あごを引いて、重心を低くせよ!

「高ころびに、あおのけに転ばれ候ずると見え申候。」
安国寺恵瓊が、織田信長の転落を予言した有名な言葉だ。

いまの民主党の姿勢は、この様になっていないだろうか。
2代続けて政権投げ出し、
厚生年金の改ざん発覚、
汚染米の不正転売事件、
農水大臣、次官の辞任、
リーマン・ショックでかき消される茶番の総裁選・・・。

政府攻撃の材料には事欠かない。
文字通り、押せ押せだ。
早期解散を叫び、総選挙で政権交代を迫る。
選挙区を歩けば、「一度、民主党にやらせよう!」の声々々。
それも、自民党支持者から盛んに激励を受ける。
朝の駅頭でも、昼の街宣でも、夕方の演説でも、笑顔で声をかけられる。

今度こそ、行ける!
絶対に、勝てる!
3年前のようなことはないはずだ。
小泉マジックに席巻された郵政選挙の再現などありえない。
みんな、漠然とそんな気分に支配されていないか?
自分自身も、事務所のスタッフも、後援会の人々も・・・。

しかし、3年前を思い起こさねばなるまい。
解散直後のあの高揚感。
選挙区に戻ってきたときの優越感。
まるで、すでに勝ったような気分だった。

しかし、あの小泉首相の夜の記者会見で、その高揚感は吹っ飛んだ。
一夜にして流れが変わり、あとは大津波のような逆風。
終わってみれば、小選挙区の議席から転げ落ちていた。
「高ころびに、あおのけに転」んだ瞬間だ。

対する自民党候補者の誰一人として、高揚感などに浸っていなかったはずだ。
必死で、小泉構造改革を訴え、
郵政民営化の正しさを訴え、
駆けずり回っていたはずだ。
その結果として、勝利が転がり込んだのだ。

浮ついたパフォーマンスは必要ない。
まだ、確信を持って民主党候補者の名前を書けない有権者が数多くいるはずだ。
長年、自民党候補者の名前を書き続けた人々にとっては尚更だろう。
民主党政権にまだ現実的な感覚を持ち得ない人々に語りかけるのだ。
自民党が耐用年数を終えていることはわかっても、なお民主党に信頼をおけるか逡巡している人々に力強く訴えるのだ。

だから、真摯に政策を語るべし。
新たな税金の使い方を示すべし。
財源を明確にすべし。
わかりやすく、政権交代の必要性を説くべし。
そして、それがなぜ、今日本に必要なのかを明らかにすべし。
国民の生活がどう変わるかを真剣に語るべし。

決して浮ついてはいけない。
あごを引いて、重心を低くして、脇を締めて、確実に前進するのみだ。
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