絵日記を、かきたい気持ち

毎日、たくさんの思いが浮かんでは消えます。そんな思い、フランスのこと、ヨーロッパのこと、気ままに綴っています。

●フランス中で親しまれている、ロレーヌの地方料理、キッシュ・ロレーヌ

2005年03月28日 | フランス、ロレーヌ地方のこと
今日は、ロレーヌの一番有名な、そして簡単な、地方料理を紹介します。キッシュ・ロレーヌは、簡単な上に、家にある材料で手軽に作れ、そのためか、フランス中の家庭でなじまれているお料理です。


<キッシュ・ロレーヌ>の作り方

材料
・パイ皮
・卵・・・・四つ
・燻製角切りベーコン・・・・200グラム (なければ、普通のベーコンでもOK)
・生クリーム・・・・40cl
・牛乳・・・・大匙2杯
・塩、こしょう、ナツメグ、バター・・・・好みで

作り方
1. パイ皿にバターを塗り、パイ皮を型に入れる。フォークで、ところどころ突き刺しておく。
2.ベーコンを一口大に切る。大きな油の固まりは、取り除いておく。
3.ベーコンを、フライパンで軽くいためる。いためたベーコンを、1のパイ型に、均等に入れる。オーブンを暖めておく。
4.生クリーム、牛乳、卵をボールに入れ、しっかり混ぜる。ナツメグを、くわえる。
5.かき混ぜた4.を、ベーコンをしいたパイ皮に流し込む。
6.180度のオーブンで、25分ほど焼く。


これだけで、丸いキッシュを、放射線状に切り、サラダとともにテーブルに出せば、立派なアントレが、できあがります。サラダは、簡単にレタスを、大まかにちぎったものを、フレンチドレッシングであえたものが、一番あうようです。

実は、今夜、知り合いのお宅に呼ばれていて、このロレーヌのお料理、キッシュ・ロレーヌを持参しよう、というもくろみです。我が家では、いま、オーブンのなかで、キッシュが焼けている時間を利用して、このレシピを書いています。


キッシュ(quiche )、という言葉は、アルザス語で、Küchen 、その語源は、ドイツ語のKuchen (フランス語で言うと、gâteau, お菓子、という意味です)から由来したものです。この言葉は、すでに、15世紀には、人の口に上っていたようです。このキッシュ・ロレーヌの記述が、正式に印刷されて、世にでたのは、1805年、「ナンシーの歴史、(L' Histoire de Nancy" Lionnois著)」という本の中でした。

その後、1904年、プロスペル・モンタニュなど、当時、名料理長として名をはせていた料理人たちが、『料理法』という、フランスの司厨士協会の機関誌に紹介したことがきっかけとなって、フランス全土に広がっていったようです。


最初の頃は、このキッシュ、パン生地を使って作られていたそうですが、現在では、パイ生地を使って作られます。パイ生地を、自宅で作る人は、フランスにはとても少なくて、スーパーで、すでに作られているものを買うほうが、手っ取り早い方法として、浸透しています。


でも、遠い昔、現在のように、まだオーブンなどなかった時代、このキッシュは、大きな村のパン窯で焼かれていたようなのですね。



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フランスでは、ロレーヌに限らず、各地方で、独自の郷土料理が発展して、それを食するもの、旅人の大きな楽しみ。

こうした郷土料理は、かつて、まだ、各家庭に、オーブンや、水道がなかった頃、村という一つの共同体で使っていた、
・井戸
・洗濯場
・村のパン焼き窯、(多くの村では、週に一度火を入れ、使われていた。窯は、共同体の大きさにもよるが、ひとたび火を入れると、温度を上げるのに数時間も費やすほど、労力と時間が、必要とされていた)

以上の要素の中で育てられてきました。こうした地域によって違う物理的な条件は、地方料理が発展していく上で、大きな要素でした。村共同で使っていたのは、各家庭での、労力をなるべく削減し、その他の仕事(農作業)の効率をあげるためだったのですね。

現在の研究では、この当時の大きな窯に火を入れると、窯を暖め、調理可能にするまでに、約二日、そして、窯を冷まし、聴視したものを取り出すのに、なんと三日もかかることが、分かっているそうです。このような時間をかかる窯は、とても各家庭では、維持していけなかったのですね。


こんな、村共同の窯を使いながら、特に、地元の農家で、収穫できるもの、簡単に手に入れられるものを使って、各地方の料理は、発達していきました。その中でも、特に、以下の生産物は、フランスの地方料理の材料として、よく目に付くものです。

・野菜・・・・・ジャガイモと、たまねぎ(もっとも一般的な野菜)
・豚肉・・・・・(中世フランスでは、一番美味とされた肉。各地方では、独自の方法で、燻製したり、塩漬けにして、保存食とした。)
・乳製品・・・・生クリームや、保存のため、発酵をへてチーズにされたもの
・卵・・・・・農家で、簡単に飼える鶏から供給

こんなそれぞれの与えられた条件から、地方ならではの料理が、いろんな方向に、花開いていったのですね。


ロレーヌ地方では、豚肉は、ソーセージやベーコンにされ、それを使った料理が、発展していきました。

地方料理の土台を作っていった、長い歴史、とくにわたしは、中世のヨーロッパに強く惹かれます。


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さて、キッシュのお話に戻ります。

本物の、キッシュ・ロレーヌは、上記のレシピのように、厚切り燻製ベーコンと、卵、生クリームがおもな原料の、とてもシンプルなもの。これに、チーズや、たまねぎなどを加えると、もうそれは、キッシュ・「ロレーヌ」とは、よばれないのです!



でも、フランス全土に広がっていった、ロレーヌの「キッシュ」たちは、地方の新しい素材を取り込んで、今でも、発達中です。チーズや、いろんな種類の野菜を混ぜたり、さまざまに工夫されたキッシュは、今日、フランス人の食卓をにぎわしています。

皆さんも、ロレーヌの歴史に思いをはせながら、ご自宅で、「キッシュ・ジャポネーズ」(日本風キッシュ)を作って見てはどうでしょう??? キッシュの基本は、パイ皮に、生クリーム、卵です。

おいしいレシピができたら、教えてくださいね!





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<追記> 先日、作ったキッシュは、ちょっと生クリームの量が(目分量で測ったので! 横着なわたしです)、少ないかな、と心配していましたが、とてもおいしく仕上がりました。

「キッシュ・ロレーヌを持っていきます」といった割には、やはり、最後には、野菜が欲しくなって、たまねぎを混ぜてしまいました。たまねぎは、ベーコンを軽くいためるときに、一緒にいためるのです。

お呼ばれしたお宅のオーブンで、すこし暖めてもらって、とてもおいしくいただきました。人と、食べ物のを分かち合う、というと大げさですが、やはり、おいしいものですね!







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2 コメント

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キッシュ! (貴香子)
2005-03-29 22:32:57
コレ美味しいんですよね~!

私のツボです。



イギリスにいたときにロワール出身の女の子がママンに国際電話で聞きながら作ってくれました。私たちのステイ先は15人以上もいる大所帯。

彼女、奮闘してたくさん作ってました。



とてもおいしかったのですが、私は当時

「キッシュ・ロワール」と勘違いしました★

(またもやお馬鹿ですね!)



ちなみに彼女は同じステイ先の韓国出身の男の子が好きだったようで、想いを込めた

「恋のキッシュ・ロレーヌ」だったようです。映画みたいでしょう?
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貴香子さんへ (mimi)
2005-03-30 02:47:24
こんばんは。

キッシュは、作り方は簡単なのですが、おいしいのですよね。

15人の学生がいたら、キッシュもたくさん焼かないといけないでしょうね。



キッシュ・ロワール、笑ってしまいました。でも、そんな間違い、最初の頃は多くて当然ですし(わたしもよくしました)、そんなことがあって、語学も分かってくるようになるものですよね。



彼女の恋の行方、キッシュにかけた願いがかなえばよかったのですが・・・。
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