸話で有名なところです!
入口と境内にこんな像がありました。
 

りっぱな仏殿や三重塔がある名刹の境内のあちこちに現代アートが展示してあります。

 

 

 

 
 
 

木口くんの作品!あった~!!!
 
「昨日の岸辺に経つ」と名付けられたこの作品。。。赤と黒が使われていていて、木漏れ日の中、赤がとても鮮明に輝いています。
「この世に生きるものは生まれた瞬間から死に向かって生きている。その生と死という対極を結ぶ時という川」を表現しているそうです。
奥が深いねぇ~!!!
この川の流れの中、今の私はどのあたりにいるのかしら…と空想しながら眺めました。

お天気もよく、ユニークな現代アートと有形文化財の荘厳なお寺との魅力的な融合を十二分に楽しみ、思い出に残る1日になりました。

「ビッグイシュー」を買いました

2013-05-19 23:26:28 | 日記
今日は朝から町内会の清掃、庭の剪定をした後、疲れた身体に鞭打って久しぶりに映画館(岡山メルパ)へ出かけました。

観たのは石井裕也監督の「舟を編む」☆

石井監督の作品は「君と歩こう」がとても好きで、「川の底からこんにちは」もかなり笑えて気に入っていて…(石井監督、この作品の主演女優だった満島ひかりさんと結婚されたんですよね☆)

今回の「舟を編む」も期待して観に出かけましたが、期待どおり、なかなか雰囲気のいい作品でした。
辞書をつくる。。。っていう仕事自体が新鮮で興味深いし、出てくる3組のカップル(夫婦)がそれぞれ温かく、相手を大切に思っているのがじんわり伝わってくる作品で、とても気持ちよく映画館を出ることができました。

……☆……☆……☆……☆……☆……☆……☆……☆……

その後、用事があって表町の天満屋前を通ったら、野球帽をかぶった1人のおじさんが、雑誌を片手で頭上に掲げ、立っている姿が視界に入りました。

あっ、そうだ! 岡山でも「ビッグイシュー」が売られるようになったんだっけ!

しばらく前、毎日新聞に、岡山での「ビッグイシュー」販売の記事が掲載されていたのを思い出し、そそくさと財布を取り出しておじさんから1冊購入しました!(思わず「がんばってください」とお声をかけてしまいました。)


「ビッグイシュー」は、ホームレスの人々に収入を得る機会を提供する事業として英国ロンドンで始まり、日本では2003年に創刊されました。主に大都市を中心に販売されていて、私もときどき出張で東京へ出かけたときなど、駅で販売員の方を見かけ購入していましたが、岡山でもついに販売が始まったようですね。

雑誌販売者は、現在ホームレスか、自分の住まいを持たない方で、最初この雑誌10冊を無料で受け取り、その売上げ3000円を元手に、以後は1冊140円で仕入れ、300円で売り、160円を収入とし、自立への道を一歩ずつ進んでいけるようなしくみになっています。

内容も、かなりの大物著名人たちが表紙を飾り、スペシャルインタビューに登場していて、その記事から意外な一面を知ることができます。
5月15日号の表紙になったジョン・ボン・ジョヴィは、人気ロックバンドのボーカルとしての顔しか知りませんでしたが、ホームレスの方を支援するプロジェクトを立ち上げ、居場所つくりや依存症のリハビリ支援に熱心に取り組んでおられることが紹介されていました。

他にもネイチャー・テクノロジーの特集(ダチョウは強じんな免疫力を持っていて、卵1個から8万枚のインフルエンザ対応マスクが作れるのだとか!)、雨宮処凛さんのエッセイ、ホームレスの方が答えてくれる人生相談等、結構読みごたえがあっておもしろいです!

1冊売っても大した収入にはならず、なかなか大変だろうな~と思いますが、20冊、30冊と売れるようになれば……

隔週で出版されているので、表町へ出向いたときには必ず購入しようと思います。
ほんの少しのことですが、何かのお役に立てればいいな。




GWの読書

2013-05-04 23:36:13 | 
ゴールデンウィークでお休みがもらえ、朝はいつもよりゆっくり起き、夜更かしもでき…ありがたいことです。

以前から気になっていた本をまとめて読むことができました。

『楽園のカンヴァス』(原田 マハ著 : 新潮社)

原田マハさんは原田宗典さん(私の高校の先輩!)の妹さんで、中学・高校時代を岡山で過ごされた方です。お兄さんの作品はエッセイがすごくおもしろくて、一時期何冊も読み漁ったことがありましたが、妹のマハさんの作品は初めて読みました。

今は大原美術館の監視員として働く織絵は、実は…ソルボンヌ大学で美術史の博士号を最短で取得したルソー研究の第一人者だった…
若き日に、アンリ・ルソー作と思われる作品の真贋を鑑定するためスイスに招かれ、ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンと共に持てる知識を闘わせて勝負し…というストーリーで、美術の知識がなくてもおもしろく読める、よくできた作品でした。

織絵とティムは鑑定の依頼者バイラーから、7章から成る物語を1日1章ずつ読むように指示され、作品を調べるのではなく、その物語を読み進めることで作品の真贋を判断するように依頼されるのです。作品の鑑定に関わる重大な物語…ということなので、これはものすごく難解な、古文書?みたいな書物?…と勝手に思ってしまったのですが…あまりにわかりやすい、俗っぽい物語だったので、ちょっと拍子抜けしてしまいました。

また、作中で使われている岡山弁は、地元民からすると、ちょっと違うわ~!!、いくらなんでも高校生女子は、あんな言葉使いはせんわ~と笑えました!


『ゼロ! こぎゃんかわいか動物がなぜ死なねばならんと?』(片野 ゆか著 : 集英社)

「動物愛護センター」という名称でありながら、実際は無責任な飼い主がもう飼えないからと持ち込んだり、通報により捕獲されたり、迷子になって収容されたりした犬を毎週2回、ガス処分機を稼働させ、殺処分してきた熊本市動物愛護センターが、「意味もなく命を奪うだけの仕事を続けるのは嫌だ!」という職員の方たちの強い信念で新しい一歩を踏み出し、不可能と言われていた殺処分ゼロを実現すべく、様々な努力を積み重ねてこられた様子が記されています。

殺処分の件数を減らしていけた理由としては、愛護センターへ犬を持ち込んでくる飼い主を本気で徹底的に説得し、できる限り引き取りを拒否し、新しい飼い主を探す方法を丁寧に指導・伝授していること、地元新聞への里親募集記事の掲載を継続していること、たびたび譲渡会を開催していること、小学校で動物訪問ふれあい教室を開催し、子どもたちに動物愛護精神を培っていることなどがあげられますが、センターの取り組みに賛同する強力なボランティアの方々が長年にわたり支援していることも大きいと思われます。……数々の地道な取り組みが、徐々に実を結んできているのでしょう。

そんな明るい希望を感じさせてくれる取り組みの中、一匹の土佐犬にまつわる事件には、やるせない無力感と悲しみを感じました……

やくざまがいの男が、若い男たちを引き連れ、一匹の大型の土佐犬を「弱いからいらない」と殺処分するようセンターへ持ち込んできたのです。職員の方たちは、懸命に男を説得しますが徒労に終わり、飼い主に出した条件は、安楽死させる最後に立ち会わせることでした……
最後まで飼い主を慕っていた闘犬は、男の腕のなかで静かに息をひきとります……酷いです
この男が、この体験を最後に、2度と同じことを繰り返しませんように…

日本全国の動物愛護センターで、熊本市の取り組みを参考に、殺処分ゼロを目指して取り組んでくださることを願うばかりです。


『猫なんかよんでもこない。』(杉作 : 実業之日本社)

 作者の杉作さんは元プロボクシングの選手だった方ですが、目を悪くされ、ボクサーとしての夢が絶たれてしまいます。もともとお兄さんがマンガ家で、お兄さんに養ってもらいながら、練習の合間にマンガの手伝いをされていたようですが、ボクサーからマンガ家へと見事に転身され(いろいろとご苦労もあったと思いますが)…本当に素晴らしい作品を描いておられます☆
 2匹の捨て猫と暮らす何気ない日々が、とても温かい視点で描かれていて、私は猫は飼ったことがないのに、あ~この切ない気もち、愛おしい気もち。。。わかるな~~とすごく共感してしまいます。こんなに優しさ・思いやりいっぱいの杉作さんがボクサーだったというギャップがおもしろいですね☆
 弟思いのお兄さんのさりげない助けもあったかいです。自分の果たせなかった夢を、弟さんが受け継いだこと、きっと喜んでおられるでしょうね。
 この作品を読んで、我が家でもますますネコが飼いたくなってきました!!! リンと仲良くしてくれるネコさんがいたら、一緒に飼いたいな~とただいま夫をじんわりと説得中です。いつか実現できたらいいな~☆