ブログ de なんで屋 @東京

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「なんでや劇場~生物史から学ぶ自然の摂理」での気づき

2007-10-24 23:55:22 | なんでや劇場
この間4回のなんでや劇場「生物史から学ぶ自然の摂理」に参加しての気づき・雑感です。

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1.生命にとって最重要課題は種の保存。

2.その基本戦略が多様性⇒変異体を作り出すこと。
「進化の源泉はDNAの多様性にある。つまり、同一の自己を複製するのではなく、出来る限り多様な同類他者(非自己)を作り出すことこそ、全ての進化の源泉であり、それこそが適応の基幹戦略である。しかし、同類他者=変異体を作り出すのは極めて危険な営みでもある(∵殆どの変異体は不適応態である)。従って生物は、一方では安定性を保持しつつ、他方では変異を作り出すという極めて困難な課題に直面する。」『実現論 第一部:前史』

3.つまり、変異とは賭けである。
変異してそれで適応できるかどうかはやってみなければわからない。不適応的な変異によって絶滅した生物種は無数にある。だからこそ、賭けに勝つ(=適応)確率を少しでも上げるにはどうする?という課題に直面したからこそ、生物は進化してきたのではないか。

人類でも同じで、どんな方針・戦略も実際やってみなければ成功するかどうかはわからない。少しでも成功確率を上げるために360度の視点で追求した事実の認識が必要となる。

では、生物は変異という賭けに勝つ(適応する)するためにどうしたか?

4.安定と変異の統合⇒システム化。
原初の原核生物の変異は、紫外線などによるDNAの損傷によるものか、分裂時のコピーミスによるもので、ほとんどの変異体が不適応態。そのままでは適応確率は極めて低い=安定度が低い。そのため修復酵素(タンパク質)群によってできる限り変異体を修復した。これは原核生物のような単純な構造なら可能だが、ここに安住している限り機能進化はしない。これが、現存の原核生物が進化しなかった理由。

この安定と変異をシステム化し始めたのが真核生物。有糸分裂によって遺伝子の正確な分割→安定性を保持しつつ、細胞合体・組み換え能の獲得によって損傷やコピーミスではない変異(より適応的な変異)を作り出すことに成功した。

生物史とは、変異という賭けに勝つためのシステム化の歴史である。ここで忘れてはならないのは、安定と変異とは一見相矛盾するかのように見えるがそうではないということ。変異する(賭けに打って出て、かつ成功する)ことによってはじめて、種の保存という最大の安定も実現できるのだ。これが生物の生き様である。「生きる」ということは現状維持ではなく常に賭けの連続である。賭けに勝つために追求を続け進化するのだ。

5.「個性」とは種や集団の多様性であり、賭けに勝つための統合の成果である
生物の多様性には驚くばかりである。現存種以外にも、様々な変異可能性に挑戦したが絶滅した生物群が無数にいたはずである。その数は現存の(賭けに勝ってきた)生物種数をはるかに超えるだろう。

ある意味、生物種は極めて「個性的」であるとさえ言える。また人類でも未開部族の社会のあり方は、実に個性的でバラエティーに富んでいる。一方、現代の先進国ほど個人の個性が強調される時代はない。しかし、同時に現代ほど価値観から生活スタイルに至るまで、画一的で没個性な時代も他にはない。

このことは何を意味するか? 
「個性」といえば個人の個性を表わすのが常識だが、「個性」とは集団・種の多様性のことではないだろうか。それは、種や集団が晒された外圧(逆境)に適応するための変異という賭けに勝つための統合を繰り返してきたことで獲得されたものなのだ。

10/21「なんでや劇場」の詳細は、劇場レポートをお楽しみに。

(一文字)

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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ケーイチ)
2007-10-25 02:43:18
安定をベースとしながらも、変異を確実に組み込んでいざというときの外圧変化に多角的に対応していく。
現在の人間の有り様を出発点として思考するのではなく、このような生物の基本システム:自然の摂理を理解することは、とても重要だと思う。
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勝利の遺伝子 (kawaix)
2007-10-25 11:20:18
>賭けに勝つために追求を続け進化するのだ。

とすると、現存する生物の遺伝子には、すさまじい外圧と闘い、勝利してきた沢山の記憶が蓄積されている訳ですね。

感謝と共に、自信が湧いてきます。そして、みんなの為にがんばらなきゃ!という想いも。
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変異は掛け? (垂心)
2007-10-25 11:27:28
生物史上の変異を把握すると、人間は凄いって事を改めて感じる。
可能性を追求して変異していくことが出来る生命体。
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Unknown (一文字)
2007-10-26 11:14:14
コメントありがとうございます。

つまり、現存する生命は成功体験の塊です。それが人類の心の奥底にも眠っています。それが潜在思念と呼ばれるものだと思いますね。
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「個性」と外部環境は不可分 (ニシヒデ)
2007-10-26 16:09:50
「個性」が外部環境(外圧)へ適応する中で獲得されてきたものっていうのは腑に落ちます。

外部環境(外圧)と切り離して考える「個性」って、無意味どころか環境不適応の素ですね。

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硬直化=滅亡 (Gen)
2007-10-27 22:47:55
>一方、現代の先進国ほど個人の個性が強調される時代はない。しかし、同時に現代ほど価値観から生活スタイルに至るまで、画一的で没個性な時代も他にはない。

「安定」と「変異」は外圧に適応するために生み出されたシステム。

人類の場合は、過去の蓄積からなる幹である「根概念」の共認が安定をもたらし、それだけでは適応しきれない最先端の外圧変化を個々人が捉え、答えとなり得る新たな認識を追求してゆくことで、個人にも所属する集団にも変異(=個性)が生ずるのではないかと思いました。

その意味では、現代は、マスコミによる共認支配によって誰もが同一の価値観で染め上げられる一方、その事実を隠蔽するかのように、どうでもいい次元での「個性」が強調されている。
・・・これはもう巧みに仕組まれた奴隷状態であり、このままいけぱ変異を失って・・・外圧に適応できず滅亡するしかないでしょう。

つまり、認識の進化をストップさせ、硬直化をもたらす旧観念と、その染脳に明け暮れるマスコミや学者の存在こそが人類の敵と言って良いと思います。
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Unknown (オオモリ。)
2007-10-30 22:16:42
>安定と変異の統合⇒システム化

これは会社の組織運営にも言えることですね~。
生物から学ぶことは底知れないものがあります。
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