Imaginarry Affairr

Tears sheded like a cherry

小満-4「アゲハ1」(by皐月)

2010年06月07日 00時23分32秒 | Novel「桜さく、このうららかな堤」
 ――アゲハ蝶は自分に恋をした蝶っていう気がするよ。
 
 水無月がそんなことを言ったのがいつのことだったか、どうしても思い出せない。
 その休日の夜、枕の上で私は頭を悩ませる。

 4つか5つの頃だった気もするし、中学校に通っていたような気もする。
 水無月はどの瞬間もずっと"水無月"だった。
 変わらず、ずっとそのまま。

 初めて理解できた気がする。

 さすがに怯む。
 
 「これまでもずっと元気だったから」
 口にして一層その痛ましさが響く。
 
 ずっと生きていたんだね。
 ずっと羽を伸ばしたかったんだね。
 
 もう寝よう。
 振り切るように私は目を閉じる。

 

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